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異常事態 16




……あぁ……  

 

―― 何だろう…この気持ち。




心が満たされてて…
とても幸せだと感じる――。 


これ以上ないってぐらいに…
穏やかな幸福を感じている――。






今、世界を見渡したら…
きっと世界中がキラキラ輝いて見えるような、
…そんな気がする。

全てのものが…
愛おしく見えるような、そんな気がする。
 

…いや、たぶん本当に…そう見えると思う――。






それぐらい…幸せで、幸福で…
心の底から、満たされている。






「……雲雀さん?」



「ん? …何?」





「私…とても幸せです。」
「雲雀さんと出会えて…こうして2人でいられて…幸せです。」



「うん。僕もだ…。僕も、…同じだよ。」






強く抱き締められてた腕を…少し緩められ…
お互いの目が合った…。

なんて綺麗な瞳だろう…
何時もは鋭く冷たく感じる、時には恐怖すら感じる程の――

その灰蒼色の瞳が、

…今は、とても優しい光を湛えている。






「雲雀さん…。…大好きです。」





「…僕は、―― 愛してるよ。」







「…えっ!?…」




思わず…眼を大きく見開いた。 

―― ビックリした。


だって、彼が“愛してる”なんて言葉を
……言って、くれるなんて……。






……初めて、聞いた……。

 



―― あまりに嬉しくて、
…涙が一筋、頬を流れた…。




それを、指で優しく拭ってくれながら…
柔らかく、クスリと笑みを零した彼…。


「泣くほど、嬉しいのかい?」



黙ってコクンとただ頷く私…。 

だって、あまりに嬉し過ぎて、言葉が出ない…。




「…そう。」






私達はまた、お互いの瞳を見詰め合って…
どちらからともなく…唇を重ねた。



あぁ、今の私達は…
きっと、世界中で一番幸せな人達なんだろうな…
なんて、ベタだけど…

でも、そんな事を、
自然に思えてしまうから…不思議。





愛しい人と一緒にいられる、
こんな穏やかな幸せが…ずっとずっと続きますように…

優しく、愛しおしむように抱き締められた、
彼の腕の中で――、





―― 心の底から、…そう願った…。











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あきゅろす。
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