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虹の彼方 16




任務概要の説明を聞き、簡単な打ち合わせをし…
出発日は約1ヶ月半後、と決定し、その日の打ち合わせは終わった。




欧州に向けて出発するまでに
パーティドレスや着物等も用意しておくように言われた。

今回の旅行で必要なドレスや着物や鞄等…
必要な物は、全て財団の方で買ってくれるらしい。




早速、休みの日に買いに行かなくては…と考えていたら、
草壁さんから連絡が入り…
私の次の休日の朝に迎えに来てくれて、その日一日を使って、
ドレスと着物等、必要な物を調達しに行くという…


自分独りで、お店を探し買いに行くのかと思っていたが、
どうやら車で連れて行ってくれるようだ。

買い物をすれば、帰りにはかなり荷物も増えるだろうし…良かった。



流石、草壁さんだ。
こんな風に、細かい所にまで配慮してくれるなんて、本当に有難い。










…当日の朝…

待ち合わせの場所として指定された場所で、待っていると、
時間ピッタリに、
…スッと、真っ黒な高級車が目の前に止まった。



運転席から…
素早く草壁さんが降りて来て、挨拶をする。



「おはようございます、藤宮さん。お待たせ致しました。」



「おはようございます。今日は宜しくお願い致します。」



丁寧に頭を下げながら、私も挨拶を返した。






直ぐに草壁さんが、ドアを開けてくれて…
「…どうぞ。」と、
車に乗るように促してくれたので、
軽く頭を下げて、車に乗り込む……




((…っ!!!…))





何も考えずに、乗り込んだので…

…あまりに驚いて…その場で固まってしまった…!







車のガラスは、スモークガラスなので、
乗り込むまで…全く気が付かなかったのだが…



……なんと……


………雲雀さんが……車内にいたのだっ!






あまりに驚いて少しの時間フリーズしたが、ハッと気が付き…
慌てて挨拶をする。

「…お、おはようございます、雲雀さん。」
「…あの…今日は、どうぞ宜しくお願い致します。」


緊張して堅くなりつつ、何とか挨拶をした。






「…おはよう。 休日なのに悪いね。」



「い、いえ…そんな事はありません。仕事に必要な事ですし。」




「そう。今日は、先に着物用の反物を選んで…」
「その後は、事前に予約している店に連れて行くから、そこで服や靴なんかを選んで。」



「…はい。分かりました。」






その後、雲雀さんは…
休んでいるのか、寝ているのか分からないが、目を閉じてしまった。


私は、早鐘を打つように、大きくドキドキしている心臓の音が
静かな車内に響きそうなのを心配しつつ…
無言で、窓の外を眺めている振りをしたが、心の中はまるで大嵐っ!




…あぁ、驚いたっ!!

心臓に悪いドッキリのようだ。


まさか…雲雀さんが居るとは思わなかった。






草壁さんも、何も言っていなかったし、
てっきり草壁さんと二人で、買い物に行くのだと思っていたのに。

着物やドレスを選ぶだけなのに…
群れるのが嫌いな雲雀さんが…来るなんて思わないよね、普通。





一緒に行くのには、何か理由があるのだろうか…
目を閉じている雲雀さんを、チラリと盗み見をするように見る。



あんな少しの会話で、ここまで緊張する相手と
仕事とは言え、三ヶ月間も一緒にいられるのだろうか…


もしかして…私は早まった決断をしたのかもしれない。





そんな事を考えたが…
当然、今更引き返せる筈もなく…

何とか慣れるしかないのだと、自分に言い聞かせる。




…頑張れ、自分!

こんな事で怯んでどうするの!


大丈夫!
…いくら雲雀恭弥と云えど、
何の落ち度もない者を、咬み殺しはしない…筈…。




…要するに、私が何か失敗をしなければ良いのよ!
慎重に、冷静に、行動すれば大丈夫。



…うん…。

きっと大丈夫よ、大丈夫…。





と、まるで呪文のように…必死に自らに言い聞かせた。












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