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* 最強育成計画 * <アラウディ> 5





丁度その頃…
毎年、彼らの父親である雲雀恭弥が
少しだけ子供達二人の相手をしてくれる事になっている
連続休暇のある日が近づいた。

その日に向けて、雲雀恭弥を相手にする為の
更なる特訓をしてあげる。



目前に、父親とのバトルという目標が迫っている事もあったのだろう
子供達二人は短期間に一気に
僕の指導内容を、順調に消化して行った。



「…これなら、今までのように一瞬で終わらせられる事もないだろう。」


バトルの前日の最後の特訓の終わりに、そう言ってあげると
二人は力強く頷きながら…




「明日は、僕達が成長した事を父さんに実感して貰います!」

…と長男の政紀が宣言をし、



次男の拓弥の方は…

「絶対に…向こうから“レベルが上がっている”と言わせてやる。」

と、強い決意を述べる。




彼ら自身でも、自分達が以前より向上している自覚があり
何とかそれを父親に認めさせたいようだ。

そんな彼らの様子を見ていて…
僕も…自分の指導方法が正しかったのかを検証する良い機会でもあるし
明日のバトルが…とても楽しみになった。










そして、いよいよバトルの当日。

僕は、敏感な雲雀恭弥に気が付かれないように…
細心の注意を払い、気配を完璧に消した上で、
更に念の為…姿を消した状態になった。

子供達は勿論、雲雀恭弥にも気が付かれていない事を確認の上
その状態でトレーニングルームの上部の階から…
彼らの様子をそっと見学する事にした。





雲雀恭弥は、僕の時と同じように…
子供達二人に同時に掛かって来るように指示をしている。

それを聞いて、頷いて…
僕が指導した通りに父親に向かって行く子供達。


…うん。

二人共…今日の動きもなかなか良い。



僕が教えた事を忠実に守り実践している。
何でもそうだが…
教えたからと言って、簡単にその通りに出来る物ではない。
だが彼らの再現率はなかなか高い。

年齢や今までの経験値を考えれば…相当に優秀な生徒達であると言える。




当然、まだまだ父親である雲雀恭弥には
全く敵わないレベルではあるが…
それでも数か月前の彼らと比べれば
格段に成長しているのがハッキリと解かるレベルだ。

雲雀恭弥の側からも…
彼らの成長ぶりを見て少し驚いている様子が伺える。

一体、何があったんだ?と
訝(いぶか)しげに思っているようだ。






ただ…
政紀と拓弥の二人が以前より格段に成長したとは言っても…
相手が雲雀恭弥なので、流石に限界があるようだ。

最初の数分間の間の…かなり手抜きの
緩い方法で相手をしていた時は何とかなっていた。

…が…途中から
『ほんの少しだけ気持ちを込めて相手をし出したな』
と気が付いた後に、
あっと言う間に二人はヘトヘトになり完全に倒れ込んでしまった。





まぁ、あんな攻撃を繰り出されては仕方ないだろう。

それより、まだ小さな子供達なのに
…良くあれだけ激しい動きで闘い続ける事が出来たものだ。


今まで僕が指導して来た
体力及び持久力強化プログラムが成功した証を見る事が出来て…
密かに見守っていた僕としては
今の時点では、十分に満足の行く結果だった。










倒れ込んでしまった子供達を見ていた雲雀恭弥が
子供達二人の息が整うのを待って…話し掛ける。



恭弥「以前より、随分と上達しているね。」
「何か…特別な訓練でもしたのかい?」



拓弥「…………。」



何も答えようとしない次男の拓弥。
無言のままで、父親に顔を向ける事すらしない。

その様子をチラリと見て
…長男の政紀が父親の質問に答える。



政紀「…少し、今までとは違う鍛錬をする事にしたんだ。」



恭弥「体力・持久力も向上しているし、動きもかなり良くなっていたよ。」



政紀「…有難う。」








恭弥「どんな鍛錬の内容に変更したんだい?」



拓弥「……秘密。」


ボソリと小さく答えた次男の拓弥の方を、
雲雀恭弥がチラリと見て…



恭弥「僕には言えない内容なのかい?」



拓弥「…………。」



政紀「そうじゃないけれど…でも、今は言いたくないんだ。」



恭弥「そう。言いたくないなら、無理に言わなくても良いが、」
「…あまり無茶な内容じゃないだろうね?」



政紀「うん。無茶はしてないよ。」



恭弥「君達の身体は成長期の真っただ中だからね。」
「身体の成長にマイナスになるような、過激過ぎる事はするんじゃないよ。」



政紀「…解ってる。その点もちゃんと気を付けてるから大丈夫だよ。」



恭弥「そう。それなら良いけれどね。」





普段は、子供達に対して冷たい態度に見える雲雀恭弥だが…
ちゃんと子供達の身体の事などに気を配っているらしい。


僕が彼らの為に組んだ強化鍛錬プログラムは
…当然ながら、彼らの年齢も今の体格も考慮している。
その点は…抜かりなくやっている。

ちゃんと実行すれば、飛躍的に体力も戦闘力も向上するが…
子供達の身体の成長を妨げるような事はなく、
寧ろ…その成長を助ける類の内容だ。





雲雀恭弥は…本当は父親として、
彼らのやっている鍛錬方法を確認しておきたいのだろう。

だが…子供達は、
僕との秘密の特訓を今はまだ父親に知られたくないらしい。

無理に言わせようとしないのは…
子供達の気持を尊重してあげたいからだろう。



だが…しかし…



(…………。)



その場で、少し考えを巡らして…どうするべきか考える。














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