ゲームスタート 2
こんな妙な感情の、解決方法の知識も無い。
まぁ、例え知識があったとしても…、
僕は僕なりのやり方で、この問題の解決を図るけど。
これ以上、僕が僕でないような…
こんな乱された心のままで居るのは嫌だ。
こんな感情に…何時までも掻き乱されるのは、
――僕のプライドが許さない。
仕事が手につかなくて…風紀の乱れも目立ちだした。
手遅れになる前に…早く手を打たないとね。
要するに――、
僕が抱いてるこの感情と同種のものを…
君にも感じて貰えば良いんだろ?
そうすればきっと、君は僕の傍に居たくなる。
君が傍にいれば…
少なくとも、このやり場の無い苛立ちからは解放されるだろう。
仕事だってヤル気になるような…気がする。
なら、ターゲットが何時もの草食動物達ではないだけで、
咬み殺す為ではないだけで…、
いつも僕が…獲物を追い詰め、咬み殺す時と同じように…、
――君を追い詰め、『捕らえれば』良い。
そして…僕に関心を持ち、
僕しか眼に入らないように仕向ければ…
―――僕の勝ちだ。
廊下ですれ違っても怖がる事もせず、眼を逸らさない君。
他の草食動物達と同じように、
急いで視線を逸らせば良いものを…、
いつも君は、臆する事なく透き通った綺麗な瞳で…真っ直ぐに僕を見てくる。
ねぇ、君、そんな事をしていると…
僕に…君を捕える切欠を与える事になるよ?
……良いのかい?
僕がこんな事を考えてるなんて、夢にも思わないであろう君は、
草食動物達と共に、今日も楽しそうに群れてる。
…そんな事が出来るのは、今の内だけだよ。
そんな連中からは早く離れて…
――君は、僕の傍にいれば良いんだ。
――何時も、僕の眼の届く範囲にいなよ。
――君の視界には、僕だけを収めていて。
――1日中、僕の事だけ考えていなよ。
―― そして、僕に夢中になるんだ。
――他のものなんて、全く眼に入らなくなる程に――…。
まぁ、嫌でも、
そうなるように仕向けてあげる――。
さぁ、“ゲーム”を始めようか。
僕が、狙った獲物は逃がさない事は…良く知ってるだろう?
…ターゲットは射程距離内。
――覚悟は良いかい?
「ねぇ、ちょっと…そこの君――…」
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