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虹の彼方 7






自分の部屋に行く前に、
“ボスと、初顔合わせをする”
…と聞いて、
少し忘れていた緊張感が再び蘇り…
ガチガチに固くなりつつ、何とか二人に付いて行く。




とあるドアの前まで来た所で…

「さぁ着いた。ここだぜっー!」

と明るく行って、ノックもしないで
山本さんがいきなりドアを開けようと…した。


…が、寸での所で、
隣の獄寺さんが小声で

『ちゃんとノックしやがれっ!』
と言いつつ、素早く山本さんの手を払い除ける。

山本さんは、少しだけ苦笑い。





獄寺さんは、軽く山本さんを睨み付け…姿勢を正すと
改めてドアに向き合い
コンコンと丁寧なノックをし、ゆっくりドアを開けつつ…



「…失礼致します。」
「…十代目、藤宮優衣さんを連れて来ました。」





さぁ…いよいよボスとの対面の時だ。


私の緊張はピークに達していた。






獄寺さんの声と同時に、
後ろから山本さんに軽く背中を押され…恐る恐る、部屋の中に入る。

執務机に座って仕事中の、一人の男性の姿が目に入った。




獄寺さんの声に反応して、男性がゆっくりと顔を上げる。




…っ!…。


…なんて、暖かい雰囲気の人だろう…

まるで包み込まれるような…優しさと安心感を感じる人。
とても印象に残る人だ…。




明るい髪の色。綺麗な琥珀色の瞳。

…そして、満面の笑顔。

ハーフではなさそうだけど…少し日本人離れした印象の容貌だ。







ニコニコと、それは嬉しそうな笑顔で立ち上がり…
わざわざ机を離れ、ゆっくり近寄って来た。



「獄寺君、山本…有難う。」


そう二人に先に声を掛け、
獄寺さんが軽く頭を下げ、山本さんがニコッと笑うのを確認すると
私の方に向き直り…
綺麗な瞳で真っ直ぐに見ながら、挨拶をしてくれた。






「初めまして。オレ、沢田綱吉と言います。」
「来てくれるのを、楽しみに待っていました。」
「…これから、どうぞ宜しく。」



「…あ、…初めまして。藤宮優衣と申します。」
「今日より此処でお世話になります。どうぞ、宜しくお願い致します。」




笑顔にホッとしつつも…
まだ少し緊張しながらペコリと頭を下げ、挨拶をした。









本心から嬉しそうに、満面の笑顔で立っている男性は、
まだ若くて、とても優しそうな印象の人。


…この人が…マフィアのボス?

…本当に…?



正直、どう見ても全くマフィアには見えない。
ましてやボスなんて…。

もっと強面の怖そうなおじさんだろうと身構えていた私は、
…少々拍子抜けした。








獄寺さんも山本さんも…そして、目の前のボスも…
皆さん、とても若い人ばかり。

それに…なかなかのイケメン揃いだ。


私は、特別に面食いだと自覚はしていないけれど
…何となく嬉しくなる。



だって、怖そうなおじさんに囲まれてお仕事するより…
若くて素敵なイケメンに囲まれて、お仕事する方が
……誰だって、嬉しいに違いない。



“思っていたより、良い職場かもしれない”
…なんて思う私は、自分に都合の良い…ポジティブ思考の持ち主のようだ。
















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あきゅろす。
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