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虹の彼方 214 <雲雀至福の時> 後編




<雲雀至福の時> 後編




一方、ロマーリオと草壁からは
離れた位置から見守っている綱吉、ディーノや他のメンバーも
…全く同じ事を感じていた。


デ「恭弥の奴も、リボーンも…すげー嬉しそうに闘ってるな。」



ツ「…そうですね。」



了平「あの二人は本当に闘いが好きなのだなっ!」



骸「…クフフ…。正に、水を得た魚という状態ですね。」



獄寺「にしても早ぇな…良く見えねぇぜ…」



山本「なんかさぁ〜楽しそうで良いよなぁ!ちょっと羨ましいぜっ。」









デ「なぁ…ツナ…」



ツ「…はい。」



デ「オレも…行っても良いか?」



ツ「…えっ?」


ディーノの言葉に驚いて顔を向けるツナ。







そこには…雲雀とリボーンの闘いを
真面目な顔をしてジッと見ているディーノ。


デ「順番に闘うって話だったが…オレも混ざりたくなっちまった!」



ツ「いや…オレとディーノさんとは個別に闘う約束だし…」
「ヒバリさんと決めた条件と違う事するのは…ちょっと困ります。」



デ「条件と違っても…恭弥が納得する闘いならいいんじゃねぇのか?」



ツ「…まぁ、そうでしょうけど。」



デ「だったら…オレが混ざって、相手が二人になった方が恭弥的には楽しんじゃねぇか?」



ツ「ん〜、個別が良いのか相手が多いほうが良いのか…」
「オレでは判りませんが…人数が増えてもあまり嫌がらない気はしますね。」



デ「…だろ?んじゃあ、ちょっと行ってくるなっ!」



ツ「えっ!?」




最後に綱吉に一方的に告げたディーノが、
二人が激しく闘っている最中に飛び込んで行く。

制止する暇もなく飛び込んで行ったディーノを見て、
小さく溜息を吐く綱吉。



ディーノは雲雀の当て馬にされるという損な役回りをさせられたんだし
…少し複雑な心中もわかる。

だから…内心で
“まっ、別に良いか”と思いつつ見守る事にした。










急に飛び込んで来たディーノに
敏感に反応した二人の男が…ピタリッと同時に止まり
…ディーノを睨み付ける。


リ「おめぇ…何してやがる。」



デ「オレも混ぜてくれっ!」



リ「オレ達の邪魔をするつもりか。」



デ「邪魔はしねぇよ。」
「恭弥が楽しくなるように相手を増やしてやるだけだぜっ。」



リ「ヒバリの出した条件は1対1の真剣勝負だぞ。」



雲「僕は別に構わないよ。」



デ「おっ!そう来なくっちゃなっ!」



雲「貴方は…余程早く咬み殺されたいみたいだね。」



デ「悪ぃが、今日のオレは何時もとは違うぜ!」
「恭弥…お前をボコボコにするのは…オレだぜっ!」



雲「(フッ)…来なよ。」



ニヤリと凶悪にすら見える“笑顔”でディーノを誘う雲雀。


嬉しそうに雲雀との闘いモードになるディーノを見て、
一度小さく溜息を吐いたリボーンも…
改めて雲雀を見て殺気を向ける…。

そして2対1のようで、
実際は三つ巴の3人の男達の闘いが始まった。











その闘いを暫く見ていた山本が、
もう我慢出来ない!という感じで…


山「なぁ、ツナ…オレも行かせてくれ!」


ツ「…えっ?」
「いや、いくら何でも3対1は不味いんじゃないかな。」



山「ヒバリなら喜ぶんじゃねぇの?」
「今日は、ツナ達の個人戦の後に、オレ達との複数戦もするって話しだったけどさぁ…」
「今こうして、もう複数で闘ってんだしオレが混ざっても別に構わねーって思わねぇ?」



骸「確かに…既に複数になっているのですから、…良いような気もしますね。」



了「おぉ!オレもそう思うぞっ!」



ツ「え…いや、それって…当初の予定とかなり変わってしまうって!」
「というか…まさか皆行くつもり?」



獄「早くヒバリのヤローをボコボコにしたい気持ちは…正直…否定できないッスね。」



山「だよなぁ?…もうウズウズして我慢できねぇ。」



う〜ん…と綱吉が考え込んでいる隙に…







山「悪りぃ!オレもう限界だっ!行ってくるぜっ!」

と、山本武が飛び出して行ったのを見て…



了「うおっ〜!オレも行くぞっ〜!」
「…極限に…オレは誰とでも闘うぞっ〜!!」


…と…少し趣旨がズレた内容を叫びつつ
笹川了平が、勢いよく広場に躍り出て行った。






その様子を見て…
はぁ〜と大きな溜息を吐いた綱吉の耳に…



骸「雲雀恭弥が元気な内に闘(や)らないと面白くありませんから、…僕も、そろそろ行かせて貰いますよ。」


と涼しい声で言った骸がスタスタと歩いて行き…




その様子を“ええっ?”と思いつつ見ていた綱吉に…


獄「確かに骸の言う通りッスよね。」
「やっぱ行くなら今だよな。…んじゃあ、オレも行って来ますっ!」


と獄寺にしては珍しく、
綱吉の了承を待たずに駆け出して行った。






ツ(…………。)






