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虹の彼方 213 <雲雀至福の時> 前編




<雲雀至福の時> 前編


◆ボンゴレ所有の絶海の孤島(無人島)にて◆





イタリアで優衣が誘拐された時に
ボンゴレが風紀財団にスパイを送り込んだのは
理由如何に寄らず「重大な協定違反」と正式に認定された。

スパイの掴んだ情報はキャッバローネにも渡ったので、
キャバッローネも同罪と認定され
ボンゴレ&キャバッローネは、
お詫びの気持ちを込めた見返りを風紀財団に差し出す事になった。



その「清算方法」として雲雀が要求したのは、
金銭や物品ではなく
「沢田綱吉、リボーン、跳ね馬の三者と…雲雀が納得するまで3度闘う事」
…であった。



更に、その後…
優衣をボンゴレに8ヶ月間在籍させる交渉の時に、雲雀は…
事前に決まっていた
「清算方法」の内容の一部変更を要求して来た。


「3回のバトルではなく、8ヶ月の期間内に40日に一度の頻度でバトルに応じる事。」
「雲雀側の要望がある時は、三者以外の雲雀が指定する者もメンバーに加える事。」

…という条件変更を提案し、沢田綱吉はそれを了承した。
(※つまり8か月間の間に6回のバトルをする計算になる)








そして、第一回のバトル開催日である今日…

ボンゴレ所有の無人島には、綱吉をはじめとしたランボを除く守護者全員。
(※ランボはまだ学生で学校に通っている為)
(非常時以外はこのようなメンバーには入れないのが綱吉の方針)
そして…リボーン、ディーノが集まった。



雲雀側は、草壁の操縦する超高速ヘリで現地の島に到着。
ボンゴレとキャバッローネは、
それぞれ自前の船で孤島に来ている。

それぞれの船には、念の為に医師団も乗船させ
…万全の体制にしているが危険が伴う為、ボンゴレ側はスタッフ全員が
島の中に事前に設置されているモニターで様子を見守る。
万が一、医師が必要な事態になれば即出動する為だ。


キャバッローネも同様に、基本的に船のモニターで見守る事にしているが
ディーノの特異体質の為、ロマーリオだけは…

「草壁と一緒に見守る約束をしているから。」

という理由をつけて一緒に島に上陸している。








島の大きさは、それ程大きい訳ではないが
…小さな川が3本流れ、そこそこの滝もある。

荒涼とした広い岩場もあれば、切り立った崖もある。
密林部分も広がっているし、
ちょっとした草原のように見える場所もある。
小さな島の割に広い海岸線には、結構な広さの砂浜もある。

実にバラエティーに富んだ風景が拡がるこの島は、
ボンゴレが極秘開発した物を
密かに試す時や各種実験などに使われている島であり、
世界中のどの地図にも乗せていないので
一般には全く知られていない極秘島だ。




周囲に他の島もなく、
船や飛行機の公の航路からも遠く離れている為
誰にも邪魔をされる事なく、
幾らでも好きに闘う事の出来る、絶好の場所であった。




尚、…極秘の噂によると…
島の中に幾つか作られている研究棟のひとつを
スパナが自分専用実験棟として使っており
今までにないタイプの次世代モスカを作成中であるらしい。

研究に没頭すると、
他の事を何も考えられなくなるスパナの無事を確かめる為に
時々、ボンゴレの者が食料などを持って訪問しては
スパナの『安否確認』をしている…らしい。










