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素直な気持ち 15






少しの沈黙の後
渋々といった感じで口を開いた雲雀さん…




「先週、君が来なかったから…」
「草壁がお茶を出して来たけど、温いし渋みが濃過ぎて…不味い。」



「…はい?…」



「あんな不味い物、毎日飲んでたら仕事も捗らない…」
「この間、君に、…好きにして良いって言ったけど」
「…やっぱり、撤回するよ。」



「…え?…」











「…今後も放課後はココに来て、僕にお茶を入れなよ。」



「…………。」





あの…これは、つまり…別れるのは撤回するから、
また、放課後は応接室に来て良い…
って事を、彼なりの言葉で、言ってるんだよね?


素直でない彼の言葉は、理解するのに…少し時間がかかる…。






「あの、今までの私の態度とか、言葉とか…許して頂けるのですか?」



「…………。」




「…でも…私は我が儘だし…」
「また同じような事を言い出すかも、しれないし…その…」
「そんな私が、雲雀さんの傍に居ても、本当にいいんですか?」










「…僕は、自分を変えない。」

「君も、また同じことを繰り返すかもしれない。」
「だけど、それならそれで…、」
「また、…今日みたいに初心に戻る話しをすればいいじゃないか。」

「……違うかい?」






心なしか、彼の声が優しく聞こえる。

いや、気のせいではないみたい…
だって、眼の前にいる雲雀さんが…ほんの僅かに微笑んでる?



……なんて珍しい……!!





初めて見る…優しい表情で、あんな事を言うから
……涙が出て来た。




「…ワォ…」
「…その涙は、何の涙?」



「…嬉し涙です…。」



「…そう。」
「今度からは、定期的に泣かせてあげようか?」
「…色々と、楽しそうだ…。」



((…!?…))






雲雀さんが、二ヤリと意地悪そうな笑顔?で言ったけど…

その瞳は、今まで見たことがないような
…とても…優しい光を湛えていた。




ホントに彼は…
意地悪なんだか、意外と思い遣りがあるのか

冷たいのか、優しいのか…解りにくい…






でも…私は知ってしまった気がする…。

彼の、山のように高いプライドで覆われた
…その下には…
不器用な優しさや気遣いの心がある事に…。










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あきゅろす。
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