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* 最強育成計画 * <アラウディ> 2




…そこは…
とても広くて高さも十分にある
…まるでこの時代の競技施設のような建物だった。



部屋の隅には、ボール競技をする為の施設もある。
一見良くある、この時代の学校の体育館のように見える。
が…しかし、良く良く見ると…
床も壁も…何十にも強固に作られているようだ。

近くで壁を見てみたが…
これは一体、何の素材で作っているのだろうか?
かなり頑丈そうな壁だ。



体育館ならば、普通にガラス窓もある筈だが…
この建物には全く窓が無い。
つまり、ココは…所謂“トレーニングルーム”という事だろうか?


雲雀恭弥が、時々“発散”するのに使っているのか…
又は、何か“実験”的な事をしているのか
どんな風に使っているのかは分らないが…きっと、そうだろう。



…ふぅん…これは楽しそうな部屋だ。
こんな施設ならば、僕も個人的に欲しい物だ。







と、そんな事を考えつつ、見渡していたら
…少し遠くの背後に人の気配がした。


…この気配には覚えがある…

そう思いつつ、後ろを向いて
…気配のする方向に視線を向ける。





そこには…
僕に似ていると言われていた次男の拓弥という子の姿。
今、丁度…学校から帰って来た所なのだろう。
学校用の鞄らしき物を持っている。


帰宅してみたら、誰かの気配を感じたので…
不審に思って様子を見に来たら僕が居た…という感じだろう。
僕の存在に気が付いて…少し驚いて見ているようだ。





「…やぁ。…今、学校から帰って来た所かい?」



「…そうだよ。」



「そう…お帰り。」
「誰も居なかったから、勝手に庭を見せて貰っていた所さ。」



「…アラウディ…だったよね?」
「…貴方、どうやって邸内に入ったの?」
「この家の全ての門には、特殊な鍵がかかっていた筈なんだけど。」



「ふぅん、そうなのかい?」
「茶室も、この建物も鍵がなかったから…ココは全部鍵なしなのかと思ったよ。」



「中に入れば、母屋以外は、普段は鍵を掛けてないよ。」
「そもそも認証されていない者が、」
「各門のセキュリティーを突破して邸内に入るのは不可能に近いからね。」
「門以外の場所…例えば壁を乗り越えようとしてもセンサーが反応するようになっているし。」







「へぇ…流石だ。」
「かなり厳重な警備システムがあるんだね。」



「僕の質問に答えて。」
「…どうやって、邸内に侵入したの?」



「僕は…自分の好きな場所に、自由に出現出来るからね。」



「…出現?」



「そうだよ。」
「…ん?もう1人の子が帰ってきたようだね。」


もう一人、長男の政紀という子の気配がしたので
…二人でそちらを見る。







すると、向こうも僕達の気配に気が付いたのだろう
僕達がいる建物の前まで走って来る所だった。

拓弥が僕に少し殺気を向けているのを感じたのだろう
…何事かと少し慌てた様子だ。





近くまで来て…やはり少し驚いて僕を見る。

そして…

「…アラウディさん?…どうしてここに?」

不思議そうな顔をして、尋ねて来る。




それに対して、少し殺気を放ったままの拓弥が答える。


「ついさっき、僕が学校から帰ってみたら…勝手に邸内に入っていたんだ。」



「…え?…」
「今日は母さんも父さんも…他の皆も誰も居ないのに?ひとりで中に入れたの?」



「彼は…自分の好きな場所に“出現出来る”って、言ってるんだ。」


そう話をしつつ、不審な顔を向けて来る。


政紀も、先ほどの拓弥と同じく…
「…出現?」と疑問の声を出す。









まぁ、これだけの説明では解る事はないだろうな。
そう思いつつ口を開く。


「君達は、先日会った時に…」
「僕が普通の人間ではなさそうだという事には気が付いたんだろう?」

そう尋ねると
…少し戸惑いつつもコクンと一緒に頷く。


やはり、あの勘の良い雲雀恭弥の息子達だけの事はある。
どうも普通ではなさそうだとは気が付いても
…それ以上の事は分らないので戸惑いがあるのだろう。






納得させる為に…実際に見せてやるか…


「君達の目の前で消えて見せて、もう一度ココに戻って来る所を見せてあげる。」
「…そこで良く見てて。」


そう話をすると同時に…一旦、僕達の世界に還る。
その後、直ぐに先程と同じ場所に移動する。


(…っ!!!…)


子供達二人から、衝撃とも言える驚きが伝わって来る。







「…信じられたかい?」
「僕は、こうやって好きな場所に現れる事が出来るんだ。」



「今、テレポーション…したの?」

と…驚きを隠せないまま政紀が尋ねて来る。





「今の僕には肉体はない。」
「だから一般的なイメージのテレポーションとは少し違うな。」
「魂や意識の移動の事も…テレポーションと呼ぶなら別だけれどね。」



「…え。…肉体が…ない?」



「そう。今は一時的に、生前の身体を現象化させて見せているだけだよ。」
「霧属性の者が使う有幻覚にも若干近いが…それとも少し違う。」



(…………。)









一呼吸置いて…政紀の方が…


「貴方は…何者ですか?」



「さぁね…自分が何者なのか、自分でも上手く説明できないな。」
「ただ、所謂…幽霊のような物ではないようだ…と言っておこうか。」



「…そうですよね。だって…この間一緒に食事してたし。」


と、頷きつつ言う。







それに答え…


「…そうなんだ。」
「どういう原理か知らないけれどね…何故か食事も出来る。」



「でも、あの…」
「僕達と同時代に生きている人とも違う…という事ですか?」



「僕が地上で肉体を持って“本当に生きていた”時代は、」
「…君達の生きている、この時代よりだいぶ昔の時代だよ。」




「…………。」

「…………。」


僕の説明を聞いて、二人の男の子は黙り込んでしまった。












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