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虹の彼方 48





翌朝…少し早めに起きて、念入りに支度をする。

雲雀さんに買って貰った
お洒落な服のコーディネートにもかなり慣れて…
今では殆ど迷う事なく、準備が出来るようになった。

やはり…
こういう事は、慣れておく事がとても大事だと良く解る。
あの時、リボーンに忠告された事が有難い。





普段のお手入れにも慣れて来た…
最初の頃は、要領も悪くて時間が掛かったのだが
今では肌や髪の手入れも、お化粧も…手慣れたものだ。

ボンゴレの皆さんにも…
『優衣ちゃん、最近綺麗になったね』…等と、言って貰える事が増え
くすぐったいけれど…素直に嬉しいとも思う。

“如何に魅せるか”という事に心配りをする事は、
とても大事な事なのね…








準備を済ませ、待ち合わせの場所に向かう。
今日の待ち合わせの時間は、
お店の開く時間に合わせたので何時もより少し遅い。

車は草壁さんが運転するようだ。




駅の近くにあるショッピングモールに着いた所で、
草壁さんは帰って行った。
少し前に開店したばかりなので、まだ人も少ない。

今日は平日だけど…
このままあまり人が増えないと良いのだけど
…と内心で思う。






この巨大なショッピングモールは…
一体、幾つお店があるのは解らない程に大きい。
4階まである各フロア毎にテーマがあり、
とてもお洒落に配置されている。

何度か来た事があるが、あまりのお店の数に
未だに、全部のフロアに行った事がないくらいだ。






インフォメーションでフロア案内を貰い、
暫くじっと見ていた雲雀さんが…声を掛けて来た。




「ゆっくり見て周ろうか…」



「はい。」



「行きたい店や、見たい物がある時は遠慮なく見て良いから。」



「解りました。」



そう答えて…
並んで、一緒にゆっくりとお店を見て周る。









最初の頃には、考えもしなかったけれど…
今では、こうして二人で並んで歩く事にも慣れた。

…まるでデートのようだ…と内心で思う。


そう思うと…少しだけ気恥ずかしい。
チラリと隣を見ても、雲雀さんは普段通りの涼しい顔…

変に意識しているのは私だけ…のよう。
まぁ…当たり前よね。








歩いている内に、
様々な雑貨が売られている一角に来た…

お洒落な物、可愛らしい物、ちょっと目を引く変わった物…
色々な物が売っていて、眺めて周るだけでも結構楽しい。



こんな場所は嫌がるだろうと思っていた雲雀さんは
恐らくは、あまり目にする事のないであろう
珍しい物達を目の前にして…興味深そうに眺めている。

普段、雲雀さんが
どんなお店に行くのかなんて知らないけれど…
きっと、こんな雑貨屋さんなんて来るのは初めてなのではないかな。








色々と見て周っている内に、
ひとつの商品に目が留まり…思わず手に取った。



(…か、かわいい…!)






それは、ヒバードにとても良く似た可愛い鳥のグッズ達。

大中小の縫いぐるみ、ハンカチ、マグカップ、タオル、
ストラップ、クリアファイル等…



グッズデザインが…ヒバードを
モデルにしたのではないかと思う程に似ている…

一番小さい縫いぐるみを手に取ってみると…
大きさもヒバードそっくりだった。








つい夢中になって見ていたら、
雲雀さんが、私の手元を覗き込んで来て…




「…ん?…あの鳥にそっくりだね。」



「はい。あまりにヒバードに似ているので驚きました。」
「とても可愛いですよね…」



「気に入ったのかい?」



「はいっ。」








「じゃあ、それを買ってあげる。」
「…ついでに、その辺にあるグッズも好きなのを選びなよ。」



「…え?…あの、ええと…自分で買います。」



「遠慮は要らないよ。…で、どれが良いの?」





(…う…。こう言われては、もう断れない。)
(素直に買って貰うのが吉よね…?)








「…有難うございます。」
「ええと…今持っている縫いぐるみと…ストラップが欲しいです。」



「ストラップ?…あぁ、これか。…他のも買いなよ。…これはどう?」




話しながら雲雀さんが手にしているのは、マグカップ。
…す、鋭い…。
実は、密かに良いな〜と思っていた物だ。

見抜かれたのか…勘が良いのか…




「…それも…お願いします。」



そう素直に答えると…
フッと小さく笑い、僅かな笑顔になる雲雀さん。

あ…なんだか嬉しそう?
つられて私も笑顔になった…。






で、結局…何のかんのと…
大中小全ての縫いぐるみと、ストラップ、マグカップを買って貰う事になり…

レジで雲雀さんが、現金で支払ったのを見て…
『あ、ちゃんと現金も持っているのね』…と…
普通であれば当然の事が珍しく感じられ、その様子を眺めた。







紙袋入りの綺麗に包装して貰ったグッズ達を受け取り、
再びショッピングモールの中を見て周る。

けれど…他には特に欲しいと思う物もなく、
単純に眺めて楽しんだ。















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