雲雀の指定したバトル初回の今日…
島の中央付近にある、
ちょっとした広場のようになっている草原に全員が集まった。


雲雀「…この日を、待っていたよ。」


如何にも嬉しそうな顔で、雲雀が綱吉達を出迎える。


優衣と十分に逢えない鬱憤(うっぷん)を
晴らすつもりの雲雀の殺気は…
まだまだ、かなり抑えている段階であっても
…身が竦みそうに感じる程に半端ない。






ディーノ「恭弥、どんな順番で闘るんだ?オレが一番でも良いか?」



雲「構わないよ。」



リ「…待て。…オレが行く。」


ディーノを制し、一歩前に出たリボーンが
…雲雀に鋭い殺気を向ける。







雲「…へぇ…君が最初に闘ってくれるなんて嬉しいな。」



リ「こんな条件を出した事を、後悔させてやるぞ。」



雲「年齢を考慮して手加減をしてあげるような事はしないから、…覚悟しておくんだね。」



リ「オレを年寄り扱いするなんざ百年早いぜ…青二才が。」
「結婚前に身体がボロボロになって、破談になっても…オレは責任は取らねぇからな。」



雲「要らぬ心配だよ。」



心から嬉しそうな表情の雲雀を見て、
リボーンもニヤリとしつつ…



リ「お前をボコボコにする機会をわざわざ作って貰えて嬉しいぜ。」


二人の男の尋常でない殺気を感じた綱吉とディーノは、
…二人の邪魔にならないように後ろに下がる。











雲「じゃあ…始めようか。」




雲雀の一言でバトルが開始され…
二人の男達が眼にも止まらぬ速さで動く。

通常の者では、
とても全ての動きを追う事が出来ないであろうと思われる
超ハイレベルのバトルが開始されたのだ。






この闘いにルールはなく、
どんな方法でも良いので相手をダウンさせた方の勝ち。
バトルフィールドは島全体。
どこで闘っても良い。

但し、相手の息の根を完全に止める事だけは禁じられている。
この条件は、

『本気の殺し合いをするバトルでないと面白くない』

と主張する雲雀に対して

綱吉が大変粘った末に、何とか雲雀に認めさせた条件だった。

逆に言えば、死なない程度であれば
…何をしてもOKという大変クレイジーな闘いだ。







時々動作速度が下がる時に一瞬見える闘いの光景…


お互いの武器が何かを弾くような

ガキンッ!!ガツッ!!

というような高い金属音が大きく響く中で…
周りの地形を上手く利用した見事な頭脳戦の攻防。



何もかもが超ハイレベル過ぎて…
このような闘いの場面は比較的見慣れている
草壁やロマーリオも完全には目で追う事は出来ないでいた。





必死に集中して見る事で、
ようやく…少し動きが追える程度だ。




二人の男達の動きは、もの凄いスピードであり、
俊足なんてレベルを遥かに超える移動速度。

確かに足を使って地を蹴っている筈なのに
彼らには羽でも付いているのか?
と思う程に高く飛びもすれば翻りもする。

いや…羽で飛んでいるような、ゆっくりした動作ではないから…

『瞬間移動でもしているかのようだ』
と言った方が相応しいだろうか。





それ程までに異常な高速なのに、
その身体が描く移動曲線は美しささえ感じる程の
無駄のない動きだった。

大地を蹴り、岩場や大木を上手く使いお互いに武器を交える。

雲雀はこの闘いを楽しむかのように、
トンファーだけを使った肉体的攻防戦を繰り広げている。

一方のリボーンも、
偶に銃を発射するが基本的には使わずに闘っている。








見ているだけで疲れそうな程の…
休みの一切ない連続した攻撃をお互いに繰り出し
それを双方が全く無駄のない流れるような美しい動きで避けつつ、
…更に攻撃を仕掛ける。





…と…

今までにない程の大きな、



ガキーンッッ!!



と一際大きな金属音が響くと同時に…小さな火花が散るのが見え

雲雀のトンファーとリボーンの銃がぶつかり合い
…二人の動きがピタリッと止まった。



一見、動きが静止したかのように見えるが…
良く見ると、お互いにもの凄い力を籠めて武器を交えて
…抑止しているのが分る。

渾身の力を己の武器に籠めて対峙しているというのに、
二人の男は…全く、それを感じさせない。






そこへ…涼しい声が凛と響き渡る。



雲「…良いね。やはり君は最高だ。」



リ「…当たりめぇだ。オレを誰だと思ってる。」



雲「…ふっ…こんなに楽しいのは久しぶりだな。」



リ「…オレもだ。」



揃って鋭く刺すような油断のない獰猛な目を向けつつ…ニヤリッと笑う二人。

…次の瞬間…

二人ほぼ同時に間合いを取り…
その後再び先程までと同じような攻防を繰り広げる。









闘っているリボーンとも雲雀とも、
ツナやディーノや守護者達とも少し離れた位置で
この闘いを一緒に見守っているロマーリオと草壁は…
どちらからともなく…ボソリと声を出す。


ロマーリオ「…すげぇな…。」



草壁「…あぁ。…あまりに凄すぎて、良く分からんくらいに凄い。」



ロ「オレには…お互いにどんな動きをしてるのかすら見えねぇぜ。」



草「オレにも…全部は見えてない。」
「だが、恭さんが…心から嬉しそうに闘っているのだけは判る。」



ロ「…確かに、二人共…楽しそうだな。」










<雲雀至福の時> ※後編に続きます。

















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