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虹の彼方 26


その後、宝石店を出て向かったのは、
かなり大きい旅行用品の専門店。

大きな旅行用鞄から、ショルダーバック等…
飛行機の中での安眠グッズ、果ては日本食まで…
旅行に便利だと思える物が何でも揃っているお店だ。




此処も、今日は貸切状態だった。

店員さんに案内をして貰いつつ、店内を見て周る。



此処で私は大型スーツケースを幾つか選んだ。

着物専用×2。和装小物専用×1。
ドレス用×2。洋装小物専用×1。
靴と草履専用×1。
そして、それ以外の普段着を始めとした…
旅行中に必要な物を入れる物×2

いわゆる旅行鞄と言われる大型スーツケースが、
全部で…9つもある事になる。
そして…
便利そうな旅行小物や、持ち歩き用の日本食なども
合わせて購入した。




実際に旅行に行く時に、私が持ち歩くのは、
普通のバックのみで良いみたい。

今日、ここで購入した大きなスーツケース達は全ての移動を、
私達とは別行動で、同行する事になっている…
風紀財団の人が運ぶらしい。

業者に変装して、空港へもホテルへも、
何処でも安全に荷物を運んでくれるので、自分で運ぶ事はないらしい。




にしても…いくら3か月と期間が長いと言っても、
荷物が多いような気もする。
船旅なら良いけれど…
飛行機での移動がメインと聞いているので、運ぶのが大変そうだ。

でも、自分で運ぶ訳ではないし…
雲雀さんなりの考えがあっての大荷物なのだから
当然…余計な事は一切言わずに、
選ぶように言われた物を素直に選んだ。






その後は、そのお店を出て割と近くにある…
誰でも知っているであろう有名ブランド店に数店行き、
駄目押しのように、お財布やキーホルダーやハンカチにスカーフ…等々
次々に色々な小物を、勧められるままに買って貰った。


何気に、雲雀さんの勧めてくれる物は品が良く…
私の好みにも合いそうな物が多かったので


「ねぇ…これはどうだい?」


なんて言われて、商品を勧められると
…ついつい…


「…あ…これ、とっても素敵ですね。」


と答えてしまい。
結果…お買い上げ…というパターン。






正直、もう…今日一日で一体、
何をどれくらい購入したのか…分からない。

総購入金額は…もう考えない事にした。



雲雀さんにとっては、数百万も数千万も
たいした違いはないのだろう。

というか、金額の過多を心配している節は皆無なので…
金額の事など考えもしないのかもしれない。




…どちらにしろ、雲雀さんの金銭感覚を
私が理解するのが不可能、という事は確か。

だったら…考えるだけ無駄というものだ。



そう言えば、今までの買い物全て、
お金を支払っている所を一度も見ていない。

カードすら出していない。

…つまり、全て顔パス、というか…
“つけ”という事なのかな?





きっと後で、風紀財団に請求書が来て…
普通に経理処理をするだけなんだろう。

たった1日の買い物だけで…
“家が買えそうな金額”なんだけど…ね。







にしても今日は、色々な所に散々に連れ回され…
正直、かなり疲れた。

が、雲雀さん相手に
『もう疲れました』なんて言える筈もない…

元気な振りをしてはいたが…そろそろ休みたい。




と考えていると…
路地に入った所で、雲雀さんが立ち止まり周囲を見渡す。

…?…

何か探しているのだろうか、と考えていると
スッと黒塗りの車が目の前に止まった。

草壁さんが来てくれたのだ。



…凄い!

ピッタリのタイミング!




感心して見ていると
雲雀さんが、ドアを開けてくれて「乗って」と一言。


「…あ、有難うございます…。…失礼します。」



雲雀さんにドアを開けさせた事に、恐縮しながら乗り込むと、
反対のドアから、雲雀さんも素早く乗り込み。
それを確認した草壁さんが車を出した。






漸く、今日のお買い物は終了したのだろうか…
それとも、まだ何かあるのだろうか。

そんな事を考えていると…


「…次は、食事に行くよ。」


と雲雀さんに告げられ、少しホッとした…
どうやら買い物は終了らしい。


「はい。…分かりました。」





今度は、お夕食に連れて行ってくれるらしい。
『一日掛ける』とは聞いていたが…
お夕食まで連れて行ってくれるなんて、有難い。

というか…
恐らくはこれも『私が雲雀さんに慣れる為』の一環なのだろうけど。

そうだとしても…
どんな所に連れて行って貰えるのだろうか…とても楽しみだ。





ふと気が付くと、
隣の雲雀さんは既に目を閉じてしまっている…

寝ているのか、休んでいるだけなのかは不明だけど、
そんな状態なのに話し掛ける訳にはいかない。

勿論、草壁さんにも話掛けて煩くする訳にはいかない。




仕方ないので黙って大人しく…
ワクワクしながら、通り過ぎる窓の外の風景を見ていた。







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