己以外の全員が闘いに加わり…
嬉しそうに全員で入り乱れて闘う様子を茫然と見る。

彼らが、それぞれ内に抱える様々な想いが
背景にある事を知っている綱吉は
無理に止める事はなく…

こうなってしまったのは仕方ないと思って、
半ば諦めて眺めていた。

…了平と骸に関しては単純に闘いたいだけのようだが。





当初の雲雀の出した条件とは違う闘い方になったが
…どうやら…雲雀は怒ってはいない。

ディーノや山本が言っていたように、
相手が増えて喜んでいるようだ。

それなら…後で苦情を言われる事もないだろうし
…まぁ良いか…。という心境だ。







ツ(…………。)






そのまま成り行きを見る。
了平が、本当に相手構わずに誰にでも攻撃をするので、
それを切欠に、敵も味方もない…
全員で入り乱れての
訳の分らないカオスなバトルに発展してしまっていた。


だが、みんな…とても楽しそうだ。




通常は『闘う』という事は…
辛い場面が多いという印象の綱吉だが…
今、自分が見ている本気の闘いは…全員がとても楽しそうだ。

今まで、何かを守る為…そして仲間達を守る為に、
その特別な拳を振るって来た綱吉だったが…

こんな“男同志のコミュニケーションの形”も
…存外悪くないな、と思う。





そのまま、暫くの間…皆の闘いを見ていた綱吉だが…
段々、自分もウズウズして来た。


ツ(…オレも…行こうかな…)


そう思った時にはもう…
瞬時にハイパー化し、入り乱れて闘っている最中に踊り込んでいた。











綱吉が参戦した事に気が付いた全メンバーが
…ピタリッと一度動きを止めて…綱吉の方を見る。



ツ「…待たせたな。」



雲「…やっと来たね。」



お互いに、それはそれは嬉しそうな顔を向ける。

他のメンバーもそれを見て…
ニヤリと心から嬉しそうな顔をして見る。








ツ「…行くぜっ!」

少し遠くから綱吉が声を発すると同時に地を蹴り、
雲雀に突進する…

その様子を、如何にも嬉しそうな顔で
迎え撃つ姿勢の雲雀に対して横からリボーンが…



リ「オレも行くぞ。」

と声を掛けると、その隣にスッと姿を現した骸が…



骸「僕もいる事を忘れないで下さい。」

と呟き…それに対して…




雲「…まとめて咬み殺してあげる。」

と心から嬉しそうに呟く雲雀。



雲雀の声の直後には…目にも止まらぬ速さで
4人入り乱れての、
壮絶な大乱闘が繰り広げられる事となった。










想定外の事態に、遠くから見守っていた草壁は、
正直最初は少し慌てたが…

今まで見た事が無い程に、上機嫌で…嬉々としている雲雀を見て
己が心配するような事は何もない事を悟る。




そして、密かに…

雲雀が…優衣に会えない為に…
イライラが溜っている分の発散をしてくれる事と

この場の全員が、
同じように内心で抱えている鬱憤を十分に晴らして
…全員が、無事に今日を終える事を願った。







++++


++











…その後…

それぞれの体力の限界が来るまで…

心行くまで闘って精根尽き果てた男達を
部下達が“回収”したのは、
もう夕日が傾き始める時間帯であった。




この後…約40日に一度の割合で、
今日と同じような事が残り5回も続く事になる。

優衣がボンゴレに在籍している間の、
丁度良い鬱憤晴らしがあるお陰で8ヶ月の間、
周囲が想像していた以上に雲雀の機嫌が良かったのは…後のお話。








…余談だが…

数回目のバトルの時に…
当日がバトルの日である事をすっかり忘れて『実験中』であった
スパナの次世代モスカ3体が戦闘に紛れ込んだ。

そして…誰構わずに…
攻撃をするという大変な事態になってしまった結果、
最終的に雲雀、綱吉、リボーンによって次世代モスカが粉々に砕かれ、
…スパナを茫然とさせる事となった。





<スパナ>


(…………。)

スパナが咥えていた飴がポロリ…と落ちる。



「…今日がバトルの日だってコト…すっかり忘れてた。」(汗)

「…ウチの次世代モスカが…一瞬で3体全部粉々…」
「もう…完成間近だったのに…。」




(…………。)

(…はぁぁっ…。…仕方ない…。)



「今日は早めに寝て…また明日から作ろ…。」


まぁ、これも…後の日のお話。










<雲雀至福の時> 終わり



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あきゅろす。
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