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虹の彼方 225 <婚礼の儀>




<婚礼の儀>




結納の儀の日から見て、約5カ月後の大安吉日の日に
由緒ある並盛神社にて…
雲雀恭弥と沢田優衣の婚礼の儀が行われる事になった。

恭弥の希望により、出席者はごく身内の親族だけでの
神前式の結婚式をする事になっている。





婚礼の儀の当日…沢田家は早朝から大忙しだった。

恭弥が事前に作らせていた純白の婚礼衣装は、
一見真っ白の生地であるのだが…
良く見ると大変に凝ったおめでたい文様が織り込まれたり
見事な刺繍が施された特注の生地で作られており
その着物だけで十分に芸術品という事の出来る
とても素晴らしいレベルの物であった。



自宅に来て貰った美容師と着付けの係の人により
その大変に美しい着物で白無垢姿になった優衣を見た家光は
…感極まってその場で泣き出してしまい
奈々も隣で、頷きながら静かに涙を流した。

数か月という短い期間であったが優衣と一緒に過ごす機会があり、
家光も奈々も意識的にはすっかり父母になっていたので…
彼らにとっては、ごく普通の反応でもあった。



そして、その様子を…少し離れた部屋の入口の外から
熱い視線でじっと見ていたリボーンは…スッと、その姿を消す。
その事に気が付いた綱吉は一瞬の迷いを見せた後、
そのままそっとして置くという選択をした。






綱吉が家光と奈々を宥(なだ)め…二人が落ち着いた所で、
二人の正面に座り…
手を付いて丁寧に今までの感謝の言葉を述べる優衣。

その言葉を聞いた家光がやっと止まった涙をまた流し出し、
…再び、綱吉の出番となった。



再度泣き出した家光の事は綱吉に任せて
優衣自身は…
続けて挨拶をしたいと思っていたリボーンを探すが、家の中に居ない。

ふと見ると…家の外の門前に立っているリボーンが見えた。
わざわざ家の外に出ているという事は
『オレに挨拶はいらねぇ』
…という意味なのだろう。

少し寂しく思ったが、それがリボーンの希望ならば仕方ない
…と、優衣はそっと奥の部屋に戻った。








やがて雲雀家の用意した迎えの車数台が到着し…
それぞれの車に乗り、沢田家から並盛神社に移動をする。

並盛神社の入口には、
巫女が数名と雅楽の奏者が待機しており、
花嫁の到着を待っていた。

巫女に先導されつつ新婦一行が本殿までゆっくりゆっくり進み、
新郎一行と公式立会人のボンゴレ9代目、
キャバッローネのディーノの待機している所に向かった。

静かに新婦一同の到着を待っていた新郎一家は、
美しい優衣の姿を見て柔らかく微笑む。





両家が揃ったところで、
神主(斎主)の先導に従って全員が本殿の最奥に入場。

神前に向かい右側に新郎、左側に新婦が並んで座る。
新婦の優衣は白無垢なのに対して…
新郎の雲雀恭弥は黒の紋付羽織袴だった。

二人の衣装は色違いのお揃いの生地で作られた着物であり、
こうして並ぶと画のように美しい。



両家の親族は、新郎側と新婦側に別れ
…向かい合うように両側に並んで座っている。
全員が、それぞれ趣向を凝らした
黒を基調とした結婚式参列用の和服姿だ。




神主による厳かな祓詞(はらいことば)に続いて、
新郎新婦はお祓いを受け、続けて神前に結婚報告をする。
その後、二人は三三九度の盃を受け御神酒を頂いた。

その後に雅楽の奉納があり…
続けて、新郎新婦が揃って神前に誓詞奏上と玉串を捧げる。
公式立会人と親族一同も同じように進んだ後は…
現代風に、結婚指輪の交換もした。

その後、全参列者も御神酒を順番に頂き
…最後に神主により、結婚の儀が終了したという挨拶があって、
婚礼の式典は無事に終わった。










尚、その後の結婚披露宴について…
恭弥は「そんな物は必要ない」と言って嫌っていたのだが
優衣から何度か「お願い」をした結果…
神社での婚礼の儀の後にホテルに場所を移して簡単に行う事になった。


新郎家側は、親戚筋の者と、風紀財団の幹部クラスの者達を呼び…
新婦側は、沢田家の親戚と
ボンゴレの仲が良かったメンバーを会社の友人達という事で呼び…
派手さを抑えてはいるが
世間一般的な結婚披露宴に近い物を開催する事が出来た。


かなり大勢が集まる事になるので、
恭弥の機嫌が悪くなるのを心配していたが
欧州で大勢に囲まれる事にもだいぶ慣れていた事と
自分達の結婚のお祝いに駆け付けた者達に対して、
極端に嫌な顔をする事はなく、周囲の者達を安心させた。





更に…事前の周囲の説得のお陰で…
先ほどの神社での婚礼衣装を皆に披露した後には、
披露宴の途中でお色直しをして
新郎新婦の洋装のタキシードとドレス姿も皆に披露する事を了承してくれたので
雲雀の両親も、沢田夫妻も、
披露宴に駆け付けた者達も大変に喜んだ。



