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虹の彼方 38





ええと…
この場合も、正直に言った方が良いのかな。

でも…流石に
『ヒバードが雲雀さんの頭に乗っている構図が可愛い過ぎるので、つい顔がニヤケました。』
なんて…本当の事を…
馬鹿正直に言うのは、流石にちょっと…ね。



お互いに無言の空間の中で…
私の方を見たままであるっぽい雲雀さんの視線が…
下を向いたままの私に突き刺さる。

このまま答えない訳には行かないようだ…仕方ない…
少し、言葉を変えて言う事にしよう。







少しだけ顔を上げて…小さ目の声で答える。



「…あの…ヒバードが、とっても可愛いな…と思いまして。」



「ふぅん?…それだけの事で、そんなにニヤケるのかい?」




…うっ…突っ込みが来てしまった…







「ええと…その。…雲雀さんと一緒にいる所が…凄く可愛いな、と…」



「ねぇ、君。…先日、僕が言った事は覚えているかい?」



「…?…。先日…雲雀さんが言った事、ですか?」



「僕に、嘘は通用しないと…そう言わなかった?」






「…っ!…」

…こう言われては、仕方がない…




「…あの、より正確には…」
「雲雀さんの頭にヒバードがポスンと乗って来た事とか…」
「雲雀さんが、それを全く気にしないでお仕事している構図が…あまりに可愛過ぎて。」

「それで…出来たら、今の場面の写メを撮りたいなぁ…と…」
「…そんな事を考えていました。」


追及されてしまったので…
下手に誤魔化すのは諦めて、潔く本当の事を言った。







…けれど、私の言葉を聞いても…
別に、怒る訳でも笑う訳でもない雲雀さん。

…もしかして…自覚がないのだろうか?

今まで、誰にも…
『その構図は可愛い』とか、言われた事がないのだろうか。
…草壁さんは、絶対に言いそうにないし。

やっぱり…誰も言えない…よね。







「…そう。でも…僕と一緒の写メは撮らせてあげないよ。」



「…はい…。」

やっぱり…ダメみたい。


…すごく…残念。




というか…後半部分に対して
ごく普通に真面目に返答が来てしまった…

…うん。
これは『自覚なし』という事で決定だ。










「これが、そんなに珍しいかい?」



「はい。珍しいと…思います。」



「ふぅん。…じゃあ、貸してあげるから少し遊ぶと良い。」




…え?と疑問顔で居たら…
雲雀さんの頭に乗ったヒバードに手を伸ばし
自分の手に止まらせると。

…その手を、私の方に差し出して来た。





ええと…これは、つまり…
ヒバードを貸してくれる、という事?

とそう思いつつ…立ち上がって、
雲雀さんの傍により、そっとヒバードの近くに手を差し出してみた。

私が手を差し出したのを見て…
ヒバードは、ちょっと首を傾げて、それから、
そのつぶらな瞳でじっと雲雀さんの方を…意思を確認するかのように見る。

…あぁ、なんて可愛い動作なの…!







雲雀さんは…

「君が珍しいらしいから、少し一緒に遊んであげて。」

と、ヒバードに声を掛ける。




…いえ…あの…
ヒバードを近くで見る事も珍しいけれど…
私が言った真意は
『雲雀さんの頭にヒバードが乗っている構図が、大変珍しく可愛い!』
なのだけど…な。

と内心で思いつつ…勿論、声には出さずに居た。





それを聞いたヒバードは、
今度は、私の方を見て再びちょっと首を傾げる…

ヒバードと目が合って…お互いにジッと見つめ合った。
どうやら私の値踏みをしているようだ。






…私の所に来てくれるだろうか…ドキドキしつつ待つ。

暫く私をジッと見ていたヒバードが
『ピッ』と一声鳴いて…私の手の上に飛び移って来た。


…わぁっ!!…



…これは…思った以上に可愛いっ♪


思わず…ニコニコ笑顔になる。







「僕は、まだ仕事があるから…その間、遊んで良いよ。」



「…はい。…有難うございます。…お借りします。」



そう笑顔で言って…
雲雀さんの仕事の邪魔にならない、部屋の隅まで離れた。











部屋の隅に移動したとはいえ、
雲雀さんが同じ部屋で仕事中なので、邪魔にならないように
小声でヒバードに話掛ける。



「…ヒバード、暫く一緒に遊んでね。」



(…ピッ!…)



ちゃんと反応してくれた…なんて可愛いのだろうか。







それに…とても人懐っこい。

最初は手の上にとまっているだけだったけど…
慣れてくると、私の頭に乗ったり、肩に乗ったり…
膝に降りて来たり…

軽く、そっと頭を撫でてあげると…
僅かに目を細めて「ピ」と言いつつ気持ち良さそうにする。

楽しくて、可愛くって
…夢中で遊んでいたら、あっと言う間に時間が過ぎた。








そうこうして、遊んでいる内に草壁さんが来て
昼食時間をどうするか…雲雀さんに尋ねる。

雲雀さんの仕事が、もうすぐ終わりそう…との事で
終了させてから昼食を頂く事になった。





私は、そのままヒバードと遊びつつ時間潰しをしていたが
暫く経った頃に、雲雀さんのお仕事が終わったらしく
『そろそろ昼食にしようか』と声が掛かったので
草壁さんに連絡をし、一緒に厨房まで昼食を受け取りに行く事になった。









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宜しければ、お読み下さい。










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あきゅろす。
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