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虹の彼方 117





…数日後…

風紀財団の調査チームの人数を大幅に増員して
必死になって動いた結果…新たな情報を掴む事が出来た。



情報によると…どうやらパオロはポルポ・ファミリーに脅されて
…無理矢理に協力させられているらしい…
という事が分った。

協力しないと…
パオロが真剣に結婚を考えている相手である恋人を
『誘拐して外国に売り飛ばすぞ!』
と言われて脅されているらしい。


更には…
脅されて仕方なく一番最初にポルポと接触した時の場面を
写真に撮られており…言う事を聞かない場合は
“この写真をアレックスに送るぞ”
…とも言われているらしい。






今のパオロは
アレックス夫妻にも恋人にも本当の事言えずに
毎日…悶々と悩んでいる…という事のようだ。

“おぼっちゃん育ち”のパオロは
いきなりマフィアに脅されて…どうして良いか分らず…
オロオロ、ビクビクしつつも仕方なく指示に従っているらしい。


一番最初に脅された時に、アレックスに相談をしていれば
…こんな事にはならずに済んだだろうに。

アレックスがマフィア嫌いなのを知っている為…
相談する事を躊躇ってしまったのだろう。






そして…パオロを脅して
ポルポ・ファミリーが手に入れようとしている物は…
『アレックスが管理をしている物』
であるらしい事も掴んだ。

ただ…その内容は
パオロもポルポの者達も詳しくは知らないらしい。



ポルポの幹部の1人が
ある時「たまたま耳にした有力情報」であり
それがあると
“マフィア界に波紋を投げかける事が出来る物”
…だという事らしい。

その『何か』を手に入れようとして…
パオロにアレックスの身辺を探らせているようだけど
会社にあるのか、または自宅にあるのか
…そもそも“中身は何なのか”さえ不明なので

パオロは、適当に重要そうな物を保管している所を探しては
『これではないか』とポルポの者に渡したり内容を話すのだが
…未だに“当たり”が出ないのだとか。




パオロなりに一生懸命に手探りで探しているが、
なかなか見つからないので
ポルポの者達はいい加減にイライラしているようだ。


それで、パオロを何度も呼び出しては
『まだ見つけられないのか!早くしろ!』
と…脅しているのだろう。









…そして…
報告された内容の中で、とても気になる事が…あった。


「ポルポの幹部達がレストランで会話しているのを…一部分だけボイスレコーダーに録音出来ました。」


と言って…草壁さんが聞かせてくれた物は
とても雑音が多くボイス処理をしても尚、聞き取り難いような
精度の物だったけれど…その中で、確かに…


『…これで、ボンゴレ……、キャバッローネも………あいつら…』

…と聞えて来た。



それを聞いた恭弥さんの顔が少し険しくなる。
草壁さんも…神妙な顔になっている。

…ポルポ・ファミリーは…
一体、何を探しているのだろう。

そして、一体、何をしようとしているのだろうか。




ポルポから見るボンゴレやキャバッローネは
かなりの巨大組織であり、到底、敵う相手ではない。

余程の何か有利になる情報か何かを掴んでいない限り…
まともな会談にすら応じてもらえない…という感覚が普通だ。



尤も、ツナもディーノさんも…
傘下にあるファミリーをとても大事にする人なので
グループ内の身内ファミリーなら
幾ら弱小ファミリーであっても、丁重に接する。

けれど…ポルポは違う。



ボンゴレとの直接の諍いは、今の所は無いが…
キャバッローネとは縄張り争いで何度か揉めて小さな諍いを起している。

今ではキャバッローネの
「仮想敵ファミリー」に認定されている状態だ。
という事は…
キャバッローネと友好関係にあるボンゴレにとっても「準・仮想敵」扱いだ。









「恭さん…この情報はボンゴレとキャバッローネにも伝えておきましょうか?」



「…任せるよ。」



「我々が、パオロを追っている事を知られても宜しいですか?」



「構わないよ。…知られても邪魔をするような事はないだろうからね。」
「それに…パーティで一緒だったからね…」
「アレックスとパオロが今回のターゲットである事はとっくに勘付いているだろう。」



「分りました。では協定に従い…情報提供を致します。」





ボンゴレ・キャバッローネ・風紀財団は…お互いに協定を結んでいて…
それぞれの情報網の中で『気になる情報』を掴んだ時は
お互いにその情報を流す事になっている。


ポルポ・ファミリーが何をしようとしているのか全く不明だが…
『何か仕掛けて来ようとしているらしい』のは確かだ。
用心をする為にも…
ポルポに注意をするように、と伝えるのだろう。









それにしても…何だか複雑な相関図になって来たな。
“風紀財団の仕事”のつもりだったのに
…この様子ではボンゴレやキャバッローネまで絡んできそうだ。

そう考えると…
イタリアでいきなりディーノさんに遭遇した事や
先日のパーティでボンゴレのメンバーに逢ったのも
…偶然ではないのかもしれない。




今回の案件には…何かが…あるのだろうか。




そう考えていると

…ふと、ゾクリッと…良く分らない悪寒がした。




(…?…)


…何だろう。

今の感覚。





…嫌な予感がする。


…こんな勘は外れて欲しい…





ぼんやりと、そんな事を考えつつ…


草壁さんが説明している
…今後の動きについての話に…耳を傾けた。


















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