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虹の彼方 39



風紀財団には、職員達の為の専用の調理スタッフが居て
専用の調理室である厨房は勿論…
職員用の食堂なども、完備されている。

その隣には休憩用の部屋もあり、
TV等も置いている洋室と、和室もある。


更に隣には結構広めのジムもあり、
色々な器具で軽く運動も出来るようだ。

運動後のシャワー室も完備だと聞いた。

場所は違うが、地下の層には室内プールまであるらしい。




それと…驚いた事に、疲れが取れない人の為に
軽くお昼寝をする為の小さな個室部屋まで、複数あるそうだ。

空調は勿論、流す音楽や照明を
自分の好きな設定に出来る最新設備の物だとか。

時間になると、ちゃんと自動で照明が明るくなり…
音楽が流れて爽やかに起きれるらしい。






草壁さんが説明してくれた所によると…
一度、この財団内に入るとセキュリティーの関係上、そうそう外出は出来ないので
施設内に居ても、ちゃんと気分転換が出来るように
色々な設備を整えているらしい。

…成程。
にしても、凄く福利厚生施設が良い…

ボンゴレも…少し真似をするべきなのかもしれない。
今度、ツナに話をしてみよう。








一般職員さんは、その食堂で昼食を食べ、
休憩時間もそこで思い思いに過ごす事が多いようだ。

だけど、雲雀さんの昼食だけは…
あの広い和室の雲雀さん用の公務室まで運ぶ。


内容も、一般職員さん達とは多少違う特別料理らしい。
一般職員さん達には、日替わりで…
和食は勿論、洋食、中華、各国料理など
毎日様々な工夫を凝らしたお料理を出していて、大変に好評らしい。

…が、雲雀さんは…
あまり和食以外の物を好まないので、基本的には何時も和食。
そして、週に1度程だけ洋食や各国料理も出す、という事らしい。







広い厨房に行くと、
複数の調理人さんが居て、忙しそうにしていた。

草壁さんの姿を見ると、コック長さんが来てくれて
…紹介されて、ご挨拶をした。

今後も、何かとお世話になりそうだし…
しっかり名前まで憶えておこう。




私達の待っている目の前で、暖かい物の仕上げをし、
汁物をお椀に注ぎ…完成。
今日のメニューも、雲雀さん専用に作った和食だった。

出来上がったばかりのお料理が冷めない内に…草壁さんと共に急いで運ぶ。
厨房から、雲雀さんの居る公務室までは結構遠い。
慎重に且つ、急いで運ばなければならない。

…まだ、風紀財団内の地理があまり解っていない私は、
必死に草壁さんの後を付いて行った。










無事に雲雀さんの元に、昼食のお膳を運び終えると
直ぐに草壁さんは退出してしまった。

再び…二人だけになった室内で、
多少緊張しつつ、一緒にお昼を頂く事になった。




私が風紀財団内で、お食事を頂くのはこれが初めて。
この…やたらと広い空間でお食事をするのは、妙に落ち着かない。

雲雀さんは何時も、こんなに広いお部屋で…
たった独りで食べているのだろうか。

それとも、草壁さんも一緒に食べたりするのだろうか。

…う〜ん。
きっと…独り、かな。




幾ら独りが好きだと言っても…
お食事まで独りなのは寂しくないのだろうか。

…ふと…そんな事を思う。










興味津々だった、雲雀さん専用のお食事の内容は
…やっぱり凄かった。


優美な漆塗のお膳台の上には…完璧な和食。

私にも、雲雀さんと全く同じ昼食が用意されていたので、
全く同じ物を頂いている。

調理方法も凝っているし、
見た目にも大変に美しく盛られているし…
何処かの料亭で頂くお料理と全く遜色ない。



…雲雀さんって、
何時も、こんなに美味しいお料理を食べているんだ。

草壁さんが『恭さんは舌が肥えているので』と
言っていたけど…
きっと、あの調理場で働いている方々は、
一流の腕を持った調理人さん達なんだろう。


こんなに美味しいお料理を毎日食べているなら、
先日の料亭でのお料理も
雲雀さんにとっては『何時もの食事』と変わらないって事ね。






こんなのを、
多分『住む世界が違う』とか言うんだろうな。

そもそも雲雀さんとは色々な事の“基準”が違う。
“感覚が違う”と言っても良いと思う…。


こんな事で本当に3か月間も、一緒に過ごせるのだろうか。
私なんかが、雲雀さんに合わせる事なんて…
本当に出来るのだろうか。

何だか、急に不安になって来た…な。









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あきゅろす。
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