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素直な気持ち 12





ついつい重くなる足取りを…
必死に励まして、自分に言い聞かせて
…応接室を目指した。




…今日は、風紀委員は全員、
校外の見回りの日…なのだろうか?

応接室までは…
誰にも会わずに、誰にも止められずに…行けた。




…良かった!と、ホッとする…






今の私には…
全てを拒否するかのように見える応接室のドアが
…眼の前にある…


そのドアの前で、深い深い、深呼吸をゆっくりとする……。
自分で自分に対して…
落ち着くように、勇気を出すようにと…励ました。





そして、雲雀さんが中に居てくれるコトを願いつつ…ついに、

――ドアをノックした。







低い声で…

『…誰?』

と聞こえて来た。




良かった、中にいるみたい。





…でも、緊張して声が…出ない。





…仕方ない、このまま黙って立ってる訳には行かないし、
返事をせずに…
静かにドアを開け、黙ったまま…入室した。




中に入り、再び静かにドアを閉める。
仕事中だった雲雀さんが、ゆっくりと顔を上げ…こちらを見た。

少しビックリしたような顔をしたけど、
そんなのは、ほんの一瞬。

スグに何時もの、機嫌の悪い時の…仏頂面に戻る。





「………。一体、何の用?」



低く、少しイラ付いた感じの雲雀さんの声に
…ビクッと、身体が強張る…。

背中を冷や汗が伝う…。





拳を握りしめ……勇気を振り絞って…、
必死に声を出す…。





「…あ、あの…。」
「…雲雀さんに…謝りたくて…来ました。」



「……謝る…?」




「…はい。」
「私が言った事や態度が…とても我が儘な事だったと…気がついたので。」
「その、…良ければ…」
「少しだけ、お時間を…頂けませんか?」



「…………。」





雲雀さんは、何も言わない。


でも、帰れとは…言われないのだから…、
きっと話しても、大丈夫なんだろう。



…彼は、そういう人だから。






…もしかしたら…。 

単に、聞く気がなく、無視するつもりかも
…しれないけど…ね。













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