[携帯モード] [URL送信]
闘神降臨 16





雲雀が、ある程度まで、近寄って来た所で…


「草壁哲矢、…君は、そこそこ使えそうだ。」
「…特別に、風紀副委員長にしてあげるよ。」



「…?…。」
「オレを…風紀副委員長に、…ですか?」



「そうだよ。」
「僕は、ついさっき、この学校の風紀委員長になったからね。」



「…えっ?」


イマイチ、意味が不明だが…『ついさっき』という事は…
恐らく、さっきの校長との会話の中で決まった…
と、いう事なのだろう。








どんな話をしたのかと思えば…
この学校の風紀委員長になる話だったのか…?

まだ…中学に入学してさえいないのに…か?



この人物の考えている事が、良く解らない…。

だが、ココで断ると…
恐らくは彼の武器の餌食になるのであろう…
受けるしかあるまい…。






それに…“雲雀恭弥”には…とても興味を惹かれる。

この人の事を、もっと知りたい…という気持ちが
…沸々と湧いて出て来る…。



単に強いというだけでなく…
何とも“不思議な魅力”を感じるのだ。

威圧感や底知れぬ恐ろしさと共に…
全身から感じる…圧倒的な自信や、プライド…
いや、“誇り”と言うべきだろう…。


淡々と話す中に、“凛とした気高さ”のような
ものすら感じる気がするのは、気のせいだろうか?






さっき見た闘いだって…
ひとり颯爽と、あの大勢の中に来て…

全く動揺もせず、慌てた様子もなく、
それどころか、最後まで余裕の笑みを浮かべたまま
如何にも、楽しそうだった…



この底知れぬ人物を、もっと知りたい。 

…もっと身近で見てみたい。


そんな欲求とも、興味ともつかぬ想いが
己の中で、大きくなって行く…




「あの…、オレで良ければ…」
「是非、風紀副委員長をさせて頂きます。」



「うん。」
「心配しなくても、使い物になりそうになければ…」
「咬み殺して、解任してあげる。」





二ヤリと怪しい笑みを浮かべつつ…言われたが…

((…咬み殺す??…))

((使えないと判断されたら…))
((あの校庭に転がってる、連中のように、なるという事か…?))





「不肖ながら、…この草壁。」
「…精一杯、務めさせて頂きますっ!」



「(フッ)…頼んだよ。」










周りで、ハラハラしつつ
成り行きを見守っていたメンバーから
軽く…安堵の溜め息が、聞こえる…

どうなるかと思ったが…
草壁や自分達が、この雲雀の下に着く事で
なんとか丸く収まりそうだ…。



「じゃあ、早速だけど…」
「明日の午後1時…応接室に来てくれるかい?」
「今後の…活動の指示を出すから。」



「…?…。」
「学校の…応接室に…行けば良いのですか?」



「この学校の応接室は…」
「今日から風紀委員会で使用する事になったんだ。」




((これも…さっきの校長との話で、決めたのだな…))

「はいっ!分かりましたっ!」








「それと…、ひとつ…忠告してあげるよ…。」



「…?…。…はい…?」








「僕は…群れる草食動物が嫌いでね。」
「…見ると、咬み殺したくなる…。」

「…だから…今後一切、…僕の前で、群れるな。」



そう言ったが早いか…
一瞬の閃光のようにトンファーが煌めき…


――ヒュッ!! 

…ガツッ!!…ガッ!!




…ウッ!…グアッ…グゥッ!…

…ドサッドサッ…



…………






あっと言う間に…
草壁以下、そこに居た5人全員が…

トンファーの餌食となり、その場に転がされた。






「…うっ、くっっ…っ!…」


突然の事で、訳が解らないまま…
何とか只一人、意識を失わずに済んだ草壁が
地面から、ほんの僅かに顔を上げ…雲雀を仰ぎ見る。





「…草壁哲矢…」
「僕の攻撃を受けて直ぐに意識を失わないなんて…」
「…君は、なかなか根性があるね…。」


少し楽しそうに
二ヤリとした笑顔で、草壁の傍にしゃがみこみ…
その顔をトンファーでクイと上げさせた。





「僕の前で群れると…こういう事になる。」
「…解ったかい?」

低く、酷く冷たい声色で言われる。




「…くっ…。…は、…い…。」


必死の思いで…
何とか、やっとの事で声を絞り出す草壁。





その様子を見て、薄笑いを浮かべたまま
いきなりトンファーを外し…
草壁が…ドサリッと、地面に倒れる音を聞いた後…



立ち上がりつつ…

「じゃあ…、明日、午後1時に応接室に独りで来て。」
「…遅刻厳禁だよ。」






そう言い残し…草壁の返事を待たずに
…その場を去った…


ド根性で、かろうじて意識を保っていた草壁は、
去って行く雲雀の後ろ姿を見つつ…静かに眼を閉じた…。


((オレは…もしかしたら…))
((世にも稀な“トンデモナイ人物”に出会ってしまったのでは…ないか?))




そんな事を、消え行く意識の片隅で思いつつ…

…ゆっくりと…意識を手放した。







++++++++




+++











風紀委員長・雲雀恭弥が――


草壁の配下だった者達と、今回〆(シメ)た不良達を束ねて
…自分の手駒として動かし

並盛町の裏も表も…
全てを制圧して、事実上の並盛の全権を握る存在…



『並盛に君臨する秩序』――と、なるまで…



――あと数日――










+++

++++++



+++++++++++++










[*前へ][次へ#]

16/18ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!