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必然の再会 12




「……はい……」
「…あの、…宜しく、お願いします…。」 


羞恥心で、全身が真っ赤になり…
ドキドキし過ぎて、変に緊張した声で…何とか答える私。






本当に、これは夢なのではないの?  
と、思わずにいられない。


でも、心臓が破れそうなぐらいに痛く感じて
――これは現実だと、教えてくれているようで…。




抱き締められて、伝わってくる熱も
僅かに聞こえて来る、彼の規則正しい心音も…
――確かなもので…。

私の、高鳴りっぱなしの…
激しく乱れた心音とは…まるで別物。



自分とは違う個体の…
熱と生きてる証の音を、しっかりと感じつつ、
…これは、現実なんだと…

パニックしてて、あまり機能していない脳の片隅で
…感じていた。








少しだけ落ち着いた所で…
まるで夢のような…
出来すぎた物語のようだと思いながら…


――彼の腕の中で、小さく吐息を吐く…







それにしても――
まさか、こんな事があるなんて…

やっぱり、今日は――並中に来て良かったな…。





グランドに響き渡る、野球部の練習の時の音をBGMに…
爽やかな風を受け、
小説の主人公にでもなったような感覚。


でも、本当に本当に、これは現実なんだよね?

――白昼夢でも、ドッキリでも、ないよね?






そう思いつつ、そっと顔を上げたら…

綺麗な灰蒼色の瞳が、私を優しく見詰めてて――






……また、心臓が大きく飛び跳ねた……






その表情は…ズルイです。雲雀さん…

誰も見た事がないんじゃないかと思う…優しく穏やかな表情。


この人が、こんな顔をするなんて…!





そう思わずに居られない…
慈愛の籠った熱を帯びた視線に、釘付けにされる…。

キレイな瞳に魅入られて逸らせない眼。



ドンドン高鳴る心音と…
今にも全身の血が逆流しそうな程の熱を感じる…。



…あぁ、眩暈(めまい)すら感じる…。






眼が合う度に、これじゃあ、私の心臓はもたない。

今にも、口から心臓が…飛び出してしまいそう!


いや、その前に…
…あまりのドキドキに耐えられずに、心臓が停止するかも…!





でも、――何時の日か…
この鋭くも美しい瞳に慣れる日が、来るのだろうか?



見慣れて平気になるまで、どうか私の心臓よ頑張ってっ!





そう、心の中で…

……自分の心臓に、エールを送った……










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