[携帯モード] [URL送信]
* 最強育成計画 * <アラウディ> 6





子供達の気持ちと
父親である雲雀恭弥の両方の気持ちを考慮して
少しの間色々なケースを想定して考えを巡らせてみた結果、
…僕はひとつの結論を出した。



そして僕は、その結論に従って…その場から“帰る”事にした。


「…………。」


もう一度だけ、彼ら3人の様子をそっと見た後…
見学をしていたトレーニングルームの2階部分から
…スッと…僕達の世界に還って来た。






+++++


++





恭弥(…っ!…)
(…今、ほんの僅かに感じた気配は…確か…)



(…………。)



(ふぅ〜ん…成程。…そういう事か。)

(短期間でここまで上達するには、何か訳がある筈だと思って、)
(考えられる理由を内心で挙げている最中だったが…)
(どうやら子供達には優秀な“トレーナー”が付いているらしいな。)





“上達している”と言われて嬉しそうな顔をしつつも
ダンマリを決め込んでいる様子の子供達をチラリと見て…



(彼が指導してくれているなら…何の心配もないだろう。)
(このまま気が付かないフリをして、黙って様子を見る事にしようか。)

(…フッ…この先が…少し楽しみになって来たな。)





(アラウディ…子供達の事を頼んだよ。)




+++++


++








自室の椅子にゆったりと座り…先程の雲雀恭弥と子供達の様子を思い出す。
僕がこちらに帰って来たあの瞬間に…
雲雀恭弥は敏感に僕の気配を察知した事だろう。

それが何を意味するのか…当然、それにも気が付いた筈だ。



父親には内緒にしておきたい子供達の思いも尊重してやりたいが…
雲雀恭弥が父親として、子供達への負担を心配する気持ちも解かる。

両方の気持ちを尊重しつつも…僕が選んだ道は…
子供達には気が付かれないように…
こっそり雲雀恭弥にだけヒントを与える…という道だった。



二人の子供達には悪いが…
心配する親心を完全に無視する事は僕には出来ない。
かと言って、あの場で僕が堂々を姿を現したら…子供達は嫌がるだろう。

だから、あの時…
子供達には気が付かれないように…
雲雀恭弥にだけ解かるレベルの気配を僅かに流した。






勘の良い彼ならば…
恐らく、僕の真意も上手く汲み取ってくれるだろう。

そして、僕の事を信頼してくれているなら…
子供達の指導も黙って僕に任せてくれるだろう。

それならば…時が満ちるまでは…
お互いに知らないフリをして過ごす事が出来る筈だ。




それが…今選べる最も良い道だと判断したのだが…
さて、結果はどう出ただろうか?
ちゃんと僕の思惑通りに運んでくれているだろうか。

まぁ…次回、子供達のところに行ってみれば解かる事だ。




「さて、次の訪問は…何時にしようか。」




僕の部屋の壁にある…
雲雀恭弥の自宅から貰って来た今年のカレンダーを眺めつつ…
思わず知らずに声が出た。









 <最強育成計画> 終わり


++++++++++++++++++++++++++++

※本編はこれで終わりです。



【後書き】


かなり以前にUPしていた、
家族シリーズの番外編『散歩』の続編となるアラウディが主役のお話でした。

今回公開するに前に、以前に書いていた内容を一部改訂し、
更に、この後におまけ会話を足しました。




このお話で書かれている場面だけを読むと、
アラウディと子供達二人が中心のお話のようですが
実は、その背景にアラウディと雲雀さんとの隠れた信頼関係があります。

子供達を挟んで、お互いの信頼があるからこそ…
このような展開になったという部分を感じ取って下さると嬉しいです。



『散歩』の方で書いたように…
今の二人は、お互いを認め合っている関係であり
一種の戦友のような…単純な友人知人とも違うモノがある関係です。

だからこそ…雲雀恭弥も
大事な子供達を黙って預ける気になった…という事です。





尚、この本編の後…何のかんのと
アラウディは長く雲雀一家に関わる事になるのですが
口では「面倒だな…」と言いつつも、
実際は、アラウディも密かに楽しんでいる…のは公然の秘密です。




RE!の本家の中にはない
アニメのオリジナルストーリーの方だけでしたが…
15歳の雲雀恭弥に対してアラウディは

「君みたいな子供の相手をする気はない」
…と言って、雲雀恭弥とのバトルを受け入れませんでした。

なのに何故…
中学生より更に幼い雲雀の子供達を鍛えてあげようと思ったのか。




その背景には…
アラウディの気紛れな気持ちが動いた…のが第一の理由。

それ以外に…
中学生当時では、相手にならない子供だった雲雀恭弥が
大人となった今では、相手にとって不足はないレベルに成長した事への
密かな賞賛の思いが少しだけあり。

その事実が…彼の子供達にも同じように将来有望性を感じさせ
そこに興味を持った…という部分。



そして、それ以外にも…
実は、アラウディ本人にも…かつて同じような体験をした事があるから…
という隠れた理由がある設定になっているのですが、
それは又、家族シリーズとは全く別のお話になります。
(※全て、私の脳内での妄想ストーリーです。)


…が、残念ながら…
私の脳内にある「別の物語」をこのサイトで公開する事は出来ませんので
宜しければ、是非、皆様の妄想力を駆使して…
ご自分なりの物語を紡いでみて下さいませ。




尚、文章中に出てくる…
「幽霊とも精霊とも違う、特殊な存在」である…という箇所は
当然ながら、私の妄想オリジナル設定です。

単に姿を現す事が出来るだけの存在ではなくて、
『一緒に食事をしたり、身体を使ったバトルが出来る存在であると嬉しい』
という私の願望が入った妄想がベースになっているお話です。




最後までお読み頂き…有難うございました。




++++++++++++++++


※この後に、本編終了後の<おまけ会話>があります。
今回は少し長いです。











[*前へ][次へ#]

6/7ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!