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闘神降臨 5




“ソイツ”…は思ったより早く見つかった。

倒された中の1人が、たまたま雲雀を見つけ…
捜索中の仲間に連絡を取る…




中でも体格の良いものばかり7人が…
通りを歩いていた雲雀に声を掛ける。

威圧感を与え…逃げられないようにする為、
“少年”の周りをグルリと囲んだ。




「――おぃ、お前っ!」
「…昨日…オレ達のダチが世話になったようだな…」


「…僕に、何の用?」




「ダチが世話になった礼をしたいんだ…ちょっと着いて来い。」





雲雀は、自分を取り囲むようにして立つ彼らを見て
…考えた…

この場で直ぐに倒すより、恐らく…
仲間を集めているであろうどこか別の場所で、
…まとめて咬み殺すほうが、楽しそうだ。




ニヤリと…
不気味な薄い笑みを浮かべた雲雀が答える――。

「――いいよ、仲間の所へ案内しなよ。」






体格的には、遥かに大きな者達7人に囲まれても、
全く怯える様子のない“その少年”を見て、不気味さを感じる。

…怯える所か、顔には薄笑いを浮かべ…
楽しそうですらある…。

隣を歩く不良の1人は、己の何かが
警告を発している事を感じたが…今更引き返せない…。










少し歩いて、人通りの滅多にない…
河川敷の広場に着いた。



そこに待ち受けるのは、
並中の不良仲間達…30名程いるだろうか――。



並中の不良共のリーダー格である男が、
雲雀に声をかける…


「…お前が…昨日、こいつらを倒した奴か?」
「…見掛けない奴だな…」

横には、昨日の学校で雲雀が咬み殺した5人がいて、
…睨んでいる。




「僕の学校を汚したからね。――それに群れてたし…」



「僕の学校?…ふざけた事を言う奴だな…。」
「――お前、新入生か?転校生か?」



「僕は、もうすぐ並中に入学予定なんだ。」
「…あの学校は、僕の活動拠点にするつもりだからね。」


「…新入生か。――活動拠点だと?」


「そう…、並盛の秩序としての…活動拠点さ。」







「――はぁぁ?…並盛の秩序っ!?」
  
「何を言ってんだテメェ?」


周りで聞いていた不良共が、雲雀の言葉を聞いて
…思わず声を上げる。





不良のリーダーが、再び口を開く。

「お前…、どうやら少しイカレてるようだな…」




ゲラゲラと下品な声が周囲から上がったが、
昨日、雲雀に倒された5人は笑えなかった…

昨日の学校での事が、デジャブのように感じられる…。

――あの時と、全く同じような状況なのだ…。




「口が利けなくなる前に…お前の名前を聞いておいてやる…」
「なんて名前だ?――並盛の秩序さんよ?」

夕方の河原に、一際大きく、下品な笑い声が響く。





薄ら笑いを浮かべた“その少年”が答えた…。

「そうだね…君達が聞けなくなる前に教えてあげる。」
「――僕は、雲雀恭弥。」



「ヒバリ…キョウヤ…?」



「そう。今後、君達を束ねる者の名前だ。」
「…良く覚えておきなよ。」


二ヤリと不気味に笑いながら、話すヒバリを見て、
周囲の不良共が騒ぐ…。





「オレ達を束ねるだと…?」
    
「ふざけやがって…!」 
 
「さっさと、ヤッちまおうぜっ!!」



不良のリーダーが、その場にいる者達に、声を掛けた――。

「おい、コイツに…新入生の作法を教えてやれっ!」

「二度と…オレ達先輩に逆らう気が起きないようになっ…!!」





「オゥ!!」 
  
「覚悟しやがれッ!」

「調子に乗ってんじゃねぇぞ!」


様々な声と共に…不良共が…雲雀に襲いかかる…。




夕日に照らされた広い河川敷を…
一気に、騒がしい喧騒が包んだ。







周囲には、土誇りが激しく舞い上がり…
不良たちの怒号や叫び声に加え、
…何かを殴るような、鈍い音が広い河原に響く。



そこそこの人数が居る為
時間が掛かると思われたが…

実際は河原での騒ぎが収まるまで、
そう長い時間は掛からなかった…。




何しろ雲雀は、その居並ぶ不良共を全て一撃で、
或いは一度のトンファーの一撃で2人、3人と…
一緒に倒してしまったのだから、時間などかかる訳もない。

最後のひとりが河川敷の草むらに倒れ込むまで、
…ものの数分。

…あっという間であった。





先ほど、最初に話掛けた不良のリーダー格である男は…
薄れ行く意識の中で…
“ヒバリ・キョウヤ”と名乗った少年の…

――あの華奢な外見に騙され“軽く倒せるだろう”
…などと思った、己の考えを心から悔いた。



『これは…トンでも無い奴が潜んでいたものだ…』 と…、

…そこまで考えた所で、
意識が途絶え、完全に地面に倒れ込んだ…。







雲雀は、既に己以外は立っている者の居ない河原で
不満そうに…
如何にも面白くないという表情で、周囲を見回す。

間違いなく、全員を倒した事を確認すると、
血潮に濡れたトンファーを素早く払い、それをしまった。


もう少し、咬み殺し甲斐のある奴らかと思ったが、
案外あっさりと終わってしまった…




「……つまらないな……。」



退屈そうに、欠伸をひとつ零す…。

―― そして、何事も無かったかのように
静かにその場を去った。











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