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虹の彼方 43





それから…残り半分の散歩道を
野の花や、途中で見える景色を楽しみつつ、ゆっくり歩き
再び駐車場に戻った後は、来た時と同じように
雲雀さんの運転で車を走らせる。





途中、雲雀さんから…

『昼食の予約をしているから…そこに向かうよ』

と説明があった。




先程は遠くに見えていた海が、段々と近くに見えるようになって来た。
やがて車は、如何にも海岸線という雰囲気の道を走り…
岬の先端の小高い丘の上にある
とても見晴らしの良さそうなレストランに到着した。



静かに車が駐車場に停車し、外に出る。

其処には、白い外観でオシャレな雰囲気のお店。
イタリアの旗がある…という事は、イタリアンのお店だろうか?
お店を繁々と見ていたら…


「行くよ。」


と雲雀さんから声が掛かり…
「はいっ。」と返事の後、急いで後を付いて行く。




入口の近くまで来た所で…
中から人が出て来て
大きなガラスのドアを開けてくれた。


「…いらっしゃいませ、雲雀様。」


恭しく頭を下げ、店内に導かれ、
海が、眼下に一望できる席に案内された。



ここは…
なんて素晴らしく眺めの良い場所だろうか。
視界の前に遮る物が全くなく…
太陽の光が波間に反射をし
キラキラと宝石のように輝く美しい海を堪能出来るようになっている。

先程…公園の遊歩道から見た海が
今では、すぐ目の前にある。








ボーイさんが静かに椅子を引いてくれる。
それに合わせてゆっくりと座り、
続いて、本日のおすすめメニューの説明を聞く。

一通りの説明を聞いた後にメニューを改めて眺めて検討する。
散々に迷った挙句に…
メイン料理を先ほど聞いたお勧めの魚料理にする事にして
前菜と、量を少な目にお願いしたパスタ料理を選んだ。




雲雀さんも同じように注文をした後に…


「僕は車を運転するから飲まないけれど…ワインでも飲むかい?」

と聞かれたけど…




「…いいえ。お水で結構です。」



「遠慮はしなくて良いよ。」



「はい、有難うございます。でも…本当に大丈夫です。」




ワインは結構アルコール度数が高く酔い易い…
私は、お酒は普通に飲めるけれど、決して強い訳ではない。
雲雀さんが飲まないのに1人で飲むのも気が引けるし、
万が一、昼間から酔ったりしたら…大変だ。

…という事でお断りをした。










間もなく、美しく盛られた前菜の生ハムが運ばれて来た…
軽めの前菜で量も少なくて丁度良い感じ。

続けて熱々のパスタ料理。
私はペンネのアラビアータを頼んだ。
トマトソースがとても美味しく、辛さも丁度良い。

メインの魚料理が来る。
新鮮な白身魚を使ったお料理で、流石お勧めの事はある。




程良い量の昼食を、
眺めの良い窓際の席でゆっくり時間をかけて頂きながら
…雲雀さんと、色々な話をした。

以前に比べ、明らかに会話が出来るようになった。

まだ、時々話が途切れる事があるけれど…
一度の会話のキャッチボールでお終い、という事はなくなった。
適度な回数の会話の応酬をする事が出来るぐらいには
慣れた、という事だろう。





朝は、ずっと二人っきりという状況に緊張をしていたけれど
先程の散歩でだいぶ気持ちが解れたし…
今も、とても開放的な窓の外の景色に後押しされ
リラックス出来ている気がする。

リボーンから
「お前は、環境適応能力が高い」と評された事があるけど
要するに…
何のかんのと「馴染み易い性格」なのだろうか。

小さい頃から、各国を転々と移動をし育って来たせいもあるのだろう。




そんな私でも
雲雀さんのようなタイプの人と馴染むのは
流石に時間が掛かるだろうと自分でも思っていたのだけど…
今の感じだと、案外何とかなっている。


これならば、一緒に欧州に行く頃には
普通に接する事が出来るようになっている、かも。

まぁ…あと一歩か二歩、という感じ?






尤も、こんなに早く馴染めたのは…
最初の買い物の時や財団で過ごした時のように
雲雀さんの側から、
様々に気を遣って貰っているお陰でもあるのだろうけど。



そんな風に、自分の変化を自覚しつつ
最後にドルチェとして果物を頼み、
口直しをして昼食を終えた。














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あきゅろす。
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