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虹の彼方 66





ロンドンでの宿泊ホテルも、
老舗の超一流有名ホテルだった。

でも、今回は…
寝室が二つあるファミリータイプのスィートルーム。



これなら恭弥さんをソファーで寝かせたりしないで済む…とホッとした。

しかし…本来は4人用の、この豪華で広いお部屋を
二人で使うのは少々贅沢な気がする。

キングサイズベッドの方のお部屋を、恭弥さんに使って貰い
私は、シングルベッドが二つ並べて置かれた方の
お部屋を使う事にした。




このホテルは、最近…伝統を生かした改装工事が終わったばかりで
スッキリした清潔感もある。
アメニティーグッズや冷蔵庫の中や
お部屋の中のミニバーも、内容が大変充実している。

なかなか快適に過ごせそうなホテルだ。






到着後に少し休憩をした後に、アフタヌーンティーを頂いたけれど
流石、イギリス…紅茶が大変に美味しかった。

尤も、一緒に出されたお菓子類は、日本で頂く方が…美味しく感じられる。

まぁ、イギリスだし…
お食事については、あまり期待しないでおこう。




そういえば恭弥さんは、イギリス料理は大丈夫なのだろうか?

お世辞にも美味しいとは言えないので有名な…
この国の料理を、滞在中に毎日食べるのは
あの味に敏感な恭弥さんでは無理…というか
耐えられないのではないだろうか?

…そんな心配を…こっそりした。









イギリスでのターゲットは…
貴族階級である男爵の称号を持つ男性。

このターゲットのコードネームは、
ニコラスの短縮形である「ニック」と呼ぶ事になった。


“ニック”はまだ若く、地方に広大な領地を持っている。
大の馬好きで馬主としても、そこそこに知られた人物だ。
趣味は、テニスや乗馬であるらしい。

そして独身であり…イギリス社交会では、
そこそこの浮名を流している人物でもあると資料にある。






今のこの時期のイギリスは
『ザ・シーズン』と呼ばれる社交シーズンに当たり
貴族階級の人や富裕層の人は、日々パーティに忙しい。

実に様々なパーティが常にあちこちで行われている時期なので
ごく自然にパーティに潜入し、
ターゲットであるニックにも近づき易いだろうと考え
わざわざこの時期を選んでいる。




でも、今回は…敢えて、直ぐにパーティに潜入しないで
先ずは、ザ・シーズンのメインイベントとも言われている
「ロイヤルアスコット(競馬)」に
“ロイヤルエンクロージャー・エリア”で参加する事になった。

貴族であり馬主でもあるニックと
“取り敢えず、軽く接触をしよう”という狙いだ。






…にしても…

ロイヤルファミリーメンバーが
毎日、ロイヤルボックスで観戦なさる事で有名な
ロイヤルアスコットの中でも『ロイヤルエンクロージャー・エリア』は

その名の通り…ロイヤルファミリーに関係がある方、及びそのゲスト、
馬主、及びメンバーしか入れない筈だ。


“一体どうやって…”
“ロイヤルエンクロージャーに入場出来る資格を得たのだろうか”

…という疑問はあるけれど…

目の前には、ちゃんと入場の時に必要な
私達の名前が印刷されたバッジが置かれている。



まぁ深く詮索はしないでおこう。

…うん…。










前回のドイツの時と同じように…
事前準備の為の書類に目を通し、ニックに関係のある人物や、
接触する可能性のある人物について、一通りの事を頭に入れる。



今回は、ザ・シーズンの時期なので…
世界中からのセレブもイギリスに来ている。

それだけでなく、欧州ではこの時期
各国間をプライベートジェットで移動しつつ午前と午後で
『別々の国でのパーティに参加する』ような事も、ごく普通に行われる。


つまり、イギリス人だけでなく…
世界各国の人物達と接触する可能性がある訳で。
“ある程度の事を覚える”と言っても…正直限度がある。





という事で…
ニック周辺の人物像+今年話題のセレブについて絞って
草壁さんの用意してくれた資料+現地での新聞数日分+数種類の雑誌
を読み込んで、一生懸命に頭に入れる努力をした。


ある程度は、日本に居た時に学習して来ているが…
今年の新たな流行や、今の旬の話題を知っていなければ…
とてもではないが会話に付いていけないだろうし
受験勉強並に…必死に覚えた。











今年のロイヤルアスコットでのドレスの流行色は、
何色だろうか…と思い調べてみると
“明るく薄いブルー”…つまり水色のようだった。

恐らくは、日本人だというだけで…ある程度は目立つだろうし、
ドレスは流行色に合わせる事にした。



ドレスに合わせたジュエリーは日本でたくさん用意をしてきたけれど、
帽子については、無難そうな物を4つ持って来ているだけだ。

私はあまり帽子は好きではないし…
日本で探した時に、あまり良い帽子が見つからなかったので

恭弥さんに…

『必要になった時に、現地で買いに行けば良いだろう。』
と言われていたからでもある。






という事で…事前準備の一環として、
イギリス滞在中に使いそうな帽子を購入しに行き
着る予定のドレスに合わせて、数点を購入した。











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