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素直な気持ち 13





入口のドアの所から、ソファーの横までゆっくり進み、
適度な距離で、立ったまま話を始めた。


雲雀さんは、執務机で仕事をしていた時のまま
…無言で座っている。







私は、慎重に言葉を選んで
…休日に自室でアレコレと考えた事を、話し出す。




・勇気を出して告白して…
OKして貰えた時には、天にも昇る気持ちだったこと。

・彼女として認めて貰える事は、とても光栄なことだと思っていたこと。



・初めは、本当に傍にいられるだけで良かったし、
心から幸せを感じていたこと。

・その内に、それだけでは物足りなくなり、
段々と寂しさを感じるようになり…
もっと雲雀さんと会話したり、一緒に楽しい思い出を作りたいなどと
…欲深くなって行ったこと。



・雲雀さんは、全く変わってないし、悪くないのに…
自分で、勝手に不満を募らせ…
ついつい、先日のような事を言ってしまった事。

・全ては…初心を忘れて…
自分本位な勝手な期待をするようになった…私のせい、だということ。



・自宅で今までの事を振り返ってたら…
本当は、今でも雲雀さんが好きなんだと気がついたけど
…もう、私には、
雲雀さんの傍に居られる資格なんて無いのは、解ってると言う事。



・最後に、どうしても一度直接会って…謝りたいと思って
…勇気を出して、ココに来たこと。
  







長い話になったけど、
予想に反して、雲雀さんは、最後まで黙って聞いてくれた。





彼は、さっきから一言も話さない。  
…表情も、変わらない。


言うべき言葉すら見つからない程
…とても呆れられているのかも、しれない。






でも、例えそうでも…一応、聞いてくれている。
無視されている訳ではない。
 
…それは、事実だ。



もう、それだけで、嬉しいし、
…勇気を出してココまで来て、本当に良かったと思った。






話終えた私は、丁寧に深々と頭を下げて
…終わりの言葉を口にした。


「…本当に、色々とすみませんでした。」
「全て、私の我が儘のせいです。」
「こんな私の話を、最後まで聞いてくれて、本当に有難うございました。」

「お仕事の邪魔をして、申し訳ありませんでした。」
「…これで、失礼します。」






そう言って、後ろを振り向き
…ドアに向かって、ゆっくり歩いた。




良かった、最後までキチンと話せた…

今は、ホッとして、清々しい気持ちすら感じる…。







これで、予定通りに、

……キレイに終わりに出来そうだ……。

 










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あきゅろす。
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