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虹の彼方 187




イスタンブールのアタテュルク国際空港に
無事にタクシーで到着し、
直ぐに…日本行きの便に空席がないかを確認する。

すると運良く…2時間半後の飛行機で
日本行きの直行便に空席がある事が分った。


でも2時間半もあると…その間に
恭弥さんに見つかってしまう可能性が全くゼロではない。

私が失踪した事に気が付いたら
…取り敢えず駅や空港には探しに来るような気がする。




…どうしよう…
直ぐに飛び立てる他の国経由で乗り換えをしつつ
日本に向かうか…2時間半待つか。

直行便では、今直ぐに発てない。
でも、第三国経由にすると、結果的には日本への到着時間が遅くなるだろう。

悩んだ挙句、出発ロビーが決定する2時間前になったら、
直ぐに搭乗手続きをして、
中にあるラウンジにでも入ってしまえば良いだろうと考え
…日本行きの直行便を予約した。


…何とか…
見つからずに日本まで帰国出来ますように。


祈るような気持ちで、そう思いつつ…チケットを握りしめる。







空港内で気分を紛らわす為と
2時間前になるまでの、残り30分間の時間潰しの為に、
少しショッピングをした。

ボンゴレの皆さんに配る事が出来そうな、
トルコのお土産を適当に買いつつ
こんな形で日本に逃げ帰ってしまって
…ツナになんと報告をすれば良いのだろうか?

これが切欠で、風紀財団とトラブルになったらどうしよう?
などと…色々な事を考える。




そもそも…
今回の事をどう説明すれば良いのだろうか…
ツナにもリボーンに嘘は通用しないだろう。

恭弥さん経由でもなにか聞くかもしれないし
…本当の事を、そのまま正直に話す以外にないかもしれない。

それはそれで…傷口に塩を塗る行為に近くて、辛そうだ。



(…………。)



頭の中がグルグルする。
少しの間、今回の事を考えるのを止めたい。









ふと見ると…もうすぐ出発の2時間前だ。
搭乗手続きが始まったらなるべく早く手続をしてしまい、
搭乗ロビー内にある有料ラウンジにでも行こう。



私は、ツナ達と海外に仕事で同行する事もあるので
プライオリティ・パス(有料の会員制ラウンジ)の会員になっている。
普通はプライオリティ・パスの利用者はそこまで多くはないし、
大抵は落ち着いた空間なので、
少しでもゆっくり出来るのではないだろうか?



確か、アタテュルク国際空港の
トルコ航空専用の有料ラウンジはとても快適だと聞いた覚えがある。

とても広いとも聞いているので、
ラウンジ内で時間を潰すのに困る事はないだろう。
恭弥さんに見つからない為にも
…早めに移動しておいた方が良いかもしれない。





周囲を良く見て、恭弥さんの姿がない事を確認した上で…
搭乗手続きが始まると同時に、直ぐに手続を済ませた。

何となくだけれど…
手続をしてくれた人や警備の人を含め、
周囲の大勢の人にジロジロと見られている気がする。

イスタンブールでは日本人の旅行客は、そこまで珍しくはないと思うのだけど
…女性の1人旅が珍しいという事だろうか。

と思いつつ…兎に角、大急ぎでその場から移動をした。








無事に搭乗ロビー内にある有料ラウンジに着いて、ホッと一息入れる。

ここまで来れば…
飛行機に搭乗する人しか入れない空間なので、
恭弥さんに見つかる事はないだろう。

例え、空港に探しに来たとしても…
ここなら追い掛けて来られない場所だし、もう大丈夫。
これで取り敢えず…日本に帰国する事は出来る。



まぁでも…そもそも、恭弥さんが私を探したり、
わざわざ空港まで追い掛けて来るかどうかも分らない。

一応、念の為に警戒はしているけれど…
先程、化粧室に行った時も
…全く一度も何の連絡も入ってなかった。


完全に見放されて…
もう、私がどんな行動を取っても何とも思わなくなっているのかもしれない。

それなのに…こんな風に
『探しに来るかも知れない』と思って
警戒している事が、とても滑稽に思えてくる…。



自嘲気味な笑みを浮かべ…とても広いラウンジの中を見て回り
ゆったりしたソファーのような椅子で
好きなDVDを楽しむ事が出来るエリアを見つけたので
飛行機の出発時間まで…そこで、ゆっくり時間を潰す事にした。





++








…………。


……ん…?なんだろう? 

周囲がザワザワしている…?




ちょっと…ウルサイな…

…私は眠いんだから…もう少し静かにして欲しいな…




…………。



…ん?

…あれ、確か…私は空港にいる筈…?




…!!…。

…大変っ!飛行機の時間がっ!!





そう思った途端に目が覚めて…
ハッとして、直ぐに時計を確認する。

すると…まだ出発まで1時間以上もある。

(…あぁ、良かった!)
(出発までには、まだ十分に時間がある。)







そう思って、ホッと胸を撫で下ろすと同時に
…周囲に人が多い事に気が付く。

ココは、ゆったりしたとても広いラウンジなのに
…どうして、私の周囲だけこんなに人が多いのだろう?


良く見ると…
空港警備の人や、軍か警察の関係者っぽい服装の人までいる。
トルコ語らしい言語でお互いに何か話しては…
私を覗き込むように見て、何かを話し合ったり
…何処かに連絡を取っているようだ。


私が熟睡していたので…
体調でも悪いのかと心配してくれたのだろうか?
もしかしたら、
救急とか医師に連絡を取っていたのかもしれない…。





暫く、彼らの様子を見ていたが…
言葉が分らないので何を騒いでいるのか分からない。

状況が良く分らないが…
取り敢えず、英語で話し掛けてみる事にした。



目の前の数人に向かって…



「…あの、こんな所で寝ていてすみません。」
「ご心配を掛けたようですが…私は病気ではありませんし、とても元気です。」



と声をかけてみると…彼らの背後から…



「…それは何より。」



…という英語の返事が聞こえて来て…

同時に姿を現した人の姿を見て
…驚いて…完全に固まってしまった。





(……っ!!……)



…えっ…?


これは一体、どういう事…なの…













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