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虹の彼方 25


今、着ている服装にも合うように選んだ物は、
その場で早速着用する事になった。


…うん。

高価で豪華なジュエリーを装着すると、
本格的にセレブに見える。

“馬子にも衣装”とはこの事ね。





全てが終わり、お店から出る頃には…
全体的に朝の私の姿とは比べ物にならないぐらい素敵な
“レディーに見える”ようになっていた。

普段の私とは、数倍違って…
“それなりに綺麗なお嬢様”状態。



下着から靴、バック…髪型やジュエリーまで
全てが違うのだから、当然の様にも思えるけれど。

でも何しろ「元」は私という、
あまり冴えない素材なのだ…恐るべし、プロの力。






どんな球でも…
”磨けば、それなりに光るようにはなる”

のだ…と、身を持って実感した。




“自分を磨く術”を知っているだけで、
こんなにも変わるなんて…
何時も「綺麗でいる為の努力」を常にしている
女優さん達が美しいのは…当然の結果であるという事なのね。





…お陰様で、
自分に“本当に似合う服装”の傾向も解ったし、
お肌の手入れの仕方も、
上品に明るく見えるお化粧の方法も…伝授して貰った。

どんな服装の時には、どんな髪型だと似合うのか…
も教えて貰った。
そして、ジュエリーの選び方も教わった。
選んだ服に合わせて、効果的に見せるコツも。





今後、私が「美しくある為に」どこに気を付けて、
どんな手入れをすれば良いのか…
それを…プロの方々に個人授業して頂いた…
…ような気がする。

いや、実際にそうだった。


もしかして…
これも「雲雀さんの狙い」の一つだったのだろうか…?


“冴えない私”を“少しでも光らせて”
仕事で活用する為の、準備のひとつだったのだろうか。




いくら着物や服装やジュエリーが豪華でも、
その組み合わせの仕方…つまり着こなし方を知らないと、
かえって野暮になる事もある。

それに、普段の肌や髪の手入れとか…
そういう基本的な事をキチンとしてないと
やはり…
どうしても、本当に綺麗には見えない。




…うん。

たぶん…恐らく、いや、絶対に…

『自分磨きの必要性&その方法』を、買い物ついでに…
私が学べるようにスケジュールを仕組んだのだろう。

恐るべし…雲雀恭弥。

どれだけ…用意周到なの…。







雲雀さんの『計画』に感心すると同時に…
少し、自分が情けなくなった。

確かに…学生時代も今も…
それほどは“自分磨き”をしていない。

両親や祖父母が相次いで亡くなり…
交際を申し込まれても、誰かと付き合うような気にもならず、断った。

自分から彼氏が欲しいとも思わなかったし、
普通にはしていたけれど、
特別に努力をして自分を磨こう…とは思わなかった。





大学を卒業してボンゴレに来てからも…
仕事に慣れる事、ミスをしない事…等を第一に
先ずは、
“まともに役に立てる人材を目指そう”と…
それだけを考えて来た。


よって今まで、特別に…
少しでも見栄え良くあろう、という気持ちを持った事が無かった。

普通に、周囲の人に不快感を与えないで、
その場に相応しい姿であればOK…として来た。





つまり…有体に言えば…

“自分を磨こう”とか…
“女性として美しくある術を身に着けよう”とか…

今までは一度も考えもしなかった…という事だ。





雲雀さんとは、そんなに何度も
会った事がある訳ではないけれど…
きっと…そんな
私の“心の内”を見抜いていたんだろう。



これでも…一応“それなりに見える程度”の
服装や髪型にはしていたんだけどね。

…誤魔化せなかったか。





…で、今日のような
スケジュール&内容を組んだのだろう。

数度しか会った事がない人にまで…
そんな事がバレるなんて…やっぱり、情けない。




それだけ…
雲雀さんには観察眼があり、鋭いって事でもあるよね。

…うん。

…やっぱり、この人には敵わない。




元々、敵うとは思ってないけど…ね。

今日一緒に居て…
改めて、色々と思い知らされた気がする。










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あきゅろす。
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