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虹の彼方 221 【7章解説】<鷹司綾子その後>



◆第7章【心模様】の解説


この7章では、クラウスという難しい相手に苦戦しつつ、
同時に優衣が心の中を深く深く振り返り
今までの事を冷静な『第三者の目』で反省するシーンと
その後のお互いの気持ちを話すシーンがメインの章です。


それ以外では、優衣の嘘のない純粋な気持ちで
心の底からクラウスの為を思ったアドバイスをした結果で
無事に欲しい情報を手に入れる事が出来た所も注目して欲しい箇所です。

計算しつくした仕事ばかりが素晴らしい訳ではなく
関わる人々の幸福を願う姿勢こそが“最強の仕事姿勢”であると
私は個人的に思っております。




所で…ともすれば大きく揺れてしまう
「恋する乙女」の状態の己の心を冷静に客観的に
見つめ直すのは、かなり大変な事であると思います。


普段から、反省したり振り返って考える癖がある優衣だからこそ、
短期間で出来た事であり、通常は思っている以上に難しい筈です。

自分にも出来る…と思えそうなのですが…
実際にやってみると「本当に冷静な第三者の目で振り返る」事は
かなり高度な反省業であり、難しい事が分ります。

皆様も機会がありましたら…是非やって見て下さいね。





冷静な第三者の目で振り返る為には、
当然…自分ひいきはダメですし、自己卑下もダメ。

「自分以外の高度な認識を持っていると思われる方の視点」
を想定して自分自身を点検するのですが
ここまで聞いただけで…結構大変そうだと思いませんか?





折角なので具体例を出してみましょうか。

…例えば…
お母様と長い期間喧嘩をしたり確執がある方が居たとします。


そんな方が…
お母様との関係を冷静な目で振り返る方法は
色々ありますが、簡単な方法では…

<簡単バージョン>

・最近の葛藤と感じている内容を洗い出して見る。
(箇条書きにして書き出す。感情を込めずに事実だけ書く)

・自分の立場・相手の立場でお互いの言い分を想像して書き出す。

・自分がどうすれば解決するのかを探る。⇒反省して実行する。



ここまでは第一段階。
割と簡単に出来る範囲だと思います。

この段階でスッキリする方も一部にいますが、でも少し甘いです。
という事で、もう少し深く
「相手との関係をしっかり振り返る」事にします。




<深く見つめるバージョン>

・そもそも相手と出逢った最初の時を思い出す。
(この場合相手が母なので自分が生まれた時)

・自分が生まれた時に母はどんな気持ちだっただろう?
(母本人、父や祖父母などから聞いた話を元に、母の気持ちになり切って想像する)
(※自分の誕生を心から喜んでいる母の気持ちが自分の中に拡がればそこそこ成功)

・赤ちゃんの時。(一方的にお世話になっていた頃)
・1,2歳のヨチヨチ歩きの頃にして貰った事。
・幼稚園の頃の自分と母との関係や母がしてくれた事を思い出す。
その時期の母の気持ち、自分の気持ちを双方思い出す(又は想像する)
(愛おしい・嬉しい気持ちなどが思い出されればそこそこ成功)

・小学校・中・高・大…と、順番に丁寧に思い出して行く中で
どこかで「葛藤の種」がまかれている場所がある筈なので、
それを冷静な目で見つける。
(その時の自分、母、第三者の視点でその場面を冷静に見つめる)

・葛藤の種がまかれ、育ち…
徐々に葛藤が大きくなって行った過程を冷静な目で見つめる。
(同上。3つの視点で冷静に見つめ、なるべく詳しく状況分析をする)





やる上でのポイントは、
「高度な意識の視点で今までの出来事を“俯瞰(ふかん)”する」
事でしょうか。
つまり自分の感情を入れずに…
「第三者の気持ちで、まるで高い上空から眺めるように冷静に見る」
…という事です。


