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虹の彼方 15



計画では、効率的に順番に、
たった三か月で4人に接触予定との事。

…つまり三週間に一人の計算でターゲットから情報を得て、
次の場所に移るという事らしい。



計画を聞いて驚く。

いきなりパーティに潜入し、
初対面の人とその場で親しくなり、色々と探りを入れ、三週間以内で…
普通は、絶対に外部に漏らさないであろう機密事項を得る、
…までやるなんて!


しかも、それを…4人も続けてやるの!?

いくら何でも無茶な計画ではないだろうか…。
そんな事…出来るのだろうか。






凄く不安な顔になっていたのだろう…
草壁さんが声を掛けて来た。


「藤宮さん、心配なさらなくても大丈夫ですよ。」
「恭さんが一緒なのですし…」
「もしも無理そうであれば、途中で計画変更もありますので。」



「…あの、どうして一度に4人も?」
「もう少し余裕を持たせた計画にして…確実性を高めた方が、良いのではないですか?」



「そうしたいのは山々なのですが…そう出来ない事情があるのです。」



「…事情?」








「恭さんは既に欧州の裏社会ではそこそこ有名になっていて、名前も顔も知られています。」

「今回のターゲットは皆、一般人ですが、裏とも多少の繋がりのある連中です。」
「が、幸いな事に、彼らはまだ恭さんの事を知りません。」
「…それは、調査済で…だからこそ、の計画なのですが…」


「でも恐らく…」
「今回の事を切欠に、恭さんの名前と顔が広く欧州社交界に知れる事になるでしょう。」

「同じ人間は、二度と罠には掛かってくれないだけでなく…」
「セレブ達は欧州全体で交流がある為、少し、時間は掛かるでしょうが…」
「恭さんが直接関わらなかった者達にも、噂が届くようになるでしょう。」



「日本人だというだけでも目立つのに…」
「ご存じのように…恭さんは、あの容貌とオーラですから…。」
「一度噂が広まれば、二度と同じ手は使えません。」

「ですから、今回…ターゲットが情報を取られた事に気が付き…」
「その噂が欧州全体に広がる前に、短期間に、一気に片付ける計画なのです。」


「多少の無理がある事は、承知していますが…」
「今回得られるであろう情報は、我々にとって、非常に貴重な物ばかりですので」
「…何としても欲しいのです。」









…成程…

確かに…彼は目立つ。


一度でも接触したら、忘れられない程に強い印象が残るだろう。


“雲雀恭弥”の持つ独特の雰囲気は…忘れようにも忘れられない。
…それ程までに、彼がが纏っている空気は、
――特殊で、記憶に残るのが必須だ。




それに…
如何にも、日本人然とした容貌の…美男子ぶり。

日本でも十分に目立つけれど…
欧州社交界に行けば、更に目立って噂になるのは間違いない。




刺すように鋭い瞳は、その余りの威力に見られただけで怯む程。

光を宿した、雲雀さんの瞳の印象は強烈だ。
怖い程に美しく、威圧的な眼力があり…
直接視線を交わした者が、固まる事もしばしばあると聞く。





尤も…私は未だにあの視線になれなくて…
ほんのチラリとしか、視線を交わした事がないから上手く言えないけど。

まぁ原因は、目が合いそうになると…つい怖くなり、
直ぐに、私の方から視線を逸らしてしまうから、…なのだけどね。





…う〜ん。
確かに、一度、欧州の社交界で噂が拡がれば…
もう二度と、同じ手は使えないだろう。

急ぐ理由と、今回一気に片付けようとする理由には納得したが…
いくら何でも、本当にそんな事が可能なのだろうか…
との不安は拭えないでいた。





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あきゅろす。
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