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虹の彼方 227 <吉兆>【ご挨拶】




<吉兆>





子C「急いで!急いで!」



優衣「…そんなに慌てると転びますよ。」



子B「…母さん…今は急ぐのが正解だと思うよ。」



子A「あんなにスゴイのは滅多にないからね。」




子供達の嬉しそうな顔を見て、穏やかな笑顔で…

優衣「…そうですか。では出来るだけ急ぎましょう。」







もう夕方という時間帯に
並盛の街の中を少し小走り気味に移動中の
…優衣と3人の子供達。

子供達が母親の手を引き、急かして移動している所だ。





幾つかの道路を渡り…
並盛で一番大きな川が見える河原の上の土手部分に辿り着いた。



…と、先頭に居た子供が立ち止まり、大きな声で…



子C「…ほらっ!スゴイでしょう!」



子A「あぁ…間に合って良かった。」



子B「さっきより色が若干濃くなった?」



優衣(……!っ……。)


眼の前の美しい光景に驚いて…優衣は、しばし無言になる。








そこに見えていたのは、
とてもハッキリした美しい色彩の大きな二重の虹だった。

少し前に、にわか雨が降っていたのは知っていたが、
まさか…こんなにも美しい虹が出ていたなんて!


やがて、ポツリと…


「…なんて美しくて大きな…二重の虹…。」


うっとりと見惚れるように…
眼の前に大きく見えている美しい虹を見る優衣。




そんな母親の様子を見て、
ここまで一生懸命に連れて来た子供達は満足顔だ。

母親が虹を見るのが大好きである事を知っているので、
消えてしまわない内に!と
自宅に居た母親を呼んで一生懸命にここまで引っ張って来たのだった。




普通に綺麗な虹を見る事も珍しいが、
今日の虹は、虹の下の端までくっきりとした色彩であり、
更に2重に、2つの大小の虹が一緒に見えている状態の
珍しいタイプの物だった。

これ程までに見事な二重の虹にお目にかかる事は…滅多にない。







親子4人で…
美しい光景に見入っている背後の少し離れた道路で車が静かに止まった。

車から降りて来た男性が、
ゆっくりとした足取りで4人に近づいて行く。

だが誰も彼が近くに来た事に気が付かない。
それ程熱心に虹に見入っているという事だろう。





優衣達の直ぐ背後まで歩み寄って来た男性が声を掛ける。



「こんな所で何をしているのかと思ったら…虹が出ていたのか。」


その声に驚いた4人が一斉に振り返り…



子B「…父さん。」



優衣「…恭弥さん…。」






雲雀恭弥は、眼の前の虹に視線を向けて…

「二重の虹で、しかもこんなに色がハッキリしているのは珍しいな。」

と、感心したように言えば…




「…はい。…これは吉兆…ですね。」

にっこりと笑顔を向けながら優衣が答える。







子C「…きっちょう、って何?」



優衣「これから良い事が起こる前ぶれ…という意味ですよ。」



子A「幸せを予告してくれる虹なんだね。」



恭弥「日本に帰国する途中の、あの時も…これに負けない程の見事な虹が出ていたね。」



優衣「…はい。…あれもとても素晴らしい虹でした。」



子B「それって、何時の事?」



恭弥「…僕達の結婚が決まった後だよ。」



優衣「飛行機の中から…とても美しい虹を見た事があるのですよ。」



子供達「「…ふぅ〜ん。」」







それ以上は会話をしないで…
5人で並び、眼の前のとても美しい光景に、黙って見入る。



その場に流れるのは…ゆったりとした心地良い時間…

穏やかな安らぎを感じる時を、
家族全員で共有できる幸せを感じつつ

大変美しく珍しい虹を…心の中に焼き付けるかのように見つめた。










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{ 穏やかな愛 }



長い年月の間に かつての二人の間にあった
熱い激しさを伴う情熱を感じる感情だった物は冷め 
冷静さを持つものに変化をした


だがしかし、それは 冷たい物に変化した訳ではない
日々の生活に慣れて 
怠惰さを感じる生ぬるい物になった訳でもない



それは 静かだが、より慈しみを含む優しい愛情へと変わったのだ
穏やかで温かく お互いの良い部分も悪い部分をも包み込むような
包容力を持った豊かな感情へと変化したのだ


