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虹の彼方 109




隣の席に座ったディーノさんが…


「ったく…リボーンも恭弥も…」
「何考えてんのか訳がわかんねーコトが多い所とか、そっくりだな。」


なんて言うのを聞いて、少し笑みが零れる。




確かに、あの二人は…何処か似ている部分が多い。

それにしても…
ワザと挑発するかのような態度のリボーンと
僅かではあるけれど殺気オーラを漂わせた恭弥さんが…
恐らくはあまり人も居ないであろう場所に
一緒に向かって行ったのが…気になる。

今日のリボーンは明らかに何時ものリボーンとは違った。
あんな事(今すぐにボンゴレに帰れなど)を言う人ではないと思っていたのに。

一体、どうしたのだろうか。

それにディーノさんとの結婚話の件も…
結局、リボーンの真意は誤魔化されたような気がする。




会話の内容は聞こえていなかった筈の恭弥さんが
何故か凄く不機嫌だった事も気になるし…。

…大丈夫だろうか。

様子を見に行った方が良いのではないだろうか?








心配になり色々と考えていると、ディーノさんが…


「心配しなくても…大丈夫だと思うぜ?」
「こんな場だし…あまり派手な事は出来ねーしな。」
「あの二人が、何を考えてるのか分かんねーけど、たぶん少し話をするだけだろ。」



ディーノさんの言葉を聞き、コクンとひとつ頷く。


うん、そうだよね。
恭弥さんと私は、大事な仕事で来ているのだし…
パーティ会場で問題を起こす訳にはいかない。

何の話があるのかは解らないけれど
きっと…それだけ、だよね?







そう考えていると…続けてディーノさんが


「にしても…今日の優衣は色っぽいなぁ〜!」
「そんな恰好も良く似合うんだな…イイ女すぎてマジで惚れそうだぜっ!」


と明るく言ってくれる。

半分以上はお世辞だと解っていても
そんな事を言われると嬉しい。




「有難うございます。」
「イタリアの女性に比べて、あまりお子様に見えないようにしようと思って…」
「頑張って…背伸びして着てみた甲斐があります。」




「そうなのか?無理に背伸びをしているような違和感はないぜ?」
「優衣は…もう立派な大人のレディーだ。」
「もっと、自分に自信を持って良いんじゃねーのか。」




…あ、また…自信を持て、と言われた。
そんなに私は自信が無いように見えるのだろうか?

…いや、見えるのではなく…
実際に、なかなか自分に自信を持てないでいるのが
傍で見ている人にも分るレベル…という事なんだろうな。




「…………。」



考え込んで無言になってしまった私の頭に
ポンッと優しく暖かい手が乗せられる。

顔を上げると…
にっこりと優しい笑顔で、更にポンポンとされる。



…ディーノさんの優しさが嬉しい。

こうしているだけで癒されるような…そんな気がする。









その後、ディーノさんと世間話をしつつ…
まったりと過ごしていたら

暫くして、まだ不機嫌オーラが
完全には収まっていない状態の恭弥さんが戻って来た。
でも一般の人には
不機嫌を隠せるレベルにはなっている。


リボーンは、私のいる方には来ないで
そのままツナ達の居る方に、真っ直ぐに向かって行った。






二人共、無事に戻って来た事で少しホッとする。



戻って来た恭弥さんが…


「跳ね馬、世話になったね。…優衣…行くよ。」


とだけ告げて私の手を取り、サッサと歩き出す。



(…!っ…)
「…あ、あの…ディーノさん、有難うございました!」


慌てて、少し振り返りつつお礼を言うと
…少し苦笑した笑顔のディーノさんが小さく手を振ってくれた。









私の手をしっかり握った恭弥さんは
ドンドン歩いて行き、リボーンやツナ達が居る場所とも
ディーノさん達ががいる場所とも、だいぶ離れた所まで移動した後に
…やっと立ち止まる。


通りかかったサーブ・スタッフに声を掛け
二人分のワインを貰うと
無言で私にも渡してくれて、自分の分をグイッと飲む。



「…………。」


リボーンと何を話したのか聞きたいけれど
…とても聞けるような雰囲気ではない。

仕方ないので私も同じく無言で少しだけワインを飲んだ。











何だか良く解らない気まずい空気が流れている…

大事な仕事中だというのに
大きな番狂わせがあった事で思いっ切り戸惑ってしまう。


さっきのリボーンも何時もとは違っていたけれど
…恭弥さんも何時もと違う。

欧州に出発して以来
何時でもどんな時でも完璧な演技で通して来たのに…




こんなに大勢の人の目がある場所での
…不機嫌さを隠さない態度。

更に、マフィアは勿論、マフィア絡みのある者達の中で
知らない者など居ないであろう有名人のリボーンと
一緒に連れだって、一旦外に出るという行動。

それだけではない、ディーノさんとも親しそうだと
…周囲の人の目には映っただろう。



つまり…私達が思いっ切りマフィアと…
ボンゴレやキャバッローネと…関わりのある人物だと
周囲に印象付けるような行動になってしまっていた。





幸い、まだアレックス夫妻もパオロもこのパーティには来ていない。
…けれど…
大勢のアレックスの友人・知人が今のを見ていただろう。

どんな経由でアレックス達の耳に入るか解らない。



…そんな、危険があるのに…何故あんな事を?

そこまでする程にリボーンと接触をしなければならない理由や
大事な話があった…という事なのだろうか?







恭弥さんは、私に説明をする気はなさそうだ。
気になるけれど…
無理に聞く訳には行かないし仕方ない。

大いに戸惑いつつ、少しワインを飲んで喉を潤し…
さて、今日はこの後どうすれば良いのだろうか?
と、考え込んでいた。







…と、ふいに恭弥さんが、ごくごく小さな声で…


「…優衣…」

と呟く。





普通に話し掛けられたのとは違う…
その声色に籠った“サイン”に気が付いてハッとして
ホールの入口付近を見ると
アレックス夫妻とパオロの3人が揃って会場内に入って来る所だった。



チラリと恭弥さんを見ると
…何時もの仕事モードに戻っている。

一瞬で、“貿易商の雲雀恭弥”に切り替えたようだ。






色々とあったが…
ココからは今まで通りに作戦を進める事で良いみたいだ。


そう思い、私も気持ちを切り替えて
アレックス達の動向をさり気無く目で追った。








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☆この後に、お読み頂ける
<雲雀VSリボーン>を『過去拍手の部屋』で公開中です。


宜しければ、お読み下さい。








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