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虹の彼方 31


そう考えると、つくづく…
今回出された条件は破格に良い事が解る。

5件分もの依頼を…“基本的に無条件で”というのは
…本当に驚くべき内容だ。




だからこそ…
“欧州への出発日までの私の休日を、全て雲雀さんと一緒に過ごす”
という条件も、割とすんなり受けたのだ。
(と言っても…了承した時点では渋々だったけど)



本来であれば
流石に全ての休日を使うのは、やり過ぎだと思う。

でも、今回は…出発までに1ヶ月半しかない事や、
私の態度があまりにオドオドしていた事や
(実際に雲雀さんと一緒に居たら、かなり緊張したし)


そして…何より、提示された条件の良さを考えると
一時期の休日返上するぐらいは良いと思った。







そこで…買い物から戻った後に、
ツナとリボーンに事の次第を説明して
『出発までの休日は、全て雲雀さんと過ごす事になりました』
と、報告をしたら…


リボーンは…
「そうか…、優衣が良いなら別に構わねーぞ。」

とアッサリ了承。



でも、ツナは…
「いや!一日や二日なら兎も角…休日全部はダメだよ。」
「そんなのオレは…了承出来ないからっ!」

と案の定…渋った。





けれど…折角の好条件を示してくれた、
今回の仕事を成功させる為にも…

『私が、雲雀さんに慣れておく事は必須』であり…
それには…正直時間が掛かるし…
出来れば、普通に会話出来る程度まで慣れておきたいので!と


何とか、ツナを説得し




「なら、今…勤務日になっている中から、休みを取らせる」
と…粘るツナに…


『それでは、欧州出発までにしたい準備が整わなくなる』
『そんな状態で欧州に行ったら、心配で夜も眠れなくなります』
などと…
やや強引に、散々粘った挙句に




「じゃあ…欧州から戻った時に、改めて…」
「その分のお休みも取るという事なら、良いよ。」

と…何とか、無理矢理に認めて貰った。







…これで…心置きなく、休日を使える。

自分でも…ここまでする必要があるの?
とは、少し思うけれど…


人生の中の“ここぞ”という時に
…休日返上するぐらいの事は…普通の事だろう。








今回の雲雀さんとの仕事は、
私にとっては…“初めての大役を任された”という物に当たる。

雲雀さんにとっては
『何時もの事。普段と変わらない仕事。』かもしれない。

けれど…デスクワークしか、した事のない私にとっては
外部で“ターゲット”と称する対象と
直接に関わる仕事は、初体験という事になる。

内部の書類仕事しか知らない私には
未知なる体験だ。




外部との折衝で苦労したり…
時には、危険な目に合っているメンバーもいる中で

そんな経験のない私は
時に、緊迫した外部の話を情報として聞いても
今一つピンと来ないというか…理解し切れていない感じがあり…
密かに…それを残念だとも、悔しいとも感じていた。






今回の仕事は
雲雀さんと一緒である事や、風紀財団の仕事であるので
正式には、ボンゴレの仕事とは違う部分が大きい。

けれど…同じく裏組織と繋がりがある組織同士、
共通の感覚もあるだろう。



多少の違いはあれど…
『外部での仕事』の概要のようなものを掴める経験
である事は間違いない。







それに…
仕事に於いて
“例え予定外の事があろうと…結局最後には成功させて終わる”と
噂に名高い雲雀さんと…

その雲雀さんを、裏で支える風紀財団の皆さんと
関わる事が出来るのは
私にとって
とても勉強になる事が多いに違いない。



そう考えると…今回の仕事は、私にとって
新たな経験を積み、
ボンゴレのメンバーとして…ツナの秘書として…

飛躍的に、進歩する切欠になるかもしれない…
大事な局面だと言える。






そんな時に
“休日が無くなる”…なんて、
そんな小さな事には、拘るべきでは無いだろう。


…正直な所…
雲雀さんから『休日は全て、僕と一緒に過ごす事』
と、言われた直後は…

“そんなっ!”と目の前が真っ暗になる気持ちだった(苦笑)




けれど…あの後、自分なりに色々と考えた結果…
“それがベスト”だ、と思えるようになった。

恐らくは、色々と先の事まで読んだ上で、
あんな提案をして来たのであろう雲雀さんに…
改めて感心した。










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あきゅろす。
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