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虹の彼方 41





立ち止まった草壁さんが、
とても真剣な顔で尋ねて来た…


「…どうして、そう思うのですか?」



「あの今日は…」
「まるで私の緊張を解すような感じの日だったな、と思いましたので。」



「…成程。…良く気が付きましたね。」
「藤宮さんの勘が良いという噂は本当のようですね。」








「…と、いう事は…やはり…」



「恐らく…今、藤宮さんが想像しておられる通りです。」
「初めて、丸一日…風紀財団内の恭さんの元で過ごす事になるので」
「かなり緊張されるだろうと予想して、恭さんの指示で今日のスケジュールを組みました。」








「やっぱり…そうだったのですね。」
「…あの…では、お茶を淹れるというのも?」



「あれも…恭さんの指示です。」
「藤宮さんが、お茶を美味しく淹れると噂に聞いた事がありましたので…どの程度の腕なのか確認したい、と。」



「そうでしたか…粗相がなくて良かったです。」



今更ながら…
ホッと、胸を撫で下ろした。










私の様子を見て、
草壁さんが笑顔で説明してくれる…


「今後の仕事の為にも、お互いに相手のプロフィール確認というか…」
「お二人の情報をプロファイリングする必要がありますからね。」

「今日は…先ずは、藤宮さんが緊張を少しでも解した上で…」
「恭さんと一緒の、あの部屋に慣れるようになって貰い…」
「且つ、お互いの個人情報を少しでも交換できるようにと考えての事です。」








…やはりそうだったんだ。

流石の配慮というか…本当に有難い気遣いだ。




「…有難うございます。」



「お礼なら、明日…恭さんに直接言って下さい。」



「はい、そうします。」
「…でも、草壁さんにもお世話になりましたし…有難うございます。」




そう言って草壁さんを見上げると、
少し微笑んで照れくさそうに…

「…どういたしまして。」と言われた。










再び、廊下を一緒に並んで歩きつつ会話をする。


「明日は、一度此方に来て頂いた後に…恭さんと一緒に外出予定です。」
「今日と同じ時間に待っていますので、遅れないように来て下さい。」



「はい。分かりました。」








ボンゴレアジトと風紀財団を結ぶ入口まで送って貰い、
草壁さんと挨拶をして別れ…
自分の部屋に向かって移動しながら、
明日は外出するけれど…服装をどうしよう…とつらつらと考えた。









++++++

+++












ぐっすり、しっかり睡眠を取って…
翌日はスッキリと目覚めた。

さぁ…今日は雲雀さんと一緒に外出する日だ!


気合いを入れて、少し熱めのシャワーを浴びて、
昨夜、散々に迷って決めた服装に着替える。





…昨日のも、今日のも、
先日…雲雀さんが買ってくれた服だ。

リボーンに言われた通りに、
あれ以来…毎日ちゃんと買って貰った服で仕事をしている。


勿論、お肌や髪や爪の手入れなども、時間を取ってキチンとしている。
やはり、こうやって実際に着て見て…
ジュエリー類や鞄や靴などの
コーディネートを考えるのはとても大事だと思う。

こういう事にはセンスが大きく物を言うけれど、
私のように、そもそも今まで全く気を遣っていなかった者には、
経験だって大事だしね。








時間を確認し、約束通りの時間に
雲雀さんのいる和室の大広間に到着した。


今日の雲雀さんの服装は背広。
暗いグレーに近い色の生地の織が、とてもおしゃれな一品だ。




「おはようございます。」



「おはよう。早速だけど、一緒に出掛けるから付いて来て。」



「…はいっ。」



先に立ってスタスタと歩き出した雲雀さんの後に、
慌てて付いて行く。









途中、雲雀さんの公務室範囲である
和の空間に入る為に脱いだ靴を履き…

何処に向かっているのだろう?と思いつつも、
取り敢えず、黙って雲雀さんの後に続いた。

到着した先は、風紀財団のかなり広い地下駐車場だった。



凄く沢山の車が収納されているようだけど…
機械操作で収納するようになっている為
実際にはどれぐらいの数の車があるかは不明だった。






雲雀さんが、複数のボタンを押し操作をする
…と、音がして来て…
暫く待っていると目の前に、黒塗りの大きなセダンが
自動的に移動して来て目の前で止まった。


「乗って。」


と言いつつ、雲雀さんが助手席のドアを開けてくれた。





「…あ、…はい。」



と慌てて乗りつつも…
“えっ、助手席に座るの!?”


と内心でドキドキしている内に、
隣の運転席に雲雀さんが乗り込んで来て
…静かに車を発進させた。






…この状況は、ええと…

つまり、今日は草壁さんも居ない、という事だよね。



本当の意味で…
ずっと雲雀さんと二人だけで過ごす事になるみたい。





…大丈夫だろうか。


一抹の不安があるけれど…度胸を決めて行くしかない。






助手席で、こっそり握りこぶしを作り
…自分で自分に喝を入れた。













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