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* 散歩 * <アラウディ> 1

※ご注意

★『時を重ねて』のシリーズ=【家族シリーズ】を先にお読み下さい。




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◆最初に設定の説明です◆

※パラレル設定である『家族シリーズ』の中の番外編的なお話。
(→その為、ヒロインは雲雀さんの妻になります。)

※アラウディ達は、自分の意思で自由に気儘に現代に出て来る事が出来る。
※T世達の世界の中では時間が経つ感覚は解るが、歳はとらない。
※T世達が外に出る時は、好きな場所に出現し、好きな場所から帰る事が出来る。





以下、本編が始まります。




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【家族シリーズの番外編】



 * 散歩 * <アラウディ>






今日は…久々に気が向いて“外の世界”に出てみた。

何時もならば、適当な公園辺りで少し過ごす程度で
直ぐに戻るのだけど…

何となく…
街を歩いてみたくなり…気紛れに散歩をする事にした。




『並盛』…というこの街が
]世の雲の守護者である雲雀恭弥が治めている街なのは知っている。

治めると言っても…
昔の領主のように統治してる訳ではなくて
実質上の実権を握っている…という意味のようだが。

まぁ、どちらにしろ彼が…
この街の表も裏も全てを統べて、君臨している事には違いない。






あまり認めたくはないが…
雲雀恭弥と僕がソックリだと…ジョットやナックル達に良く言われる。
(自分達だって、沢田綱吉や笹川了平とソックリじゃないか。)



他人がどうしようと、あまり関心が無い僕だけれど…
僕に似ていると言われる雲雀恭弥が
どんな風に街を統べているのか…少しだけ…関心がある。

ほんの少し、だけれど…ね。







という事で、適当に歩いて見て周っているが…

…ふむ…。

なかなか美しく整備された街並みだし
住み易そうな良い街のようだ。





日本の道路にしては、比較的余裕のある幅の道路の多くには
ちゃんと歩道が整備され
場所によっては、自転車専用道路もある。

町全体に街路樹が綺麗に植えられており
…適度な広さの公園もアチコチにある。




僕が見て周った限りでは
病院や図書館や体育館などの公共・半公共の建物も多いようだ。

駅の周辺は大変に賑わっていて、大型の店が軒を連ねている。
その周囲には中小規模の店が数多くあり
…更に周辺には個人商店も多い。

一見して、この街がとても賑わっていて
活気があり豊かな街であると解る。



インフラが整っているのは勿論だが
それ以外に民間の活力も感じられる街だ。

なかなか…素晴らしい街じゃないか。










そんな感想を抱きつつ
行く宛てもなくブラブラと散歩をしていたのだが…

ふと…僕の少し前を歩く女性に目が留まる。




その女性は、身体の割に大きな荷物を一生懸命に持って
…若干よたよたと歩いている。

一体、何を運んでいるのか知らないが
かなり大きな荷物だ。


彼女が持つ事が出来ているのだから
その荷物の重さ自体はそれ程でもないのだろうが
サイズが大き過ぎて…あれではロクに前も見えないだろう。




そう思って見ていると…


(…っ!…)


案の定、前から来ている子供に当たりそうになり
ギリギリの所でかわした。






その内に事故にでも合うんじゃないだろうか。
周囲を見るが、その女性の連れらしい人物も居ない。


(…っ!…)


今度は、もう少しで自転車とぶつかる所だった…。

…何をやっているんだ。




「…………。」



つい気になってしまい、そのまま暫く様子を見ていたが…
相変わらず、何度も人や物にぶつかりそうになりつつ
ギリギリで避けつつ歩いている。



何度も何度も…


「…すみません…。」


と謝りつつ歩いている彼女を見ていて
…何故か…ふと…僕の気紛れな気持ちが動いた。








そして次の瞬間…

…自分でも信じられない…とても珍しい行動に出た。







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先ほど、ちょっとした用事があり寄った…
末っ子の真衣の幼稚園のお友達のお家で、以前に、お貸ししていた
『お泊り保育の時に使う子供用敷き布団』を返して貰った。

けれど…生憎、今日は車では来ていない。


…ので…
『改めて取りに来るから少し置かせて貰えますか?』
…と話そうとした所で

そちらのお宅で、ちょっと激しい兄弟喧嘩が始まってしまい
…お話そびれてしまった。



兄弟喧嘩の仲裁をする為に、忙しそうなママ友達の様子を見て
私は…早々に帰宅した方が良い事を悟り
敷き布団を、じっと見て少し考えた結果…
『自宅までそんなに遠くないし、抱えて持って帰ろう』と決めた。







…が…

子供用とはいえ、敷き布団なので結構な大きさがあり
…思った以上に…公道を歩いて運ぶのは大変だった。

自宅の中で移動する時は
もっと楽々持っていたように思うけれど
良く考えたら、自宅の中で移動させる距離は短いし
…それに手ぶらだ。



一方、今は…数ブロック先の自宅まで運んでいる上
肩からはバックも下げている。

…それに…
疲れたからと言って、地面に置くような事も出来ない。

前が良く見えていないし、横を通る人も良く見えて無い。
先ほどから、何度か人や自転車にぶつかりそうになっている…






(これは…思った以上に…大変だった)
(やはり、後で車で取りに来るべきだった)

少し立ち止まって
心の中で、盛大に溜息を吐いている時に…


気が緩んでしまった為、腕の力が少し抜け
…布団がスルリッと落ちそうになるっ…!


(…あぁ!…大変っ!)


大急ぎで…下に落ちようとする布団に手を伸ばすっ!






「…全く、見ていられないな。」




(…っ!…)




…その後、気が付いたら…


後ろから近付いて来ていたらしい男性が…

私の抱えていた敷き布団を…ひょいと持ってくれていた。








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あきゅろす。
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