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虹の彼方 49





そろそろ昼食の時間になる…という事で
ショッピングモールを出て移動する。

色々な話をしながら暫く歩いて、
繁華街から少し離れた所にある上品な感じの和食のお店に入った。


今日は、何時ものように予約をしていた訳ではなく、
偶々目に入ったお店に行ったので…
雲雀さんに気が付いたらしいお店の人が、
明らかに動揺しているのが解る。






平日である為か、時間が少し早めである為か…
店内はまだ殆どお客さんがいない。

…おどおどしつつ、
そのお店で一番良いと思われる個室風に遮られた席へ案内された。




料亭ではないので、そこまで凝った店内ではない。
お部屋の直ぐ横に廊下があるし、
すぐ隣にも同じような個室が2つある。

けれど一応廊下側に襖もあり、窓の外は
小さい日本庭園が見えるので、そこそこの雰囲気はある。
落ち着いて過ごせそうなお店だ。



メニュー表を見ると、
どの定食も季節の素材を使ったメニューになっている。

普通の定食では量が多そうだったので、
少し量が少な目のお昼のランチ用に用意されていた定食を選んだ。
雲雀さんも、同じくお昼のランチ用の中から選ぶ。
…でも、あの量で足りるのだろうか…。










お食事が来るまでの間、
お茶を頂きながら、のんびり庭園を眺めていたら
草壁さんが急に現れて驚いた。

そう言えば…
お店に入る前に雲雀さんが草壁さんに電話をして、
このお店の名前を言って、何かを指示していた…な。




どうしたのだろう…と、そう思っていると。
私の方を向いて



「藤宮さん…お荷物をお預かり致します。」



「…荷物?」



「はい、先ほど買い物した荷物をお預かりし、後程お届け致します。」




あぁ…先ほどのヒバードグッズの事ね。

一番大きな縫いぐるみはそこそこの大きさがある上に、
中ぐらいのもあるので、確かに結構大きな包装になっている。
けれど、特別に重い訳ではないし…大丈夫なんだけどな…





と思っていると雲雀さんからも


「大きな荷物を持って周ると邪魔になるだろ。哲に預けると良い。」


と言われ…お言葉に甘え預ける事にした。






「…あの、では…宜しくお願い致します。」



「はい、お預かりします。」
「この荷物は今日のご帰宅後、直ぐに藤宮さんのお部屋にお届けに参ります。」



「…はい、分りました。」



…先ほどの電話は荷物を受け取りに来るように、
という話をしたのだろうか。
わざわざ、このお店を探して来てくれた草壁さんに申し訳なく思いつつも、
お言葉に甘えて、大きな紙袋に入った荷物を預ける事にした。









その後、運ばれて来た昼食をのんびり頂き…
お食事が終わる頃に、
緊張しつつ挨拶に来た店長と調理長の丁寧な言葉の後に
軽く簡単に挨拶を返し、お会計を頼む。



…今度は、雲雀さんはカードで支払った。

当然のように…ブラックカードで。



持っているとしたらブラックカードなんだろうとは
思っていたけど…やっぱり。

雲雀さんが、何枚のカードを持っているか不明だけど…
間違いなく全てのカードが限度額無しで無制限に使えるタイプなのだろうな…
なんて、そんな事をぼんやり思った。











その後、綺麗な並木道とお洒落なお店が多い事で有名な地域を
ゆっくりと歩きつつ、時々お店を覗く
…という事を繰り返した。

この通りはデートで来る人達も多い通りだ。
さっきまでのショッピングモール以上に、
こうして二人で歩いていると…もっと恋人っぽい感じだ。

…実際の所、周囲の人達には…どんな風に見えているのだろう。
そんな事が、ちょっぴり…気になる。







途中…和装小物や和風のグッズがあるお店を見つけたので
お店に入ってみた。

店内は、浴衣や着物、半纏等の和服、下駄や草履…などの和装小物。
着物の生地を使った様々な商品や、有田焼などの陶芸品や、竹や木の工芸品に版画…
日本の名所のポストカードや、日本の切手、日本の記念硬貨まで。

実に様々な「日本・和」を感じさせる商品が山積みだ。





お店のある場所柄もあるのだろうけれど、
海外からの旅行者らしい人が多く店内にいて商品を興味深そうに見ている。

…どうやらお土産にする品物を探しているようだ。
確かに、このお店で売られている商品達ならば、とても喜ばれそうだ。





「このお店は、日本中のお土産に良さそうな商品が揃っていますね。」



「うん。なかなかの品揃えだ。」
「丁度良いから、僕達も欧州で知り合った人に渡せそうな、ちょっとした物を買おうか。」



「はい。あまり大きくない物が良いですよね?」







「そうだね。…それに、壊れ難い物。そこそこの値打ちがある物。美しい物。」
「今、現在…渡す予定の人が決まっている訳ではないから、全年齢に良さそうな物。」
「そして…男女問わず喜ばれそうな物。条件としては…そんなものだろう。」





…という事で、
広い店内の1階〜4階まで全てのフロアを
順番に見て行き…
欧州に持って行くのに邪魔にならない程度の大きさの物で
差し上げると喜ばれそうな商品を、数種類選んで購入した。




雲雀さんは『ちょっとした物』と言ったけれど…
結局、選んだ品々はどれも一級品ばかり。

そのお店の商品達の中でも
目玉であるような上質な品ばかりを選んだ。

此処でも雲雀さんはカード決済をし、商品を受け取る。
…と、殆ど同時ぐらいに草壁さんが来て、
また商品の荷物を受け取って去って行った。


…草壁さんブラボー!

相変わらず、素晴らしいタイミングだ。
感心しつつ、その後ろ姿を見送った。












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