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素直な気持ち 14






「…僕は、若菜が傍に居て…楽しかったよ。」




((…!?…))




ふいに、後ろから聞こえた低い声に、驚いた…。
雲雀さんが話した事にも驚いたけど
…その内容にもっと驚いた。




…えっ!? …楽しかった?

 


……嘘……

…彼がそんな事を、思っていたなんて…。





…スグには、信じられない。








ドアの近くまで来ていた私は、雲雀さんの方に方向転換して
…彼の顔をまじまじと、見た。




「君が、僕にお茶を出してくれるのも…楽しみだった。」



「…………。」




「そこで…」
「宿題しながら百面相して、考え込んでる姿を見るのも面白かったし。」



「…百面相とか、…酷いです。」




こんな事を言われたのは、もちろん、初めての事で…
正直、戸惑ったけど…。
つい、ごく自然に…言葉を返した…。










「…もう、二度と来ないのかい?」



「…………。」
「…あの…もし…来たほうが良ければ…来ます…けど…」



「…けど、何?」



「…あの…来ても、いいんですか?」



「若菜だけは、特別に…」
「この部屋への出入りを許可してるって言っただろ?」



「…………。」








これは…どう考えたら良いんだろう?

雲雀さんは…別れたくないって…暗に言ってるのかな?   



…でも…。






「…あの、雲雀さんは…その。」
「…私の事、何とも思って無いんですよね?」



「…この間も言ったけど。」
「僕が一度でも、そんな事を言ったかい?」



「…いいえ、……でも……。」








眼の前の雲雀さんが、如何にも呆れた…
という顔をして…深い溜め息なんてついてる。

 


「何とも思ってないのに、応接室への自由な出入りを」
「…許可すると思うの?」



「…えっ、あの…それは、どういう意味ですか?」



「ワザワザ言わなきゃ、解からないの?」
「……ホント、馬鹿だね。」



「…馬鹿は言い過ぎ…だと、…思います。」










雲雀さんが、軽く溜め息をついた後に口を開く…


「…若菜は、特別だと思ってるから…特別待遇してるって事だよ。」



「…特別待遇?」



「…そう、特別だよ。」
「…何度、同じ事を言わせるつもり?」



「…………。」






…これは…その…期待していいんだろうか?



私の目の前で…
ムッと不機嫌そうな顔をしてる雲雀さんを見ながら
…考えてみた。











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あきゅろす。
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