異常事態 15
「 詩織は、どうなの。もし僕が、大勢の人と群れていたとして…嫌じゃないのかい？」
「そもそも雲雀さんは群れないし…考え辛いのですが…」
「例えば、さっきのボンゴレの方々と一緒に居ても…嫌じゃないです。」
「…でも…。」
「…でも？」
「もしも…その、…多くの女性に囲まれてお仕事する事になったりしたら…やっぱり、嫌かも…。」
それを聞いて、彼が…少し嬉しそうにクスリと笑う…。
「そう。君も…嫉妬してくれるんだね？」
「雲雀さんの事、信じていますけど…良い気分では無いと思います。…きっと。」
再び、私を抱き締め直しながら…。
彼にしては、とても優しい穏やかな口調で話す。
「僕は、詩織以外の人間となんて…群れないよ。」
「でも、君は…誰とでも、スグに仲良くなるからね。このアジトでも馴染むのが早かったし…。」
「それに、君は気が良すぎるし…警戒心もあまり無い。だから…色々と心配なんだ。」
「………。私は…、早くこの環境にも慣れて、貴方のお手伝いが出来るようになりたいと…そう思って、一生懸命なんです。」
「その為にも、早く、皆さんと仲良くなりたいと思って…。」
「―― 僕の為、なのかい？」
「はい。…そのつもりで、頑張ってるのですが…。」
「…そう…。」
彼の腕の力が、また少し強くなった…。
…えっと…ちょっとだけ、苦しいかな…。
「あ、あの…。少し、腕の力を抜いてくれませんか？」
「――無理だ。…詩織が、あんまり可愛い事を言うから…、抑えられない。」
…………。
いや、可愛い事言うのは貴方の方です、雲雀さん。
彼が…こんなに素直に自分の気持ちを言ってくれるなんて…
それだけでも十分に嬉しい。
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