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闘神降臨 14




ココは校長として、どう判断すべきか、迷う所だ。

しかし何より、定年退職までの期間を無事に過ごす事が、
自分にとっての最優先事項なのだ。



この少年は、先程…
並盛町中の不良共を、たった一人で倒した訳で…
つまり、彼が今日から…
並盛町の不良共の頂点に立った、という事になる。


――彼らの世界は、
より強い者が上に立つ…という法則があるからだ。






要するに、この少年に逆らう事は、
並盛という町全体の不良共を、敵に回す事を意味する訳で…。

こんな時に、どうすればよいか、
昔の人は、智慧を持って教えてくれたではないか…

…『長い物には巻かれろ』『太きには呑まれよ』…と…








今日は4月4日…入学式は二日後だが、
4月1日からは中学生として扱って良いのだし…

そこまで考えたら、
答えなど…自ずから知れている。




「わ、解りました!」
「…今日から、雲雀君が並中の風紀委員長です!」



周りで聞いていた、教職員達の間から…
かすかに驚きの声が聞こえて来たが、
教頭以下、表立って反対をする者は、ひとりも居ない。

――誰でも、我が身は可愛いものだ。




「うん。」
「…もうひとつ、頼みがあるんだけど良いかい?」



「はいっ! …な、何でしょうか!」

今度は…何を言われるのだろうか、戦々恐々とする。






「今後、応接室を風紀委員会で使用したいんだけど」
「…構わないかい?」



“応接室”…が実際に、
その目的通りに使われる事は
年に…数回もあるかないかの…無駄に、豪華な部屋だ。

別に応接室がなくても、
来客の対応は校長室でも可能だし、何の問題もない。



それに…表向き疑問形で聞いてはいるが
…実は命令なのだと
眼の前の、雲雀恭弥という少年の眼が語っている。

――彼から感じる強迫的な威圧感が…痛い程である。




「…はい。…それは構いません。」




それを聞いて、
ほんの僅かな微笑を見せ、満足げに更なる命令を下す少年。


「そう。じゃあ、鍵を頂戴。」
「…合鍵を残さず、全部だよ。」





校長に眼で訴えられた職員の1人が、
ダッシュで鍵を取りに向かい
息を切らしながら、校長に鍵を渡す。



「これが、応接室の…合い鍵を含めた全ての鍵です。」

校長が、そう言いつつ
…本当に全ての鍵を渡した。







薄ら笑いを浮かべた雲雀が、その鍵を受け取って、
踵を返しつつ話す…。


「じゃあ、僕は帰るよ。」


「えっ、あ、あの…しかし…」
「…校庭の者達は…どうしましょうか?」





校長の言葉を受けて、立ち止まり振り返った少年が、
如何にも面倒そうに答える――。


「…知らないよ。別に、放って置けばいい。」
「その内に起きて自分で帰るだろ。」


「…きゅ、救急車は…?」






「――あの程度では、必要ない。」

「アレは今後、僕の手駒(テゴマ)にする連中だし」
「…ひとりも、本気で咬み殺してないからね。」




元は、真っ白であった筈なのに…
今は…無数の血潮のしぶきを浴びて…
赤く染まったYシャツを身に付け――

真っ黒で柔らかそうな髪にも
血潮が大量に飛び散り…髪の毛が濡れている…

そんな姿で、二ヤリと妖しく薄笑いしながら話す
…この少年の様子を見て…




……そこに居た全員が……


……戦慄を覚えたのは……言うまでもない……


 









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