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虹の彼方 20




“ドレスは最低でも8着は必要”と、事前に連絡が来ていたようで、
迷った挙句に10着分を選んだ。

バリエーションも、色も様々で、
これならどんなシーンでも何とかなるだろう。



各ドレスについては、
其々に合うランジェリーから(まさか下着まで用意してあるとは!)
専用の靴と鞄を選んで…漸く終わり。

そして、その他の服装用に、
タイプの違う靴と鞄を8点ずつ選んだ。

店員さんは、もう少し鞄と靴を選ぶように勧めてくれたけど…
私的にはこれで十分だと思う。





決まったドレスについては、
揃えて購入する靴や鞄も一緒に試着した所の写真も撮り…

やっと終わった…と思ってホッとした所で

「お疲れ様でございます。…こちらで少しお休み下さいませ。」

と別室に案内されて、
豪華なソファーで紅茶を頂いて休んだ。





試着するだけで、こんなに疲れるとは思わなかった…
まるで着せ替え人形のように、
こんなに色々な服を着てみたのは人生初めてだったけど

お陰で、何となく
“本当に私に似合う服装”が解った気がする。

自分で思っているのと、他人からの目では違うのね…
なんて事を考えていると…。





「…失礼致します。」

と先ほどの店員さん達とは違う店員さんが入って来て…




「では、今から指先のお手入れをさせて頂きます。」
「…ネイルの仕上がりのご希望は、どんなタイプでしょうか?」

と、綺麗なネイルの写真が沢山載っているメニュー表を広げた。




…え。ネイル…?

「…あの?今から…ネイルをするのですか?」





「はい。これも雲雀様からのご依頼です。」
「この後、先ほどお選び頂いた中から一つを選んでご着用頂き、それに合わせて御髪の方も整えさせて頂きます。」




雲雀さんが言っていた『頼んだように仕上げる』って
…そういう事だったのね…
と思いつつ、
取り敢えず…あまり派手ではない綺麗目のジェルタイプのネイルをお願いした。

普段のお手入れの仕方の説明も一緒に聞きながら…完成。





その後…
この後にお買い物に行くのに相応しい服装という事で、
上品でエレガントに見えるタイプの服にする事にして…

それに合わせたランジェリーを選び、
一度お化粧を落とし、お肌の手入れを丁寧にして貰った後に、
再びお化粧をして貰い…

着替えて、
…最後に、美容師さんが髪を整えてくれた。





丁寧に、プロのお肌の手入れ方法を詳しく伝授され…
お化粧の方法も教わった。

この時に…私の肌に合うお化粧品も選んで貰ったので、今後の為に、と…
そのお化粧品一式も一緒に購入する事になった。

今までは、雑誌等を参考にしただけの完全な自己流で、
ごく軽い薄化粧しかした事が無いので…
プロの技に関心しつつ、
折角の機会なので、一生懸命に自分に似合うお化粧の方法を覚えた。



髪のお手入れの方法も、セットの方法も…
自分一人でも出来るやり方を聞きつつ、
途中で、自分でもやってみて…一応コツを掴んだ。









やっと…全てが終わり、
大きな鏡の前まで連れて行かれ…店主の女性から


「…如何でございますか?」


と聞かれたが…






「…………。」






これ、一体………誰?






……凄い……


信じられない…自分ではないみたい…。








下着から服も靴も鞄も…
何もかもが、今購入したばかりの新品になった。

初めて、プロの方にお化粧をして貰い…
自分で言うのも何だけど普段より…数倍綺麗に見える。

爪は綺麗にネイルが施され、
髪も、嫌味のない綺麗な巻を入れてくれた。



…うん。…見た目だけは…
一体、何処のお嬢様だろうか?という風に見える。

見た目だけ、だけど…ね。





流石…プロ集団の仕事だ。










感心しながら鏡の中の自分を、繁々と見ていると、
突然、後ろから…


「…ふぅん…。…悪くないね。」


と低い声がして、驚いて振り向いた。





そこには、何時の間に来たのか、雲雀さんが立っていた。

一体、何時の間に…?

気が付かない間に後ろに居た事と、
さり気無く褒められた事に驚きつつも、何とか言葉を発する…




「…有難うございます。」



「他の服は、もう決まっているのかい?」



「はい。選び終わりました。」






横から店主さんが

「こちらが、お選び頂いた物と…そのリストでございます。」
「そして、こちらがご依頼の…ドレスをお召になったお写真でございます。」





雲雀さんは、
置いてある服とリストをチラと見て、写真を受け取りつつ…


「品物は、後で部下に取りに来させるから、運べるように準備をしておいて。」



「お品物の確認は…なさらなくて宜しいですか?」



「別に構わないよ。」






「畏まりました。1時間以内には、お品物を運べるように準備致します。」



「頼んだよ。」







そう答えると、私の方に向き直り…


「じゃあ…行こうか。」


と、サッサと先に立って歩き出した。





ここで愚図愚図して怒らせては不味い。


「…はいっ。」


慌てて、後を着いて行った。













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あきゅろす。
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