一番冷静な「高度な意識で判断した結果」が分ったら…
そこから、今現在の自分が反省するべき点・修正するべき点などを書き出して
反省を更にゆっくり丁寧に進めていく。




以上…超簡単に書きましたが、
これが「反省業」と言われる物の中で
かなり簡単でやりやすい方法です。

が…これでも慣れていな方には難しいのが本当のところです。
最初は失敗する事も多いし、雑念も多く出て来ますが…
諦めずに何度も挑戦すると段々上手になります。



母親の例で書きましたが、祖父母や、友人や先生や、職場の上司や…
一部を変えれば誰を相手にしても使える方法ですので、
人間関係でギクシャクした時には、ぜひお試し下さいね。





★ご注意!★

自分を貶(おと)める思い、自己卑下の思い、
自分はダメだという気持ちがあまりに高まりそうになったら、即止めて下さい!

逆に…相手を貶(けな)す思い、憎く思ったり、怒りの気持ちが出たりして
心が荒れて来た時も、即!止めて下さい!


そのような精神状態になる時は、体調も悪い時かもしれませんし…
そのまま無理に進めても良い事はありません。
ダメだと思ったら止めて、
他の事=心が明るくなる事に「想いを切り替えて」下さいね。



特に女性は月経の影響などもあり、
精神状態に浮き沈みがどうしても出やすいですので
そんな時に無理をしてはいけません。
出来そうな時に、無理をし過ぎないで(反省から逃げてもダメですが)
頑張ってやってみる…という位で良いので

『自分や相手を(心の中で)傷つけそうだと思ったら、即止める勇気』
を持って下さい。
これはとても大事な事なので、良く覚えておいて下さいね。




★本物の反省業は、ちゃんと出来た時に…

「スッキリして、爽やかな気持ち」
「幸福感が出てくる」
「感謝の気持ちが溢れて来る」

…ような状態になる事です!

自分をイジメる内容の反省業は本物ではありません。
反省とは、自分が幸せになる為にもする物です。それが本物です。
(当然、相手との関係も改善して相手の方も幸せになります)

ココはポイントです。外さないで下さいね。







それから…物語の中で雲雀さんがクラウス相手に
「経営の指南」
「企業のトップしての自己変革の必要性」
を諭して教えている場面がありますが、
あの辺りのお話は社会人になるととても大事な内容です。

まだ学生の皆様にはピンと来ないと思いますが、
アルバイトなどやったり
社会人としてお仕事をするようになると
「出来れば持っていた方が良い知識」のひとつです。




特に組織論や、
それぞれの「立場に合わせた自己変革・意識改革」の部分は
知っておいた方が良い教養のひとつだと私は思っています。
関心がある方は是非お勉強してみて下さい。


単なるバイトでも、
社会人3年しか経ってない組織的には下っ端の者であっても
組織論、経営論等に通じており、
自分の立場での思考だけでなく、先輩や上司や、
更には会社経営人の思考や考え方を良く理解した上で、
自分の役割を果たそうとお仕事をする場合と…

単純に自分の立ち位置からだけしか、
仕事や会社の事を見る事が出来ない人では
仕事内容や、創意工夫や、立ち回り方に違いが出て参ります。

それは上の立場の方々から見ると、
とても良く解かる事なのです。



自分が、まだその立場に居ないとしても…
意識をする事で、そのような方々や会社全体としての思考や
考え方が分るようになります。

そこまで行くと、その方は「単なる会社の歯車」ではなく
「会社の構成員」としてカウントして貰えるようになるでしょう。



入社して3年経っても5年過ぎても10年でも20年でも…
どこまでも自我が強くて、
自分本位な自分の立場でしか物事を考えられないような
「固くて可哀相な人」になるよりは

柔軟で自由自在な視点を持って、
上司の気持ちが分かった上で行動出来るような人材になり
「頂いているお給料の何倍もの働きを出来る人」
を、ぜひ目指して頂きたいと思います。





何に対しても言える事ですが…
「自分の立っている位置からの視点」
だけでなく

「相手や周囲の人の視点」
「より高度な認識を持っている人の視点」
「海外の方々の視点」
「男女別の視点」

などなど他にもありますが…
自分以外の他の方々の視点でも物事を見る事が出来て、
更にその気持ちも理解出来るようになる事は
あらゆる方面での成功に結び付くと同時に、
その方々の周囲に調和を生み出す事にもつながります。

