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虹の彼方 40



お食事をしつつ、今後への不安が芽生えて
妙なマイナス思考になり掛けた所へ、
タイミング良く、雲雀さんが話し掛けて来てくれた。




「君は、海外生活が長かったようだけど…日本の文化にも詳しいようだね。」



「日本文化に造詣の深い、祖父母の影響も大きくありますが…」
「海外にいると、とても日本が恋しくなり憧れる事もあって…」
「時々帰国して、日本に滞在する時は思いっ切り“日本文化”を堪能していましたので。」






「そう。…僕は、この国が好きだ。」
「日本の伝統文化は言うまでもなく素晴らしいし、最先端を行く現代文明も技術も最高だ。」



「はい。本当にそう思います。」
「この国は、文化も技術も様々なソフトも、そして人も…とても素敵ですし。」
「…胸を張って、堂々と世界に自慢の出来る国だと思います。」



「(フッ)…君とは、気が合いそうだね。」



「…え。…あ…はい。」





急に『気が合う』なんて言われて少々戸惑いつつ答えたけれど…
こんな私でも…
“日本が大好き”だという点については、雲雀さんと一致しているという事のようだ。
少しでも二人の『共通点』があって良かった。







その後…たわいもない事を話しつつお食事が終わり、
お膳を厨房まで下げた後は…
私の生い立ちについて、あれこれと聞かれた。

私の生まれてから、今までの経歴を…
雲雀さんの質問に答える形で色々と答えて行く。
問われるまま、色々と答えていたら、案外、あっと言う間に時間が過ぎて行った。

お昼のお膳を下げた時に、草壁さんに3時のお茶をお願いされていたので
午前中と同じように、雲雀さんの意向を確認してお茶を淹れた。






お茶の後は、再びヒバードが飛んで来たので、ヒバードを遊ばせながら
今度は、少しだけ…雲雀さんの経歴も聞く時間があった。

…と言っても、ツナ達と出逢ったのが中学の時だったとか…
ヒバードとの出逢いもその時だとか…
草壁さん達、風紀委員さん達とも長い付き合いだとか。

そんな感じの、とても簡単な内容だけど。











そして…4時頃には
『今日は、もう帰って良いよ。』
と意外な事を言われ…
草壁さんに案内されて、ボンゴレアジトと結ばれている通路に向かった。


夜のお食事の時間まで、
びっちり一緒にいるのだろうと考えていたので、少し驚いたけど…
風紀財団内に足を踏み入れてからずっと、
変な緊張状態が続いているので、早く帰れるのは大変に有難い。

緊張のせいで、肩も首も凝っている程だ。




結局今日は…
『雲雀さん用の公務室やお庭の観察をし、お茶を淹れて…』
『ヒバードと遊び、一緒にお昼を頂き、簡単な自己紹介をお互いにして終わり』
という感じの日だったな。

長い廊下を草壁さんと一緒に歩きつつ、
今日の事を振り返っていたら…単なる私の勘だけど
…ふと…
雲雀さんが私の為に『忙しい振り』をしてくれたような…気がして来た。

本当に、今日は仕事が忙しかったのだろうか。






私が来ると知っている日なのに、
本当にそんなに急の仕事が入ったのだろうか。
もしかしたら…
私の緊張が少しでも解れるようにと考えて
“ワザと”忙しいフリをしたのではないだろうか。


最初は同じに部屋にいるだけにし、
その間に私は色々な物の観察をし…先ずは、あの特殊な空間に慣れた。
その後、お茶を淹れて…少し会話の切欠が出来て。

更にその後、
ヒバードと遊んだ事で…かなり緊張が軽くなった。

お昼を頂いた後は、のんびりしながらお互いの過去の経歴について話をし
今後のコミュニケーションに役立ちそうな、今後も話のネタになりそうな情報を得た。

で、今は…思った以上に早く帰して貰っている。





…取り敢えず「慣らし」の為の日だったような…
そんな気がする。

草壁さんに…確認をしてみようか?
こんな事、聞いて良いものか解らないけれど…正直、ちょっと気になる。


う〜ん…どうしよう。












迷ったけれど、思い切って尋ねてみる事にした。


「…あの…草壁さん。お尋ねしたい事があるのですが。」




普通に歩いていた草壁さんが、
少し歩調をゆっくりにして私の方を見る。



「はい、何でしょうか?」



「雲雀さんは…本当に忙しかったのですか?」



「…それは、どういう意味ですか?」







「あの…ええと…単なる私の勘なのですが。」
「もしかして…私の為に忙しい振りをしたのではないかと…」


そこまで言った所で、草壁さんが歩みを止め…
じっと私を見て来た。



…ど、どうしたのだろうか。

やっぱり、こんな事は聞くべき事では無かったのだろうか
…と、ドキドキする。















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