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虹の彼方 52





とうとう…欧州への出発当日になった。

1ヶ月半の準備期間は、あっと言う間に過ぎた。
毎日忙しい中で時間をやりくりし…何とか全ての準備を終えた…と思う。






持って行くスーツケースは既に準備を終えて、
昨日の内に、荷物の集配会社に預けた。

この集配会社は、
表向きは普通の会社であり、事務所も普通に駅前のビルにあり
世界中にネットワークもあるのだが…

実質は…風紀財団関連の仕事しか請け負う事のない会社。
当然、働いている人は全員が風紀財団員だ。



今回の仕事での荷物の運搬は全て…
この会社の社員さんがしてくれる事になっている。

なので、私が持って周るのは少しだけ大き目のバックのみ。
普段の買い物等で使用するバックと、基本的には変わらない。










出発準備を終えて、ツナの執務室に向かう。

仕事の為とはいえ、これから3か月も留守にするのだから…
ちゃんとご挨拶をしておかないと。



軽いノックの後、室内に入ると…
そこにはツナだけでなく、リボーン、獄寺さん、山本さん、笹川さん…
そして…数日前より日本に滞在しているディーノさんも居る。
…どうやら、皆で集まってくれていたようだ。




「今日より3ヶ月の予定で、留守にさせて頂きます。」
「ご迷惑をお掛け致しますが…留守の間、どうぞ宜しくお願い致します。」


皆さんに向かって、深々と頭を下げて挨拶をする。







ツ「こっちの事は、心配しなくて良いからね。…きっと…何とかなるから。」



獄「俺が居るんだし…何の心配もねーからな。」



ツナが、やや自信なさそうに言った後に、
獄寺さんが自信満々に言う。



「はい。…有難うございます。」









山「優衣は、頑張り過ぎる所があるからなー。…気楽に行けよ?」



笹「その通りだ!極限、無茶をせんようになっ!」



「はい…。」









デ「向こうで何か困った事態になったら、遠慮なく連絡をしてくれ。」



「はい。何かあったらご連絡をするかもしれません。」
「…その時は宜しくお願いします。」



デ「あぁ。恭弥と優衣の為なら、何時でも駆け付けるぜ!」




にこやかな笑顔でディーノさんが声を掛けてくれる。



「…有難うございます。」












リ「こっちの心配は要らねぇぞ。その点は安心しろ。」



「はい。」



リ「ヒバリが一緒なんだし…大丈夫だろうとは思うが、気を抜かないようにな。」



「解りました。充分に気を付けます。」









ツ「皆も言ってるけど…頑張り過ぎて、無茶な事をしたら絶対にダメだからね?」



「はい。」



ツ「こんな事言ったら、ヒバリさんに怒られそうだけど…」
「ぶっちゃけ、仕事の成功なんて気にしなくて良いから!」



「…えっ…。」



ツナの言葉に驚いていると…








ツ「そんな事より…優衣自身の安全の方が何倍も大事だからね。」


あぁ、成程…そんな意味なのね。
…ツナらしい言葉だ…。



「はい。…気をつけます。」









ツ「丁度、期間中に…俺達も仕事の都合でイタリアに行く事がありそうだし…」
「タイミング良く、向こうで逢えると良いんだけど。」



「そうですね。」



ツ「あ、でも…会っても、お互いに知らないフリをしないといけないんだよね…」



「…はい。ボンゴレと繋がりがあると思われると困りますので…。」
「もしかしたら…あちらで会っても無視するかもしれません。」
「…その時は、すみません…。」



ツ「あぁ…うん、解ってるから大丈夫だよ。」
「俺達は、優衣の元気な姿を見られるだけで良いからさ。」



「お互いに…こっそり見る感じになりそうですね。」



ツ「そーだね。」











ツナと笑顔で会話をしている所に、
何時もとは、少し調子の違う声色でリボーンが話し掛けて来た。



リ「……優衣…。」



呼ばれて、リボーンの方を見ると…
…何時になく真剣な表情。

どうしたのだろうか?
と、やや疑問に思いつつ返事をする。




「…はい。」




リ「…………。」




自分から声を掛けて来たのに…
何も言わないで、じっと私を見詰めるリボーン。


本当に…どうしたのだろうか?
こんなリボーンは珍しい。





「…あの?…どうかされましたか?」



リ「……いや、何でもねぇ。兎に角…色々な事に気を付けるんだぞ。」



「…はい…。」




リボーンが、何を考えているのか気になるけれど…
この様子では言いそうにない。

これ以上突っ込んで聞いても…無駄そうだ。
そう思い、私も『はい』と返事をするだけに留めた。









リボーンは…表面上の口はやや悪いけれど、
実は案外…心配症で優しく…
普段から、私の事には…とても気を遣ってくれている。



何時だったか…仕事中に話の流れで、ふと…


『お前を、この世界に引き摺り込んだのは俺だからな。』
『俺は…お前が幸せになれるようにする義務があると思ってる。』

と、真面目な顔で言われた事がある。





その時…確か…

『お気持ちは、とても嬉しいですが…でもココに来ると最終決断をしたのは私自身ですし…』
『自分で決断した事の責任は…自分でちゃんと取ります。』

『それに自分の幸せは…ちゃんと自分で努力して掴みますので大丈夫ですよ。』

と、答えた…と思う。






今のリボーンを見て…ふと…

何故か、あの時の光景が思い浮かんだ。













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