[携帯モード] [URL送信]
虹の彼方 224 【解説5】<義父と娘>



【蛇足的解説 その5】



『物語に書かれている場所に行きたい』
…というお声を沢山頂いております。
ですので、今回はその点についてご注意を書かせて頂きます。



私が海外に頻繁に行っておりました時代は結構前です。
あの時に比べて…
最近の国際情勢は色々と悪化しておりますので、
十分に!気をつけて行くようにして下さいね。

中東地域が危険度が高い事は、
毎日のニュースなどで良くご存じだとは思います。
しかしヨーロッパも場所によっては注意が必要な所が、かなり増えて参りました。

南欧でスリや泥棒が多いのは良く知られていますが(都市にもよりますが)
最近は、誘拐件数も以前より増えています。



今回の物語の中で書いた国の中で言うとトルコやクロアチア、ギリシャなどは
最近は常に何かとゴタゴタしています。
物語の中で書いているようにトルコが親日国なのは確かですが、
それ以外の“トルコの顔”も当然あるのもお忘れなく。
それにトルコはイスラム教国です。





トルコ隣接地域全体は
イスラム教徒が大変に多い事も良く頭に入れておいて下さいね。
宗教オンチが多い日本人は、
それがどういう意味なのか分からない方々も多いのですが

もしも、これを読んでいる貴女が…
「イスラム教って良く分からない」
と思うのでしたら、

旅行に行く前に…
イスラム教の教えの核と歴史(特にキリスト教との確執の部分)位は、
最低限お勉強する事をお勧め致します。
(キリスト教文明とイスラム教文明の対立の根深さの部分を知らないと理解出来ない事も多いのです)


彼らには彼らの宗教に基づいた“大事にしている事”が多々あります。
それを全く知らずに発言したり行動するのは
失礼になる事も多いですし
比較的日本人に馴染みのあるキリスト教側の視点だけで会話をすると
相手を怒らせる事もあります。




イスラム教側の言い分や歴史認識も学んだ上で、
イスラム教を信仰している方々と
接する時のマナーレベルに当たる内容は、最低限でも学んでおきましょう。

彼らの大部分は、テロ行為をするような方々ではなく
真面目に教えを信仰している善良な方々です。
キリスト教徒にも「キリスト教原理主義者」などが有名ですが
…かなり!過激な方々がいますよね…。


一部の過激思想の方々を取り上げて、
まるで全体が悪いかのように言うのは公平ではありません。
何かを見る時に、一方の側からだけの視点で見ると偏った判断をしてしまいます。
ちゃんと両方の言い分を聞いて、見て、調べてから…冷静に判断しましょう。




…すみません。


つい大きく脱線してしまいましたが…仕切り直します…





中東地域及びその隣接国の辺りは日本と違って
『常に扮装や戦の臭いのする国』のひとつでもあるので
渡航する場合は、当然ながら注意が必要です。

ハッキリ言って上記の3国及び、その周辺国には
当分の間(数年か数十年位)は、必要がない限りあまり行くのをお勧め致しません。


※ギリシャは本来は安全性まぁまぁですが、数年前から経済的に国が行き詰まり、
企業であれば、とっくに倒産している筈の最悪の経済状況です。
それに伴い公務員がストをしていたり…というケースも増えており、
以前のようには、まともに観光出来ない事もあります。

※詳しくは経済ニュースなどをご覧になると出てくると思います。






もし上記の3国にどうしても行きたい場合は
「団体ツアー」で行く事を勧めます。

それなら旅行会社の方で危険地帯を避けて案内をしてくれますので
…まぁまぁ安全だと思います。

個人で…しかもお若い日本人の女性が単独で行くには、
最近ではリスクがかなり大きいです。
単独での旅行は止めた方が安全です。




他のドイツ、英国、イタリア、オーストリア、スペイン、モナコ…などは、
これを書いている時点では比較的安全と言えます。
(イタリア南部と一部スペイン・ドイツの地域を除く)

