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* 最強育成計画 * <アラウディ> 4




その後、僕達は場所をトレーニングルーム内に移動した。


どんな武器を使っても良いという条件を出して、
二人一緒に僕に向かって来るように指示をすると
長男政紀は、剣道で使う竹刀を持って立ち向かって来た。



この子は、普段から竹刀を使っているという訳ではなく、
単純にリーチの問題を考えて、
少しでも距離的に有利にしようと考えての事であるらしい。

重い木刀にしなかったのは、
体力的な事を考えての事のようだが…さて、どの程度粘れるのか。



次男の拓弥方は…
父親に頼んで特注で作って貰ったというトンファーだった。
この子は、使う武器まで父親譲りのようだ。

が、本人の話によると『これは一時的に使っているだけ』であるという。
本人的には、自分に合うと思う物を見つけるまでの間
一時的に使っている…という意識のようだ。

トンファーは携帯もしやすい…というのも理由であるらしい。







二人同時に僕に向かって攻撃を仕掛けて来るが…
まぁ、確かにこれでは…
まともに相手をしてあげるレベルには全く達していない。

だが、一般の子供に比べれば
二人共、遥かに高いレベルである事も確かだ。

これなら…庭が荒らされて修復に困るというのも
頷ける位の戦闘力はある。




俊敏性のある運動能力や、
時折見せる闘いにおける勘の良さなどは…
彼ら二人が相当に優れた戦闘センスを持っている事を表わしていた。

が、動きがあまりに荒すぎる。
これでは無駄な体力ばかり使って早く疲れてしまうだろう。

長く闘い続ける事は困難だろうな…と内心で思いつつ相手をする。









二人がヘトヘトになるまで、軽く付き合ってあげた後…
座り込んでしまった二人に声を掛ける。



「正直、まだまだ…僕が相手をしてあげられるレベルでは全くないね。」
「君達の父親が、まともに相手をしてくれないのも当然だ。」



僕の言葉を聞いた二人が酷く落胆の表情を浮かべる。



「だけど…二人共、筋は悪くない。」
「君達の年齢を考えれば…今のレベルは標準を遥かに上回っている。」



「…………。」



「それに、戦闘センスの良さも際立っているようだ。」
「これなら…少し相手をしてあげても良いよ。」



その言葉を聞いた途端に
二人の表情がパアッ!と明るくなる。

さっきまでグッタリ座り込んでいたのに、
揃ってスクッ!!と立ち上がって…



「やったっ〜!!」

「アラウディさん、有難うっ!」


と大喜びしている。







正直な話…まだまだ彼らは幼さ過ぎて…
僕が相手をしてあげるには、少々…いや、かなり無理がある。

だが…そんな彼らの成長が早くなるように、
アドバイスをして導いてあげるというのも…案外面白いかもしれない。


何時もならば、やろうとは思わない事だが…
ふと、大昔の記憶を思い出して気持ちが動いた結果だ。




「じゃあ早速だけれど…普段の運動から見直しをしてみようか。」



「…はいっ!!」









とても嬉しそうに元気良く大きな声で返事をした彼らは、
普段の自己流でやっている鍛錬方法について
順番に僕に一生懸命に説明をする。

その内容を聞いて、
僕の方から改善するべき点を指摘し、具体的な指示を出す。

次に僕が来るまでの間に、
その方法で体力作りなどの基礎鍛錬をする事を約束し
その日は、それで帰る事にした。






その後、約一ヶ月後に再び来て見たが
二人は僕と決めた基礎鍛錬を毎日キチンと続けていたようで
以前に比べて明らかに必要な場所の筋肉も付き、
俊敏さや肺活量など様々な点が向上している。

…順調に仕上がっているようだ。



再度、先日と同じように
二人で同時に僕に向かって来るように指示をすると
予想通り、前回よりは動きが良くなっている。

…が、まだまだ改善するべき点はかなり多い。
そこで再び、次までの間にやるべき事を指示をして…帰る。

…という事を数か月繰り返した結果、
二人はみるみる動きが良くなった。







伸び盛りであるという事もあるのだろうが
…短期間でここまで成長するとはたいした物だ。

内心ではそんな事を思っていたが、口には出さずに
基本的に辛口の批評しかしなかったが、
二人が反発して来る事も、苦情を言う事も、
当然…泣き言を言う事も一切無かった。

精神力・忍耐力という面でも優れた資質を持つ子供達であるようだ。









そんな基礎的鍛錬を数か月連続でやった後…



「より俊敏な動きの為の筋肉も、そこそこついて来たし、体力も前より向上した。」
「今日からは実戦的な動きについての指導も、少ししてあげよう。」


…と、二人の子供達に言ってやると、
待ってました!と言わんばかりの大喜びをする。





長男の政紀が…

「宜しくお願いしますっ!」

と破顔させつつも礼儀正しく言えば…



その隣の次男の拓弥は…

「…この時を待ってた。」

と、不敵な笑みと共にポツリと声に出す。





実際にバトルを繰り広げる時の細かい動作や
動きに合わせた呼吸方法や注意する点についても指導を始め
より良い動きが出来るよう細かなアドバイスをした結果…

二人は、たった数か月の間なのに、
今までに比べて格段の成長を遂げた。












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あきゅろす。
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