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虹の彼方 216 【解説2】<アレックス夫妻パオロその後>



【蛇足的解説 その2】



私の作品のいくつかの中で、ヒロインが

「自分は世界一の幸せ者だと思う」
…という表現が出て参ります。


虹の彼方の本編でも最後に出て来ました。
私の作品群の中で、まるで〆の言葉のように使われているので
あぁ、また出て来たな〜
と思って読まれた方も多いのではないでしょうか?


その際、もしかしたら…
『いくらパラレル・別設定』でも、
そんなに全員が「世界一の幸せ者」と思うなんて…ねぇ…
と少し突っ込んだ方もいるかも?しれませんので、
本当に真の蛇足ですが(笑)少々解説を書きます。






先ず、
どの作品でもヒロインが同じように「世界一」と思う事に対して
私自身では、全く変だとは思っていません。

その理由は…

『幸福と感じるか否かは“相対的なものではなく、絶対的なもの”である』
…と考えているからです。





もう少し砕けた表現を致しますと…

『他者(他の人)と比べた結果、自分はあの人より幸福だ』

…と思うような、
相対的に比べた幸福を感じるのは“本道ではなく”



本当の幸福感を感じる時というのは…

『他者がどうであれ、自分の環境がどうであれ…自分が心から幸福と思えたら幸福』
『自分自身が心の底から幸せ・幸福と感じるような…絶対的幸福こそが本物』

…と考えているからです。







…要するに…
誰かと比べた結果(相対的に比べた結果)で
幸福だと感じるような物は“ニセモノ”であり…

他の一切と比べる事なく、
ただただ心の底からの幸福を感じる事(絶対的幸福)こそが
“本道”“本物”だと思っているのです。



その考えで行くと…
それぞれのヒロインが「自分こそ世界一の幸福」と思っていても矛盾はないのです。

全員が「世界一」だと思う程に、
心の奥からの確信的で絶対的な幸福感を持てていれば
真実、全員が世界一幸福な人であろうと思います。



大事なのは、
「他人と比べてどうか?」という事ではなく
『本人がどう感じているか?』
…という部分である筈です。





8章で登場した鷹司綾子さんのように、
一見…周囲からは羨ましがられる環境であっても
本人が自分は幸せだと思っていなければ、幸福な人ではないのです。

一方で、周囲からは
とても悲惨で可哀相な環境に生きていると見える方であっても
大怪我をしたとしても、不治の病になったとしても…
ご本人が、自分はとても幸せであると
心から思っていれば、その方は幸福な方です。



問題は…
『本人が、自分を取り巻く環境をどう捉え、どう考え、どう思うか』
という事だと思います。


その意味では、
『幸福は他人に与えられるものではなく…自分自身の心で掴むもの』
だとも思います。




端的にひとことで申せば…

『自分の心ひとつで、幸福にも不幸にもなれる』

という風にも言えると思っています。





以上【蛇足的解説 その2】でした。



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<第6章のターゲット:アレックス夫妻・パオロのその後>




イタリアで大変に仲良くなったアレックス夫妻とは、
その後も交流を続け…
まるで少し遠いの親戚のような、特別に親しい関係になっていた。


優衣の誘拐事件で恐ろしい体験をしたパオロは…
ぐずぐずと先延ばしにしていた恋人との結婚を決意し、
事件の少し後にプロポーズをしたそうで
雲雀達と同じくらいの時期に結婚式を挙げる予定だという連絡も来た。





雲雀は、イタリアを離れる際に
草壁に指示をして、ひとつの調査チームを作らせていた。

その調査チームの仕事内容は…
『アレックスの弟の死の真相を突き止める事』であった。


調査に関しての精鋭エキスパートばかりを集めたチームは…
完全に迷宮入りになっていた
昔の事件の手掛かりを得る所からはじめ…
時間をかけて事の真相を徐々に暴いていった。




その結果…アレックスが言っていたように
確かにマフィアが関わり殺された事などが分った。

しかも…その相手は、
後にポルポ・ファミリーの幹部になった者のひとりであった。

ポルポ・ファミリーが正式に結成される少し前に…
元々所属していたマフィアとの分裂前の準備段階として
資金などをかき集めている時期に
…アレックスの弟が標的になったのだ。

何とも…因縁めいた話だ。







その調査結果をまとめさせた物を作らせ、
部下にアレックスに届けさせた。

それを受け取ったアレックスから…雲雀に電話が入る。



ア「君の部下が届けてくれた物を見たよ。」
「昔の事なのに…こんなにまで詳しく調査をしてくれて有難う。」



雲「たいした事じゃないよ。」



ア「僕が想像していた通りにマフィアの仕業だったようだね。」
「しかも相手は…後のポルポの幹部のひとりだったと知って…驚いたよ。」



雲「…………。」







ア「彼らとは…余程、因縁があるという事なんだろうか…。」



雲「…そうなのかもね。」



ア「この…弟を直接手に掛けた者は、例の監獄島にまだいるのかい?」



雲「…居るよ。この後も…彼らがあの島から出る事は一生涯ない。」



ア「…そうか。」
「本当なら司法で裁いて欲しかったが、明確な証拠もないし有罪にするのは難しい。」
「それなら、あの島で自分の犯した罪と向き合って…少しでも懺悔して欲しいと思うよ。」



雲「あの島には、各種宗教の専門家が順番に訪問をしては、…彼らに反省を促す行事が定期的にあるそうだ。」
「そんな話に触れる内に…少しでも罪を悔いる時間が…あるかもしれないね。」



ア「僕は、そうなる事を…心から願ってるよ。」








雲「所で…金を貰って、この件のもみ消しをした…」
「警察関係者も全員調べが付いているけれど、…貴方は、どうしたい?」



ア「…どうしたいか…とは…?」



雲「貴方が望むのであれば…」
「僕の力で彼らを左遷(させん)したり、退職させる事も可能だという事だよ。」



ア「…あぁ、成程。」

(…………。)
電話の向こうで暫く考え込むアレックス。









ア「正直…昨日までの僕は…」
「弟を殺した者達と、事件を取り合ってくれなかった警察に…少し恨みの感情があった。」
「だが…こうして、誰がどう関わって事件が起きたのか…その詳細を知って、その気持ちが薄れた。」

「上手い話しに乗せられ…」
「不用意にマフィアに関わった弟にも…責任の一端がある、と思えるようになったんだ。」



雲「…………。」



ア「これ以上…恨みや禍根を広げるような事態になるのは避けたい。」



雲「では彼らの事は…このままにしておくという事で良いのかい?」



ア「あぁ、そうしてくれないか。」



雲「分かった。」



ア「…これで僕も…長年の胸のつかえが取れた。君には、心から感謝しているよ。」



雲「少しでも貴方の役に立ったのなら…良かったよ。」







…こうして…長年の間…
アレックス夫妻とパオロの“憂(うれ)いの原因”となっていた事件は

彼らの“悩みリスト”から取り除かれる事となった。









<第6章のターゲット・アレックス夫妻・パオロのその後> 終わり


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