しかし、どの国も地域により違いがある上に
「十分にその国の言語を使えない日本人の若い女の子が個人旅行する」のは
一定の危険やトラブルが伴う事を決してお忘れなく。


日本人の場合、TVの旅行番組などの影響で
「言葉が出来なくても何とかなる」とか
「若い女優さんが1人旅してたし大丈夫」
と思う方々も多いのですが

「あれは背後にスタッフが大勢いるので出来ている事」
だというのを忘れてはなりません。


1個人が同じ事をしても、TVの番組のようには…なかなかなりません。
※行く場所にもよりますが。


そのような視点も、しっかり持って「現実を見て」判断をして下さいね。






今回も…
完璧に蛇足的な内容の解説…というよりご忠告…でした。




+++++++++++++++++++++++++++++++++++++




<義父と娘>





雲雀と優衣の結婚式の日まで…1週間前となった日に、
優衣は正式にボンゴレを退職した。


予定していたマニュアル作りも全て終え、
それ以外にも綱吉が1人になっても仕事がしやすいように…
と考えた様々な改革をして
自分に出来る範囲で精一杯の仕事を仕上げた優衣に対して
ボンゴレの仲間は惜しみない賞賛を送ると共に
…その別れを心から残念がってくれた。





惜しまれつつ、盛大な送別会を開いてもらい…
ボンゴレの皆と涙の別れをした後に、優衣は1人で自分の部屋に向かう。

優衣が今朝まで使っていた部屋は…
送別会の間に風紀財団員が来て、荷物を全て運び出してくれたので
元々部屋に備え付けてあった家具類などを除き
…全ての荷物が無くなっていた。



ガランとしてしまった部屋に入り…
初めてこの部屋に入った日の事を懐かしく思い出す。



獄寺と山本に迎えに来て貰い…ドキドキしつつ綱吉に会った時の事…
その後、この部屋で荷物整理をしつつ
今後の生活に内心で不安を抱えていた事…

落ち着かない気持ちで暮し始めた優衣だったが、
ボンゴレの皆は本当に親切にしてくれて
一週間もした頃には、不安は殆ど感じなくなっていた。







色々な方々にお世話になった優衣だが…
中でも、一番お世話になったのは…やはりリボーンだった。

折々に細かく心配りをしてくれるだけでなく
…実に様々な事を教えてくれた。


ボンゴレについてやマフィアについての知識は勿論、
仕事の進め方、秘書としての行動、お勧めの本、
勉強しておいた方が良い内容、更には人間関係のアドバイスなども…

優衣が、少しでも悩んでいたり疑問に思っている事があると
それを察知して、さり気無いフォローを入れてくれた。




ボンゴレの皆は、優衣の仕事振りを褒めてくれる人がとても多かったが
そんな仕事をする事が出来たのは、
リボーンの指導があったお陰だと、優衣本人は思っている。

新米社会人であるだけでなく、
マフィア業界の事も、ボンゴレの事も、秘書としての仕事も
何も知らなかった自分が、ここまで出来たのは…
間違いなく、リボーンの細かい指導があったお陰なのだ。


改めて…
リボーンが、如何に自分に愛情を注いでくれていたか…
それをひしひしと感じる。




「…………。」









そんな事を考えている時、部屋が軽くノックされ
…低い声が聞こえて来た。



リボーン「…優衣、入るぞ。」



優衣(…っ…)



