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虹の彼方 23





「それから…なるべく早く僕に慣れて。」
「慣れて貰わないと、一緒に仕事をする時に困るからね。」
「…だから、今日も来たんだし。」



群れるのが大嫌いな雲雀さんが、
わざわざ買い物に付き合ってくれたり、一緒にお食事までしているのは…

“今度の仕事の為…私が雲雀さんに早く慣れるように”
…だったのか。

…成程、納得した。





「はい。出来るだけ努力致します。」



「うん。じゃあ…その為に…」
「出発までの間の休日は全て、僕と一緒に過ごす事…良いね?」



「……えっ?」






休日を全て雲雀さんと過ごす…?

いやいや…それは、ちょっと…
そんな事をしたら、休日が休日ではなくなってしまうっ!

ど、どうしよう…。



「早く…そのオドオドした態度を無くして貰わないと、仕事に支障が出るからね。」



確かにそうだけど…
でも、休日を全てだなんて…
私は一体何時『本当に休む』ようにすれば良いのだろう。

雲雀さんの…有無を言わさない雰囲気の言動に、
“それは嫌です”
…とも言えずに悶々としていると。





「…休日を潰すのは嫌かい?」
「それなら…」
「沢田綱吉に言って、君の勤務日の内、数日間を僕の傍で…風紀財団で過ごすようにして貰おう。」



「…!…。…そ、それは困りますっ。」
「今は出発までに準備しておく事も多いですし、時間が足りないぐらいです。」



「だけど君は…休日を潰したくはないんだろう?」
「だったら、勤務日に来て貰うしかないね。」






どうやら…
私が『出発までの数日間、雲雀さんの傍で過ごす』という事は、
既に決定している事のようだ。


選べる選択肢は…『休日か、勤務日かのどちらか』
と言われたら答えは決まっている。

“私が雲雀さんに慣れる為”という理由だけで
ボンゴレの仕事を放り投げて良い訳がない。

…仕方ない。
ここは了承する以外に道は無いみたい…








若干…渋々といった感じで口を開く。



「…休日に、風紀財団に伺うように致します。」



「良いのかい?」



「………はい。」



「そう。」




それだけ言って、
何となく満足気な表情で、食事の続きを始めた雲雀さんを…
少し茫然としながら見る。


…何というか、上手く…誘導された気がする。





もしかして
“全て、計算の上”なのかもしれない。

…と思うけれど、そうだったとしても
私には抗う術はない。







どうやら、雲雀恭弥という人は…
単純な戦闘狂という訳ではないようだ。

澄ました顔で、上手く相手を操るような
知能犯の側面もあるらしい。


きっと、この人は…
全ての事をこんな風に、何食わぬ顔で…
自分の意思に沿うように変えてしまうのだろうな。



うん。

…思った以上に、要注意人物のようだ。


まぁ、私程度がどんなに注意したって…
敵う相手とも思えないけれど。





その後、最後のデザートまで美味しく頂いて…
お店を後にした。













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