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素直な気持ち 20






最後まで話を終え、応接室を後にしようとする若菜――。




――今度は、僕の番だね…。




君が、一生懸命、勇気を出して…
ココまで来て話をしてくれた事に、感謝するよ…。

僕も、偶には……、

正直で素直な本当の気持ちを、
ほんの少しだけ…言ってみようか…。






『…僕は、若菜が傍に居て…楽しかったよ。』




初めて声に出して言った、僕の偽りの無い正直な気持ち…。

君はとても驚いて…、
信じられない!という顔をしてたね。

まぁ…日頃の僕の態度を思えば、当然の反応だよね…。






更に…言葉を重ねないと――、信じて貰えそうにないね。


…おまけの言葉だよ…。

『――君が、僕にお茶を出してくれるのも…楽しみだった。』

『そこで、宿題しながら百面相して、考え込んでる姿を見るのも、面白かったし。』




何やら、考え込んでいる風の若菜…、
仕方ないな…。 
――もう少し、言葉を足してやろうか…。




若菜が特別な存在である事を告げ…、

「――また、放課後はココに来て、僕にお茶を入れなよ。」

……最後に、そう言ってやった……。






そうやって、
僕は僕なりの精一杯の表現で…僕の気持ちを現してみた。

僕はプライドが高い。  
…悪いけど、これ以上の表現は出来ない。


だから…、ちゃんと気が付きなよ…。
そう、祈るような気持ちだったけど…。


――良かった。  

…何とか、伝わったようだ。







そして、泣かせてしまった若菜への、お詫びの気持ちも込めて…
きっと若菜が、望んでいたのであろう事のひとつを、
…やってあげる事にした。



――だけど、自宅まで…ただ一緒に帰るだけで、
こんなに喜ぶなんて、ね。



あまり嬉しそうにしてるから――、
偶には早目に仕事を切り上げる日を作ろうか?
なんて事を、密かに思った。

でも――、
期待されても困るから…、若菜には言わないけどね。





隣で若菜が、大きな声で
「雲雀さんが、大好きです!」なんて叫んでいる…。

いくら、河原近くの開けた場所で…周囲に人が居ないと言っても、
…恥ずかしいだろ?

だけど、心から嬉しそうな顔でニコニコしている彼女を見たら、
怒る気になんて、なれなかった。





…怒る代わりに――僕も心の中で、そっと呟いた…。



(僕も、君と同じぐらいに…いや、それ以上に…若菜の事が好きだ。)


(でも、僕のキャラじゃないから、…声に出して…言ってあげないけどね…)







((そうそう…今後は、君の泣き顔を…時々は見せて貰おうと思ってる…))
((慣れ合い過ぎない程度に、距離を保ちつつ、))
((…思いがけないタイミングで泣かせてあげるよ。))



((……覚悟は出来てるだろうね?))












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