[携帯モード] [URL送信]
虹の彼方 24


再び草壁さんの運転で到着したのは…
良く聞く名前の大手ジュエリーショップだった。


此処にも、事前に連絡が行ってたらしく…
到着と同時に、待ち構えていた店長さんらしき人の案内で、
一階の普通の展示スペースを通り抜けて、奥のエレベーターを上がり…
二階にある、それはそれは豪華なVIPルームに通された。





眩く感じる程にキラキラした装飾が印象的な、
その部屋のソファーに案内されシャンパンを出される。

午前中に行ったお店で、
上から下まで全身着替えをし、
姿だけはセレブになった理由が解った気がする。

朝、私が着ていた…ごく普通の服装では
…完璧に、浮いて見えただろう。


上品で嫌味のない豪華さを醸し出している…
今の私の恰好でなら、此処でも浮く事はない。




…成程。


あの時に着替えさせたのは、
その後の展開まで考えた上での事だったのね…
と、改めて…雲雀さんの用意周到さに感心した。







お店の人に促されるまま、
少しだけシャンパンに口を付け待っていると…

雲雀さんが店長さんに渡した、ドレス姿の私の写真を参考に、
数種類のジュエリーを店員さんが選び、
ビロード張りのトレーに乗せて持って来た。



写真のドレスに如何にも合いそうな…
素敵に豪華な品々ばかりだ。


…見ているだけで…

眩暈がしてクラクラしそう。



でも、雲雀さんは淡々と
店長さんの説明を聞いているだけ。
此処でも、気後れしているのは私だけのようだ。

もう、雲雀さんの買ってくれようとする物に対して
値段の心配をするのは…止めよう。







目の前には…各ドレスに合わせて
3、4パターンの各種ジュエリーが用意されている。

見栄えのするネックレス、それにお揃いのイヤリング。
合わせてつけるとアクセントになりそうな指輪。
大体、その3点が揃っているけれど…
ドレスのデザインに合わせブレスレット等がある場合もある。


大体の大まかな説明が終わった所で…
ひとつひとつのドレスに合う物を選ぶ事になった。

順番に写真を見て…店員さんの説明を聞きつつ、
実際に手に持ってみたり、時には身につけてみたり…




宝石の大きさや種類、デザインの豪華さに…

『こんなのが、本当に私に似合うのだろうか』

と内心で多少自嘲気味になりつつ、

店員さんの「とてもお似合いでございます」との言葉に乗せられ…
迷いつつ、何とか選んだ。





迷って決められない時は、決まって雲雀さんの

「○○の方が良いよ。」

との声が掛かり案外スムーズに決まった。



着物用の反物を選ぶ時もそうだったけど…
雲雀さんが…こんな時に無関心ではなく、
こうやって自分の意見を言ってくれる事に驚く。

自分の関心のある事以外には、全て無関心な人…
というイメージが強いけれど…
案外そうでもないみたい。

というか…
少し離れて関心なさそうに見ているだけ、という態度なのに…
実は、良く見ているという感じ。



見ていないようで…見ている。
それも…細かい所まで。



有難い事であると同時に…
それだけ細かく観察されているという事な訳で…

こんな相手に対して…“緊張するな”と言われても難しいよね…
と、心の中で少々苦笑した。

…どれぐらい一緒に居れば…本当に慣れるのだろうか。







全てのドレス用の品を選び終え
あぁ、やっと終わった…とホッしていると…
今度は別のトレーを持った店員さんが来て、私の前に差し出す。


「此方は…主に普段使いに相応しい商品でございます。」


…え?普段使い用?

こちらも購入するのかな…?



そう思いつつ雲雀さんの方を見る。
と…

「その中から…君が必要だと思う物を10パターン程度、選んで。」

そう言われ…
内心で『ええっ…10パターンも?』と思いつつ…
声には出さずに、大人しく選ぶ事にした。





先ずは、今着ている物に似合う物を…
と言われ、パール系のネックレス、イヤリング、指輪を選んだ。

その後は、午前中に購入したお洋服を想像しつつ、
色や雰囲気が異なるように意識しつつ選び…
お店の人の勧めもあって
結局12パターンに増えたのだけど…無事に選び終えた。







[*前へ][次へ#]

12/17ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!