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虹の彼方 136






今まで見た事の無かった、みんなの戦闘場面を見て…
まだ茫然とした気持ちでモニターを見ていたら

…ん?
ひとつの船に全員が集まった。





それは、山本さん達が壊していたダミー船のひとつだ。

どうやら、そこに…ポルポのボスと幹部数人。
香港マフィアのボスと幹部数人が隠れていたようだ。

甲板の上に引きずり出された男達の顔が強張っている。


…まぁ…
あのメンバーに睨まれたら…怖くて当然よね。

恭弥さん、ツナ、獄寺さん、山本さん、笹川さん、ディーノさん
…そして、今まで何処にいたのだろうか?
リボーンも一緒にいて睨んでいる。



あれ…何時の間にか…骸さんの姿がない。
どうしたのだろうか?

もしかして…もう帰ってしまったのか…
あるいは、また幻術で誰かに化けて、まだその辺りにいるのか?

良く分らないけれど…
相変わらずの、見事な神出鬼没ぶりだ。











恐らく複数の人に連絡用のマイクが付いているのだろう
…モニターを見ながら…
その甲板での会話がハッキリと聞こえて来た。



恭弥さんが…


「君達が…優衣を攫って、売り飛ばそうとした元凶か。」
「僕の婚約者を誘拐するなんて…余程、命を捨てたいらしいね。」



「き、貴様っ!誰なんだっ!!」
「どうして、こんな有り得ない事が出来るんだっ!」



それを聞いたディーノさんが…


「おぃおぃ…この恭弥が誰なのか…あの攻撃を見ても、まだわかんねぇのか?」
「風紀財団のヒバリキョウヤって…聞いた事ぐらいあるだろー?」





「…っ!…。フウキ財団のヒバリ?…ま、まさかっ!!」

「“あのヒバリ”…なのかっ!?」

「そ、そんな…!貿易商じゃなかったのかっ!」





「やっと気が付いたか…。お前ら…もう少し相手の事をちゃんと調べろよな〜」



「い、いや…日本ではヒバリって名前が多いのかと思って…」



「寧ろ逆だな。ヒバリって名前は日本でも珍しいほうなんだぜ?」



「……っ……。」






そこで恭弥さんが…

「ちょっと、跳ね馬…僕が話をしているんだけど。」

と言いつつディーノさんを押しやる。



「…ちょっ、恭弥…押すなっ…」







と、そこで隣のツナが…


「あ〜えっと…横から失礼。実は優衣は…オレの秘書でもあるんだよね。」

「ボンゴレのボスの秘書を誘拐するという事が…どんな事を意味するか、当然…分かってるよね?」





「…っ!!…」


男達が一斉に物凄く驚いた顔をする。

ツナは笑顔なんだけど…それが逆に怖く見える。
こんなツナは大変に珍しい。
それだけ…怒っているという事なのだろうか?





ポルポの幹部の中の1人が…

「あのお嬢ちゃんが…ボ、ボンゴレのボスの…秘書?」

と確認するように声に出す。




「そっ!オレの優秀な秘書なんだ。」



「…………。」



元々蒼白だった男達の顔が…更に青くなる。







そこでディーノさんが…

「んじゃあ、次はオレな!」
「優衣は、オレ達の大事な大事な義妹分なんだよなぁ。」
「あ、オレ達ってのは…オレとココにいるボンゴレの守護者のメンツ全員の事な!」




「…っ!…」




「それと…ついでに言うとな…」
「ココで怖〜い顔をしている“あの有名なヒットマン・リボーン”にとっては…」
「目に入れても痛くない程に可愛がっている…“娘”なんだよなぁ。」




「…!!!…」


最後のトドメと言わんばかりの言葉に
…男達は完全に言葉を失ってしまったようだ。


あの皆に、あんな風に睨まれたら…生きた心地がしない…だろうな。
なんて事を思いつつ、モニターを見る。








ポルポのボスが…覚悟を決めたように…


「只の旅行者の娘だと思っていたのに、とんでもねぇバックがある娘だったって訳か…。」
「ちゃんと調査をさせてから誘拐するべきだったな。」

「…チッ!こうなったら仕方ねぇ…サッサと殺しやがれっ!!」

とヤケクソのように叫び…




中国マフィアのボスらしい男も…

「殺るなら…早くしろ。」
「こんな商売してるんだ…命が惜しいとは思ってない。」



と言うと、他の幹部の者達も…開き直ったように…
「好きにしやがれっ!!」と叫ぶ。








それを冷たい瞳で…黙って聞いているメンバー。
彼らを、一体どうするつもりだろうか。

…まさか本当に、この場で…?

と、ドキドキしながらモニターを見詰めていた。






微妙な笑顔のツナが…


「オレ、…殺しは嫌いなんだよね。」


というと、男達が『え?』という顔をした後に
…少しホッとした顔をする。



「でもさ、今回は流石に…このまま見逃すなんて絶対に無理だし。」
「どうしようかと思ってたんだけど…」
「ヒバリさんにイイ案があるみたいなんで、それでお願いしようと思ってるんだ。」


そう聞いて、皆が一斉に恭弥さんに視線を向ける。






恭弥さんは…


「沢田綱吉が了承しようが、するまいが…僕は自分で決めた事を実行するけどね。」




それを聞いてツナは…

「ヒバリさんなら、そうですよね。」

と笑っている。






(…?…)

恭弥さんは、彼らを…どうするつもりなんだろう?





そう思っていたら…
乗っている財団船のモニター室の管制官が…


「移送船が到着したようです!」

と声を出し…
今までは居なかった別の船がモニターに映し出される。




…!…。

あの船の旗は…!



という事は…あの国の船、なのだろうか?
…でも、どうして?









その船が近づいて来た事に気が付いたらしい恭弥さんが…


「あぁ、やっと迎えが来たようだね。…君達には、あの船に乗って貰う。」



(…?…)



男達も、『どうして、あの国の船に乗せられるんだ?』
と“意味が解らない”…という顔をしている。



「…特別に、行先を教えてあげよう。あの船は…○○島行きの船だよ。」




(…っ!!!…)



それを聞いた男達の顔が…一斉に引き攣る。
わなわなと震えだす者もいた。



恭弥さんは、何とも言えないニヤリとした顔で…隣のツナも笑顔。
リボーンに至っては…
極悪な笑顔、とでも言うべき顔をしていた。






そして…それまで黙っていたリボーンが…



「お前らみたいな連中には、似合いの場所だな。」



と酷薄な笑顔で言った。












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あきゅろす。
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