リ「用意は出来てるか?…今日はオレが家まで送ってやるぞ。」



優衣「綱吉義兄さんは行かないのですか?」



リ「アイツは仕事が終わってねぇから、置いて行く。」



優衣「…そうですか。」



リ「忘れ物がねぇか…部屋の隅々まで確認したか?」



優衣「はい、確認しました。…忘れ物はありません。」



リ「…そうか。…じゃあ、行くぞ。」











リボーンが丁寧に運転する車の助手席に乗り、
…沢田家まで送って貰っている優衣。

車に乗った時からリボーンは全くの無言で何も話そうとしない。
何時もとは少し違う雰囲気を感じて…
暫くの間は優衣も何も言えずにいたが、勇気を出して…声を出す。



優衣「…あの…今まで、色々とお世話になり有難うございました。」
「お陰様で…ボンゴレではとても楽しく有意義な時を過ごす事が出来ました。」



リ「礼には及ばねぇ。…前に言った事があるが…。」
「お前をボンゴレに無理矢理に連れて来たのはオレだからな。」
「オレが面倒を見るのは…当然の事だ。」



優衣「…………。」
「とても細やかな事まで、細部に渡ってフォローして頂き感謝しています。」







リ「お前が早く一人前になって…ボンゴレの役に立つ為にやっただけだ。」



優衣「短い間でしたが…私は少しはお役に立てたのでしょうか?」



リ「あぁ、お前は予想以上に成長が早かったしな…充分に役立ってくれた。」
「今まで、ご苦労だったな。…改めて礼を言うぞ。」



そう話しながら…
前を向いたまま運転中のリボーンが…少しだけ微笑む。



リボーンの穏やかな横顔を見て…
内心で燻ぶっていた寂しさが表面に出てきた優衣は…
俯いて無言になってしまった。



(…………。)










赤信号で車をゆっくり停止させた後、
隣で下を向いたままの優衣をチラリと見たリボーンは
その頬に光る涙を見て…



リ「…泣く程…ボンゴレを去るのが寂しいのか。」



優衣「…はい。ボンゴレの皆さんとお別れするのは、とても寂しいです。」
「でも何より…リボーンとお別れしなければならない事が…寂しくて哀しいのです。」



リ(……っ……)
「無理矢理…お前をマフィアの世界に引きずり込んだ元凶の“死神”なのに…か?」







優衣「ボンゴレに来たお陰で、恭弥さんに出逢う事が出来ました。」
「…他の…懐かしさを感じる皆さんとお逢い出来たのも…」
「全てリボーンがボンゴレに勧誘して下さったお陰です。」
「私の人生は、リボーンにお逢いした所から…新たな扉が開いたと思っています。」



リ「オレの我儘で強引な勧誘を…そんな風に美化してくれて有難うな。」



優衣「確かに強引な勧誘ではありましたが…我儘な内容ではありませんでした。」
「全ては…私の為を思っての事だったのだと、今の私は解かっています。」



リ「…………。」











優衣「…お義父さん…本当に有難うございました。…心から感謝をしています。」



リ(……っ!……)



優衣「このご恩は、一生忘れません。」



リ「…………。」










その後…
助手席で涙を流す優衣の方には、視線を向けないまま
リボーンは黙って運転を続け
…間もなくして沢田家の前に到着した。



静かに車を停止させたリボーンが、
優衣に温かな視線を向けつつ話しかける。


リ「ヒバリが無茶な事を言ったり、何かあったら…直ぐにオレに言うんだぞ。」
「地球の裏側からでも飛んで帰り、直ぐに駆け付けてやる。」



ようやく泣き止んだ優衣が顔を上げ、
リボーンの方を見ると…とても優しそうな笑顔が目に入る。

優衣「…はい。」

微笑みつつ答えると…




リ「お前は、辛抱強いからな…我慢し過ぎる前に、ちゃんと言って来いよ?」



優衣「…はい。…有難うございます。」






リ「…………。」



優衣「…………。」









その後、暫く二人で視線を絡ませて微笑み合っていたが…
ふっと小さく息を吐いたリボーンが口を開く。




リ「…オレは、まだ仕事があるから…このままアジトに戻る。」



優衣「…分かりました。送って下さり有難うございました。」






丁寧に頭を下げ、お礼を言った優衣が助手席から降りて
…車のドアを閉めようとした時…



リ「…優衣…。…幸せになるんだぞ。」



という声と共に…
とても真剣で慈愛の籠った瞳をしたリボーンの視線が
…じっと優衣を見る。






優衣(……っ……)
「…はい…。」



涙が出そうになるのを必死に堪えた優衣が返事をし…
名残り惜しそうにゆっくりとドアを閉める。






ドアが閉まったのを確認したリボーンは


…そのまま静かに車を発進させ…その場から走り去った。












<義父と娘> 終わり



+++++++++++++++++++++++++++++++++++++











[*前へ][次へ#]

14/17ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!