ゲームスタート 1 ――僕は、一体どうしてしまったんだろうか。 今まで知らなかった、こんな想い――。 胸が苦しくて、今まで感じた事のないモヤモヤした気持ち。 どうして、この僕が、 こんな訳の解らないおかしな感情に支配されてしまったのか。 自分の事なのに、解らない。 全く…理解に苦しむよ。 最近の僕は… 気がついたら、1人の女子生徒を探して、眼で追っている。 彼女は、何時だって多くの草食動物達と一緒で、 賑やかなことこの上ない集団の中に居る。 僕が一番嫌いな、ひどく煩い群れと何時も戯れてる。 あんな草食動物達は…眼に入るだけでムカつくのに――。 だから本当は見たくないのに…なのに、彼女を探さずにはいられない。 どうして彼女がこんなにも気になるようになったのか…切欠なんて、もう忘れた。 そんなものは、どうだって良い。 どうして彼女なのか…それだって良く解らない。 きっと、校内で偶然見掛けた場面を切欠に、 彼女の中の何か…その言葉か行動が…僕の心の琴線に触れた、という事だろう。 重要なのは、今、感じているこの感情をどうすれば… 収められるのか――ということだ。 でも、こんな想いを持つのなんて生まれて初めてで、 一体どうしたら良いのかなんて、解らない。 僕は今まで、こんな感情なんて持った事がないからね。 経験がないのだから…解らなくて当然だろう。 今の僕に、ただ、感じるのは― 君の姿を、何時も見ていたいという気持ち。 君の声を、何時でも聞いていたいという気持ち。 何時だって、君の視界に入っていたいという気持ち。 ―― そんな、初めて感じる妙な感情だけ。 忘れたくても忘れらなくて… 募る一方の、この訳のわからない理解し難い感情は、 もう、今にも溢れてしまいそうだ。 これは…一体何なんだろう。 このおかしな感情が,僕を支配してるせいで、 ――仕事が手につかない。 机の上に、山積みになっていく書類…。 風紀の見回りだって、身が入らないし、…常に苛々する。 僕の眼につく何もかもを、咬み殺したくなって来る――。 今までの僕は、何をするにも障害なんて感じた事が無い。 障壁があれば、力づくでも排除すれば良いだけ。 そんなの…僕にとっては簡単な事だ。 現に今、この並盛を治めるのだって、 ―― そうやってるしね。 だが、今度のこの問題ばかりは、力づくで解決出来るものではないと… いくら未経験の事でも… それぐらいの事なら、僕にだって解るさ。 …じゃあ、一体どうすればいい? [次へ#] [戻る] |