より成熟した想いへと進化を遂げた物が 
今の二人を ゆったりと優しく包んでいる



情熱のあり方も愛の形も その表し方も 
より高みへと 進化を目指す物なのだという事を
体現している二人とその家族へ 天より祝福の虹が架かる





++++++++++
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<吉兆> 終わり



<虹の彼方>1〜9章 全てが完結しました。



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【後書き&ご挨拶】




『虹の彼方』は、上記の<吉兆>で完結致しました。

9章の最後までお読み頂いた皆様…ここまで、本当にお疲れ様でございました。
そして…最後までお付き合い下さり本当に有難うございます。

虹の彼方という、
とても長い物語に最後までお付き合い下さった全ての皆様へ…
心から感謝を捧げます。





オリジナルキャラクターが登場する夢小説というのは、
少々読み難いのではないかと私的には思っておりますし、
オリキャラが嫌いな方もいらっしゃるのではないかと思います。

最後なので書きますが…
正直な所、この作品で次々にオリキャラが登場する事に対して
嫌悪感を抱く方が多いのではないだろうか?
と最初はとても心配していました。

特に…第8章の鷹司綾子さんには
反発が多いだろうと予想をしていました。



迷いつつも…8章を書く決意が出来た背景には…
多くの皆様のコメントの中に…雲雀さんやヒロインだけではなく、
オリキャラに対する感想も様々にあった事が大きいです。

勿論、その感想はその方々の感じた内容であり、
読んだ方全員がオリキャラ登場を好意的に捉えている訳ではない事は
十分に承知しておりますが…
でも、こんな風に作品を公開し晒してしまっている者から見ると…
その感想コメントで、本当に救われたと申しますか、
安心したと申しますか…そんな感じです。



読んだ皆様が、どう感じたか?という部分は…当然ながら私自身では分りません。
多くの感想を頂けてやっと…
何となく、皆様が反応する場所や感じた内容が分ります。

開き直って公開しているとは言っても…
正直な話、こんな物語を公開する事には“怖さ”もありました。

私は、結構…“勇気を持って頑張って公開していた”ので…
もしも、そのような感想コメントが1つも無かったとしたら、
恐らく8章はありませんでした。


いえ、それ以前に…
きっと、途中で更新を止めサイトを閉鎖していたと思います。






もう、何度も何度も色々な所で書いておりますが…
虹の彼方が完結出来たのは、本当に皆様のお陰なのです。

私に…更新を続ける勇気と、
8章&9章まで書く勇気を下さった事を…心から感謝申し上げます。





…さて…
少しお話は変わりますが…これを読んでおられるという事は…
途中の蛇足の多い解説などもお読み頂いたのだと思います。

ぐだぐだと余計な事をかなり多く書いていたにも関わらず
最後まで読んで下さり有難うございます。



本来、このような夢物語の解説としては
「ここまで書く必要は全くない」
レベルの解説である事は十分に承知しておりましたが
これで更新も最後である…と思うと、どうしても…
ある種の「老婆心」が出て参りまして
…ついつい色々な事を書かせて頂きました。

それに対する皆様からの感想や思った事などのやり取りも発生し
有難かったですし楽しんでおりました。



夢小説サイトの作者と読者様という関係でしたが
お若い多くの方々と接する機会を頂けた事は
私にとっては、とても有難く嬉しい事でした。

皆様とのやり取りはとても楽しい物でありました。
改めまして、お付き合い下さり有難うございました。






読みに来て下さる皆様の存在があったからこそ、
大変な状況の中、何とか最後まで頑張って書く事が出来ました。

忍耐強く、完結の時をお待ち頂いていた皆様には、
本当に頭が下がる思いでございます。



2012年の9月に更新を初めて以来ですので…
2年6カ月もの歳月をかけて書き上げた事になります。

最初から読んで下さっていた方は勿論、
連載の途中から読んで下さっていた方々も含め
長い長い時をご一緒して頂き有難うございます。



また、割と最近にこのサイトの事を知って
虹の彼方を読んで下さった方々にとっては短期間に一気に
とても長いお話を読む事になり、きっととても大変だったと思います。

数日に分けたり、
あるいは一気に読んで寝不足になったり…してまで
最後まで、こうして読んで下さった事にお礼を申し上げます。








さて…そろそろ、本当に終わりにしたいと思います。


虹の彼方という物語が…
皆さまの中に“何かを残してくれる事”…

もっと欲張りに言えば
“ほんの少しでも皆様の人生で役立ってくれる事”を
心の底から願って…
後書きのご挨拶を終えたいと思います。





最後までお読み下さり、本当に有難うございました。


作者:木蓮



 

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★この後『管理人の呟き&お知らせ』に感謝を込めて
サイト全体を通してのご挨拶を書かせて頂きます。

宜しければ、そちらもお読み下さいませ。




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