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虹の彼方 13


…こうして私は、風紀財団よりの依頼に答える形で、
海外を飛び回る雲雀さんに同行し、雲雀さんの仕事を手伝う事になった。

期間は3か月間の予定。
かなり長期の出張になる。





今日は、具体的な内容を事前に聞いておく為、
風紀財団の草壁さんの元を尋ねて来た。

雲雀さんは不在のようで、草壁さんと二人だった。




「藤宮さん…」
「今回は、少々無理なお願いをしたにも関わらず、ご快諾頂き有難うございます。」

草壁さんが、その大きな身体を丁寧に曲げお礼を言う。




「私で本当にお役に立てるのか不安がありますが…」
「…どうぞ宜しくお願い致します。」



「出来るだけサポートはさせて頂きます。」
「遠慮なく、何でも言って下さい。」




見掛けによらず(失礼!)、細やかな配慮が行き届いた性格の草壁さんは、
学生時代からずっと雲雀さんの傍にいると聞いている。

あの扱いの難しそうな雲雀さんの傍に、
そんなに長く居る事が出来る人がいるなんて、驚きだ。

それだけ…草壁さんが特別に優秀であるという事なんだろう。





噂によると草壁さんは本当に何でも出来る人らしい…
中学生の時に、既にヘリの操縦が出来たとか。
ヘリの操縦なんて、中学生が簡単に出来る事ではない。
バイクや車とは格段に違うのだ。


それを…“操縦する必要があったから”という理由で、
出来るようにしてしまう草壁さんという人が
どれほど優秀で且つ、物凄い努力家であるのか…想像に難くない。

きっと、雲雀さんを影から支える為に日夜全力で努力しているのだろう。





雲雀さんの一番傍に居て、一番神経を使って…
恐らくストレスも相当に溜るのではないかと思うけれど
草壁さんが部下に対する態度は、冷静で穏やかで的確であるらしい。

…大真面目に凄い人だと思う。





何しろ、雲雀さんは大変に気紛れな人らしいし…
“気分が変わった”という理由で
昨日までとは全然違う指示が飛ぶ事も多いと聞く。

そんな時に、迅速に、雲雀さんからの指示変更を末端まで素早く伝え、
実行するのは、至難の業のように思える。


少なくとも…同じことをボンゴレですれば…
あちこちで支障が出る事は間違いない。





風紀財団が…
どれほど統制のとれた優れた組織であるか…が知れる。

その組織を…
雲雀恭弥という絶対的なカリスマが纏め上げ…
その指示に従いつつ、
細かい具体的な運営を任されているのが…草壁さんだ。


あの雲雀さんを筆頭とする組織を、
上手く動かす事が出来るのは…彼しかいないだろう。





雲雀さんに対しては“部下の鑑”のような人であり…

同時に財団の部下達には“上司の鑑”のようでもある。

…と思う。






ボンゴレアジトで何度か見掛けた二人は、
お互いに名前から取った呼び名である「恭さん」「哲」で呼び合っており…
正に阿吽の呼吸で…見ていて感心する程だった。


あの雲雀さんが…
「恭さん」なんて呼び方を許すなんて…
幾ら長い付き合いだとしても、凄い事だと思う。


…それだけ、二人の間に強く深い信頼関係があるという事だろう。








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