出来れば…そのような人を目指したいと、私は思っております。






以上、蛇足的な内容を多く含む7章の解説でした。



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<第8章の鷹司綾子さんのその後>




途中でクルーズ船を降り、1人で日本に帰国をした鷹司綾子は
自宅で改めて、じっくりと
雲雀に貰った婚約者のプロフィールを読んだ。


その中には…綾子が噂話として聞いた
『変な趣味に嵌った結果、婚期を逃したらしい』
…というのは、根も葉もない単なる噂であり
一般的に結婚適齢期と言われる時には、新規事業の展開をした後で
事業の安定化の為、
日本だけでなく海外も飛び回って必死に仕事をしていたので
誰かとゆっくり付き合っている暇が無かったようだ…と、記されていた。


つまり、かなり真面目に
一生懸命に仕事をする人であるという事なのだろう。

『雇っている従業員の為にも会社を順調に運営する使命が自分にはある!』
と思って仕事をしている人物であるとも書いている。



「…………。」



(恭弥さんの調べてくれた内容なのだから…恐らくこの内容に間違いはないのでしょうね)
(後は…わたくし自身の目で…)
(この方の事をちゃんと確認するのが大事だと言われたし)
(早速お会いして…)
(そのお人柄を自分自身で見極める為に、行動しなくてはなりませんわね)





その後、綾子は両親に『しばらくお付き合いをしてみます』と宣言をし
実際に時々逢っては、食事をしたり、
ちょっとしたイベントや美術館などに行ったりと
いわゆるデートを何度か重ねた。

すると…綾子が意外に思う程に…
二人で過ごすのは居心地が良い事が分った。


少し甘えん坊で我儘な所もある綾子なので、
年齢が上で、余裕を持って接してくれる相手とは相性も良いようだ。
それに…何気に趣味の志向も合うので会話も弾む。




10歳も年齢が離れていたのでは、
会話が噛み合わないだろうと思っていたのだが…全くそんな事は無かった。

それに、良く考えたら…
綾子の場合は年齢が近い男性は子供に見えてしまうケースが多く
どうやっても友人以上に思うのは無理があった。



(これくらい大人でゆとりがあり、)
(わたくしを可愛がってくれるようなお相手のほうが)
(…確かに、相性が良いような気がいたしますわ)

(両親も恭弥さんも…それが分っていたからこそ、わたくしに勧めたのかしら)



…という事に、綾子が気が付いてからは、
真剣に相手との結婚を考える事が出来るようになり…

丁度、その頃…既に婚約しているというのに
…わざわざそれとは別に…
相手の男性が、
綾子に改めて心を込めたプロポーズを個人的にしてくれた。


全ては、綾子の気持ちを分かった上での
…男性の心使いの現れであった。

その細やかな心遣いに感激をした綾子は、
正式に自分の言葉で、求婚を受けるというお返事をして
晴れて…両人及び両家の公認の婚約者となり…
綾子の両親を大変に喜ばせた。






尚、そんな人物が何故…綾子と婚約するに至ったのかは…
どうやら、相手の男性が綾子にひと目惚れしたのが切欠であるらしい。

とある経済人の多く集まるパーティーに
母親の代わりに父親の同伴で出席していた綾子を見て
ひと目惚れをしだが、
自分の年齢などを考えて“諦めよう”と…自分に言い聞かせた。



が…どうしても諦め切れなかった彼は
友人の伝手を頼りに綾子の両親に紹介をして貰い
…熱心に綾子への想いを伝えたのだそうだ。


その誠実で真面目な人柄と、
娘への純粋な想いに打たれた両親が味方に付いてくれて
…婚約の運びとなった。




人生に於いて…諦めずに挑戦し続けるという事は
色々なケースで有効な手段であるようだ。








<第8章の鷹司綾子さんのその後> 終わり


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