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素直な気持ち 17




応接室内を簡単に片付け、施錠して、
2人並んで学校を後にする。

まるで夢のようで、信じられなくて、
…何度も何度も、隣の雲雀さんを確認した。





彼は、そんな私を呆れて見てたけど、
何を言われようと、笑われようと…今の私は幸せだ!

こんな風に…なれるのだったら、
もっと早くに、本音を彼にぶつければ良かったのかもね?




ちゃんと、正直な気持ちを伝えれば良かった…。
素直でないのは私も同じ…かな?

だって、雲雀さんは…
何のかんのと、ちゃんと受け止めてくれる人だ。




雲雀さんを好きになって、本当に良かった!

なんて眼が高いの…私!




…隣を歩く雲雀さんをチラチラ見ながら、
そんな事を考えて…

ニヤニヤが止まらなかった…! 




我ながら…

…今の私は…テンション高い……。







今回の事件を教訓にして、

『自分本位なモノの見方を変えて、』
『少しでも相手の立場で考えられる人になろう!』

――と、…心密かに決意したけど…、




私の事だ…
きっとまた、暫くしたら色々と不満を募らせるかも、しれないね…?

だけど、きっと…
雲雀さんは、そんな私の事を、全てお見通しで…、
…上手く、導いてくれるような気がする。






そんな彼に、私がしてあげられる事は……とても少ない。
…仕事の手伝いとか、難しそうだし…。



だから、せめて…
ずっとずっと! 彼の事を大好きでいよう!!

それが私に出来る…最大の事のような気がするから!

 
雲雀さんも、それを望んでくれるような…そんな気がするから。



なんて、私の都合が良過ぎる、思い込みかな!?
いや、思いこみだって、妄想だって良い!! 


――私が、そうだと信じていれば良い事だしね?






「……雲雀さん?」



「…何?」





「私、やっぱり…」
「雲雀さんの事が、…大好きみたいですっ!!」



隣の雲雀さんが、光を映した美しい灰蒼色の眼を細めて、
少しだけ微笑みながら…クスッと笑う。




「…そんな事、知ってるよ。」







どこまでも澄み渡った、夕焼けの美しい大空に………、



「それでも、言いますっ!」
「…私、雲雀さんが…大好きですっ!!」 






―――私の声が、明るく響いた―――。











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あきゅろす。
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