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虹の彼方 14



そんな草壁さんが、サポートしてくれるなら心強い。



「では、今回の任務についての概要を、説明させて頂きます。」
「細かい内容及び作戦は、その時々の恭さんの判断等で変更がありますので…」
「大まかな所だけ、頭に入れておいて下さい。」



「はい。分かりました。」



「では、先ず………」



草壁さんが地図や、資料を見せながら…
任務内容を簡単に説明してくれた。

今回、回る国々は全て欧州のようだ。






雲雀さんの仕事に、どうして私が必要なのだろうか?
通訳だろうか?と考えていたが…

どうやら、通訳が欲しい訳ではないようだ。




そもそも雲雀さんは、
数か国語が堪能で、普通に会話する程度なら全く困らないらしい。

初めて聞いた事実…
帰国子女でも何でもない雲雀さんが、
それほど多くの言語を、不自由なく自由に使い熟せるとは…凄い。

私は、子供の頃に欧米に住んでいた経験があるからこそ、話せるのだが
ずっと日本で暮らしていたら…数か国語も話せる自信はない。



でも…雲雀さんって、
草壁さん以上に、何でも出来そうなイメージの人だし…
きっと彼にとっては“そんなの普通の事”なんだろう。

だって、普通よりかなり優秀だと思える…あの草壁さんが
『恭さんは、天才です!』という程なんだから…

きっと、本当にそうなんだろう。







では、何故私が必要なのか…

それは、今回のターゲットが、
その国の重要産業を担っている会社のトップだったりと…所謂、セレブ達であり、
彼らに怪しまれずに近づく手段として、
様々な社交場・パーティ会場等に潜入する予定だから、…だそうだ。

数か国を周りつつ、様々な人脈を駆使してターゲットに近づき…
親しくなって情報の在処を聞きだし…
さり気無く、目的の情報を得る…という計画事らしい。




で、パーティー会場内で、怪しまれない為にも必要なのが
“パートナー(同伴者)”という訳だ。

国にもよるし、内容にもよるが
欧州でのパーティはパートナー同伴での参加である事が多い。
伴侶や恋人であったり…又は家族や友人など…
誰かしら誘って行くケースが自然だ。

勿論、独りで参加してもOKである場合もあるが…
男性独りよりも女性同伴の方が、何かと怪しまれずに済む。



それに、欧州の社交界では日本女性は目立つ事が多く、
比較的モテるので、ターゲットと仲良くなり易い…

だが…折角、上手く注目を集めても、
その場で普通に会話も出来ないでは困る。

…と、いう事で…
数ヶ国語に堪能な私が選ばれたようだ。





風紀財団には、全体でも女性はごく少人数しかおらず…
その中に、数ヶ国語が出来て、海外生活の経験がある者は全く居ないとの事。

それに一応、財団員の知り合いの中で、
今回の仕事を頼めそうな人を、探したらしいが…
適当な人を探す事は、出来なかったらしい。





…成程…。
私は、デスクワークしかした事がないのに、
何故指名されたか、その理由が解った。


今回の仕事の為には、
そもそも相手と、流暢に会話が出来ないと務まらない。

だから、取り敢えず…情報収集の為の活動が出来るかは兎も角…
最低でも、“普通にターゲットと会話が出来そうな”私に、指名が来たのか。












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あきゅろす。
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