洋装の衣装も恭弥の注文により作られた衣装を着用しているが
…恭弥は品のある黒のタキシード。
そして優衣は、
スッキリしたデザインの中に上品さと清楚さを感じる
純白のウエディングドレスだった。









結婚披露宴会場では良くあるスタイルの
円形のテーブルに座っているメンバーの会話が聞こえて来る。




奈々「優衣ちゃん、とっても綺麗ね〜白無垢も良かったけれどドレスも素敵だわ〜」



家光「そうだな〜オレ達の結婚式の事を思い出すなぁ。」



綱吉「…どんな結婚式だったの?」



家「…奈々がそりゃ〜キレイでなぁ!オレはずっと見惚れてた。」



奈「貴方ったら…そんな大きな声で…」



綱「…へぇ〜。」



家「お前もさっさと結婚したらどうだ。」



綱「…え。…いやぁ…」



家「あのお嬢さんとはどうなってんだ?」



綱「…ええと…一応…上手く、行ってるよ。」



家「なら、さっさとプロポーズしたらいいじゃないか。」



奈「まぁ〜♪今度は、新郎側の体験を出来るのね!楽しみだわ〜♪」



綱「…いや、まだ何も…決まってないから…。」




その後…
家光と奈々がイチャイチャしつつ、
綱吉を少しからかっている光景が続いた。






+++++++++++++++++






ディーノ「さっきの着物もスゲー良かったけど、タキシードとドレスも似合ってるな〜」



草壁「恭さんも優衣さんも…何を着てもお似合いになりますから。」



ロマーリオ「まるで子供の自慢をする親みたいな台詞だな。」



草「オレ達にとっては、自慢の…お二人ですから…。」(感極まったようにホロリ)



デ「おぃおぃ草壁…また泣くのかよ。」



ロ「さっきから、何かというと風紀財団の連中は泣いてるよな。」



草「恭さんの結婚披露宴に呼んで頂けるなんて…まるで夢のようで、嬉しくて…」(更にホロリ)



デ「優衣が必死に恭弥を説得した甲斐があったな。」



草「…はい。…本当に、有難い事です…。」





出来れば結婚のお祝いをさせて貰いたい!
二人の晴れ姿をひと目でも見たい!

…と切望していた草壁や財団員達は、結婚披露宴に参加出来て
感激のあまり終始泣き顔であったらしい。







++++++++++++++++++







披露宴会場全体が見渡せる正面に座っている恭弥と優衣…
恭弥は
『大勢が群れている上に、まるで見世物のようで嫌だ』
と言いつつも…
優衣の為を思い…
我慢して、何とか大人しく座っていてくれていた。





恭弥「…優衣。今日は早朝に起きて準備する為に大変だったんだろう?…疲れていないかい?」



優衣「…大丈夫です。お気遣い有難うございます。」



恭弥「お腹は空いている筈なのに…あまり食べていないね。」



優衣「…あの、それは…色々な想いで胸が一杯で食べられないだけです。」
「具合が悪い訳ではありませんので、心配しないで下さい。」



恭弥「食事が喉を通らない気分…という事かい?」







優衣「皆様に、こんなに祝福して頂けて嬉しくて…有難くて感激しています。」
「…それに…こうして隣に並んでみて、本当に恭弥さんの妻になったんだと思うと…」
「とても幸せに感じると同時に、身が引き締まる思いです。」



恭弥「君は…こんな時まで変に真面目だな。」(僅かに苦笑しつつ)



優衣「…真面目…?」



恭弥「結婚披露宴でお祝いを受けている時まで…今後の生活での“決意”をしているのかと思ってね。」



優衣「……変ですか?」



恭弥「…優衣…。」
「こんな日位は、君は何も考えずに…ただ幸せに浸っていれば良いんだよ。」


とても優しい光を帯びた恭弥の瞳が…
真っ直ぐに優衣を見る。








その後…ひと呼吸置いて…


恭弥「…君を、必ず幸せにするよ。」



優衣(……っ……)
「…はい。私も恭弥さんを支えて…恭弥さんに幸せを感じて頂けるように努力します。」



恭弥(…苦笑しつつ小さく溜息…)
「…優衣、…そこは返事だけで良い。」



優衣「…え…。…ぁ…。」


先程の恭弥の『ただ幸せに浸っていれば良い』
という言葉を思い出し…


優衣「…つい何時もの癖で…。」

ちょっと恥ずかしそうに言いつつ…少し俯く優衣。





優衣の様子を見て、少し可笑しそうに柔らかく微笑み…
愛おしそうに見詰める恭弥。








その後、ゆっくりともうひと呼吸置いて…
滅多に見せない極上の笑みを向けつつ



恭弥「…優衣…一緒に幸せになろう。」



優衣「…はい。」





その後、二人でじっと見つめ合い…一緒に穏やかに微笑み合った。











<婚礼の儀> 終わり




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※虹の彼方は、まだ終わっていません。
あと少しだけ続きがあります。









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